第二十九話
そして、突然来た来訪者が襲撃したのが合図だったのか、大きな音と閃光で共にレフィーユのいる公園が歓声が上がる。
「残念だったな、これでカリフ共々、そしてお前も終わりだ」
一方的に話続けるその戦隊風の覆面男に、セルフィは自分の置かれている状況を考えていながらも聞いた。
「貴方は味方なの?」
「味方だ、だからセルフィ様は下がってください」
確かに『味方』だと言った、しかし、明らかな『異常さ』に信じれるわけも無く、さらに聞いた。
「だったら、覆面を取れとは言わないけど、所属を言いなさい」
「何を知りたいのか知らないが、この男は日記帳を持っている。その方が重要じゃないのか?」
そして『下がれ』と言われるが、セルフィはハルバートを身構えたままだった。
「どうした、私達はキミ達、名誉ある『七色同盟』の味方なんだぞ!?」
「ふん、七色同盟の味方ね…」
そう呟いて、セルフィは自分を通り過ぎ、そのまま覆面男の後ろを歩き去った。
そのおかげで…。
「あくまで狙いは私だと言う事ですか…」
「当然だ、お前は小悪党といっても盗んではいけない物を盗んだ。
感謝するんだな、日記帳を返せば生かしてやる」
「すいませんね、今は持ってないのですよ」
「だったら、どこにある?」
一旦、レフィーユ達のいるであろう騒がしい公園を眺めて、覆面の男に聞いてみた。
「見たところ、アルマさん達を狙っているようですが、じゃあ、教えたらアルマさん達を助けてくれますか?」
「それは上が決める事だ」
『それはない』という意味を示しながら、彼は剣を構えながらいう。
「さあ、どこにある!?」
「じゃあ、最後の質問です。貴方は何者ですか?
『上が決める』と言いましたから、貴方がボスではないでしょうが、組織名くらい名乗ったらどうですか?」
「貴様、おかれている状況がわかってるのか!?」
「まあ、少々気になる点がありますが、アルマさんにしたらこの状況が最大の狙いだった…と思いますよ?」
「言いがかりを、どういう事だ!?」
「大体、気になりませんか。
彼女はカリフ、その組織の頭領が相手は、わざわざ実力を見にやって来たというのはおかしいのでしょう?」
「何をワケの解らない事を…、相手はあの七色同盟の一人、レフィーユ・アルマフィだ。
だから、本人自らが腕前を見にやって来たのだ」
「それじゃあ、合点がいきません。
ですが特別に『あなた』に教えてあげますけど、多分ですが、この状況、アルマさんは見越していたと思いますよ?」
「何をおかしい事を、じゃあ、わざわざワナに掛かりに行ったというのか?」
「確かに自分でも適当な事を言っていると思いますよ。
だが、アルマさんはいつも私にこういうのですよ。
『自分の目で判断してほしい』とね…。
協力を求めもせず、一体、彼女は何を判断してほしいのでしょうか?」
そう言いながら、再度、公園を見てしまう。当然アルマは、ここまでは予想してないと思う。
だが、自分携帯から、彼女の携帯の番号を教えてほしいと言って来たのは、とても気味の悪さを感じる大きな点だった。
これはアラバとして、チェンバレンとシャンテの二人の監視が付いたなどから言える事だが。
レフィーユと接触したいのなら、自分のように街中で出会った方が容易く、そんな自分を三度も尾行を繰り返すのだ、それほどの組織が目の前にたっているのなら…。
誘拐される前に、襲撃されていてもおかしくないのだ。
この事を踏まえると、アルマは成り行きまでは予想はしてなかっただろう、この事態は予想していたという事になるので、聞いてみた。
「どう思いますか…セルフィさん?」
驚いた覆面男は自分の身長より上からやって来る斧槍を辛うじて転がって避けた。
「わからないわね…と言いたいけど、逃がしちゃったじゃない?」
「な、何をする!?」
「決まってるでしょう、私もわかりませんから、ねえ、セルフィさん?」
「そうね、捕まて何か吐かせてみようって、思ったのよ」
「言っただろう、私は味方だ!!」
驚いたまま、覆面男はそんな事を言うが一向に身構えるのを解かないセルフィを見て悟ったのだろう。
「妹とはいえ、キミは歴史ある七色同盟の一人だ。その名誉を汚すというのか?」
「黙りなさい!!」
いらいらとしているを吹き飛ばすようにハルバートの柄を地面に叩きつけた。
「ふん、確かに伝統や名誉にプライドを持つ事は大切よ。それを何?
名誉、名誉、名誉、アンタね、そこでプライドを高くすることは一番許されない事だってわかって、言ってるの?
私はそういうのが一番嫌いなのよ!!」
苛立つようのを落ち着かせるように、自分にこう言い放つ。
「ふん、アンタが何者なのか一番手っ取りはやいと思ったから、そこの魔法使いは協力しなさい」
思わず、ため息が出そうになったが…。
「返事は!?」
「あっ、はい~っ」
ちなみにこのセルフィッシュ、自分より年下である。
そんな彼女は、覆面男に飛び込んで行くのであった。