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第二十三話

 「-その核爆発により『フォルグナルート公国』は、国土の三分の一を失う被害を負う事となった。


 そうしてその核テロリズムにより、翌年、ようやく国々は戦争の放棄、核弾頭の廃棄を決意。国々は軍事費の何割かをフォルグナート公国に寄付したのである。


 『世界が始めて手を取り合った日』とも称され、そして、その様々な協力によって経済が均衡を取り戻した時に『廃戦記念日』を制定したその日にフォルグナート公国は名前を変えた。


 それが『ワールドゼロ』である…」


 国とは戦争、経済破綻で崩壊して、その名前は、土地、その時にあった思想によって、様々に名付けられる。


 その法則は、魔法の使える世の中になっても変わらないのだろう。


 そう考えていると、教科書の朗読が終わった。


 何の珍しいものではない、学生身分でよくある風景。


 俗に言う『本読み』である。


 あんな事件があった後で、そこを偶然に授業でやっているというのは、話が出来すぎているのではないのかと思われるが、別におかしい話ではない。


 『歴史の教科書』と言うのは、大まかな歴史を抜粋しているのは従来の教科書と代わりはなく。


 しかし、データや映像が残った時代から3000年たったというのは、あまりにも膨大すぎて、教科書に書ききれないという問題が生じていた。


 それを補うためには、どうすればいいかという問題に直面したとき、これは幸いなのだろうか、世の中の物騒なトコロに目を着けた。


 事件が起きた際に、今までの授業進行を一旦止めて、そこで起きた土地、その歴史背景を教えるようにしたのだ。


 ましてや今回は国際問題に発展しかねない、というのを捉えてもらうと今の状況はおかしくないのだが…。


 「すいません、もう少しこっちに本をよせてもらえますか?」


 自分はこっちの方が出来すぎではないのかと思う。臨時転校してきたエドワードに教科書を見せているのだから。


 『ふっ』と一番前にいるはずの誰かの笑みが聞こえたような気がしたが、一番後ろにいる自分はノートを取るので、教科書を寄せるが、エドワードは教科書は見ているものの、ノートを一向に取ろうとしなかった。


 そんな様子の自分が見ている事に気付いたのか、エドワードはノートの一枚を取って、何やら書いてこちらに見せた。


 「一応、この辺は七色同盟の一人なので、嫌というほど学ばされてまして、他の学園の授業とはいえ失礼ですが、あまり変わりありませんね」


 『なるほど』と頷く中、この文面のさらに下にはこう書かれていた。


 「聞きたい事があるのでしたら、どうぞ遠慮なくここに書いてください」


 少し目を細めてしまったのは遠慮していると思われてしまったが、こっちには理由があった。


 「前にシャンテさんとチェンバレンさんは自分の行動を随時、オズワルドさんに報告してましたからね。


 おかげでみんな少し自分の事を心配してくれたのかなと思っていたら、『同じ場所をうろうろするから、捕まったんだ』なんて言われたのですよ?」


 「すいません、でも、私にも何か出来ないと思いまして協力させてくれませんか?」


 正直言って、こう書き示されてはいたが、未だ警戒していたので軽く聞いてみた。


 「ミン・チョンワさんの事、残念でしたね?


 どんな人だったのですか?」


 エドワードは驚いた様子で自分を見たが、返信をよこした。


 「レフィーユさんから聞いたのですか?」


 「あんな事があった以上、無関係と言うワケにはいきませんので、聞かせてもらいました。


 どんな人だったのですか?」


 「ミンさんは、一度お会いした程度ですが、それは厳格で正義感の強い人でご職業は警察だと聞いた程度です」


 『一度しかあった事がない』というのは、それだけ治安が悪いからだろう。それだけ治安の悪さが警察というのは休みがないのだと思っているとふと疑問に思った。


 「警察という事は、戦闘訓練を受けている人という事ですよね?


 そんな人を殺すなんて難しくないですか?」


 「すいません、そこはよく知らされてなくて話でしか伝わってません、自宅で殺害されたらしいのですが、凄い惨状だったそうですから。


 一応、警察が確認の為に親族には顔を見せたらしいですが、私たちに本人確認の写真を見せるのを控えた程といえばわかりますか?」


 どうしてレフィーユが『カリフ』の存在を、信じて指摘したのかようやく理解わかったところで一つ聞いてみた。


 「エドワードさんはオズワルドさんが言っていた『魔道士の仕業』と、レフィーユさんの言った『カリフの仕業』、どっちを信じているのですか?」


 「現実にいる世界唯一の西方術『闇』の使い手、もう片方はおとぎ話に出てくる組織ですからね。


 それは現実にいる方を信じたいと言いたいけどオズワルドの言う事には、少し無理があると私も思いますから。


 どちらとは言えないと言っておきます」


 「カリフはおとぎ話に出てくると言いましたが、どんなお話なんですか?」


 「詳しくは七色同盟を元にしたおとぎ話や小説に良く出てくる組織なんです。


 諸説様々ですが、協力してくれる組織、悪い組織と言う感じで大まかに分けて二通りの扱い方をされてる組織ですから、よくわかりません」


 のらりくらりと避けているのか、それともホントに言っているのかと、また壁にぶつかったなと思ったその時、チャイムがなった。


 次の時間は体育だった。


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