収監
初めまして。
僕はどちらかというと説明文とかを書く方が好きなんですけど。
物は試し、特にすることもなかったので挑戦してみることにしてみました。
気になる点も多くあると思いますが何卒、大目に見てやってください m(__)m
[社会への適応力と高い犯罪意識を身に着ける]を理念とする牢檻学園。
全寮制で敷地内から出ることは禁止されている。
その代わり敷地内には商業施設や多少の娯楽施設が建てられており、学園で毎月支給される学園内のみで使える[マイル]と言うローカル通貨のようなもので利用するらしい。
他の学校とは違った制度や、周囲の人間も環境も違う学園での生活は怖くもあり、少し楽しみでもあった。
この学校には、「噂」がある。
厳格な校風の裏で教師たちによる支配体制が敷かれ、卒業後もそのことを口にすると碌な目に合わないというものだ。
「見ろよ!この俳優、牢檻の卒業生らしいんだけど、学校の話振られてテンパってないか?」
中学の頃、友達が牢檻学園への入学が決まった僕にテレビ番組内で学校についての話を振られ、言葉を濁す俳優の動画を見せてきた。
「学生の頃に何かやらかして触れられたくなかっただけじゃないの?」
「まあ そうかもだけどさ。でも気になるだろ?。噂の真相、確かめて卒業後にでも教えてくれよ!」
「噂が本当だったら僕は話せないけどね」
「確かにな!」 そう言って二人で笑った。
その時の僕はそんな現実味のない話を大して信じていなかった。実際に自分の身に降りかかるまでは。
僕、風間誠一は今日この学園に入学する。
校門の前に立った僕は少し心細かった。
僕のいた中学からこの学園に入学するのは僕だけで知り合いが誰一人いないからだ。
こんなところで止まっていても仕方がない。
僕は諦めて校門をくぐり入学式の会場である体育館に向かった。
目に入る建物にはヒビ1つなく、管理が行き届いているのがわかる。
「うちの中学とは大違いだな」
同時に防犯カメラの多さにも驚いた。
相当防犯意識が高いのか、至るとこに設置されている。
安心ではあるがこうも多いと生活を監視されているようで怖くも感じる。
そうこうしていると体育館に到着した。
指定された席に座り式が始まるのをぼっーと待つ。
眠い。
僕はすることもなく待つのが苦手だ。人の話をただ聞くのも。
母さんが生きてる時も説教中にウトウトして余計怒られたっけ。
もうああやって説教されることがないのは少し寂しくもある。
別に怒られたいわけじゃなけど。
僕が中学を卒業する前に父さんと母さんは人生を卒業した。
家族仲は結構よかったから聞いたときはかなりショックだったしかなり落ち込んだ。
でもいつまでもうじうじはしていられない。
二人がいなくなっても僕の人生はまだ続くのだから。
その後、僕は父方の叔父に引き取られた。
叔父は兄である僕の父を嫌っていた。
僕から見ればただの嫉妬だ。
そんな兄の息子の僕が邪魔だったのか叔父はずっとイライラしていた。
そんなだから結婚できないんだよ。と、彼女いない歴=年齢の僕が心の中で呟く。
そんな僕に叔父は牢檻学園への入学を勧める。
勧めると言っても「ここしか認めん」ぐらいの感じだったけど。
まあ多分僕の面倒を見なくてよくなるからだろう。
引き取ってくれたことには感謝しているが僕は正直叔父が嫌いだったから離れられるならとその話に乗ることにした。
しばらくすると式が始まった。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。」
学園長の挨拶が始まった、中学の頃は校長先生の話なんてほとんど聞いていなかったが大事なことを聞き逃しても聞く相手がいないので一応聞いておくことにした。
私たちの学校は、[己を律する]ということを大切にしてきたとか他者を尊重する態度を忘れないようにしろとか社会で活躍できる人間に成長できることを期待していますとか。
つまらん。
ありきたりなテンプレあいさつだ。
やっぱ聞かなくてよかった。
「改めて、ご入学おめでとうございます。これからの学生生活が充実したものとなるよう、私たちと共に頑張っていきましょう。」
そう言う学園長はその顔は微笑みを浮かべていた。
しかしその笑みは無理やり貼り付けたような気味が悪いものだった。
普段あまり笑わない人なのかな?
頑張って笑顔作ってるみたいだけど、なんだかなー。
人の顔は整形でもしないと変えられないれないんだから僕どうこう言うべきじゃないけど。
まあ 頑張れ、学長。
式は無事に終わり、僕たちは教室に案内された。
2クラスに分かれているらしくA、Bあるうち僕はB組だった。
教室に入って僕は驚いた。
壁や床に歴代の戦士(卒業生)たちが残したダイイングメッセージ(落書き)がどこにも見当たらないのだ。
嘘だろ。
残そうとする生徒がいないのか、それとも魔王(校長)やその手下(教員)の手によって消されてしまったのか。
どっちにしろ生きてきて初めての経験にあんぐり開いたお口が塞がらない。
ふと廊下を掃除する魔王の雇われ兵(清掃員のおばちゃん)が目に入る。
お前かぁぁ!(多分違う)
驚きと落胆の中、僕は自分の席についた。
少しすると僕たちの担任らしい教師が入ってきた。
「今日からお前たちの担任になった高嶋大輔だ。体育を担当している。これからよろしくたのむ。」
体育会系かー。
熱血系じゃないといいけど。
「自己紹介を…いや、生活していく中で互いのことを知っていくことにしよう。」
ええー!
初めて見るタイプだ。
やりたいかやりたくないかで言えばやりたくはないけど…。
えぇー。
僕の経験上体育会系は自己紹介の項目が無駄に多いはずなのに。
めんどくさいのか本気でそのほうがいいと思っているのか。
やっぱり体育会系には謎が多い。
研究の余地あり。
その後一人一台スマートフォンが配られた。
学園内において連絡手段兼財布となるらしい。
詳細とルールはこうだ
・学園の生徒のみと連絡可能
・学内では[マイル]と呼ばれる独自の通貨を使用する。[1マイル=1円]
・毎月5万マイル支給される。
・学内ボランティアなどに参加することで追加で支給される。
・通販やネットサーフィン、動画視聴も可能
・通販は買うものを学園側がチェックする。不適切であると判断した場合購入は不可
「なにかあればいつでも質問するといい」
「では今日は解散。明日は遅刻するなよ」
そのままその日の学校は終了し、生徒たちは続々と寮へと向かっていく。
ほらー。自己紹介してないから生徒同士ほぼ会話なく帰っちゃったじゃん。
だからってやっぱり自己紹介したいわけじゃないけど。
僕は教室の設備でも見て帰りますか。
教室にはもう僕含め3人しか残っていない。
荷物を整理している女子、本を読んでいる出席番号が後ろの男子、そして僕。
教室をきょろきょろしながらうろつく僕は外から見れば不審人物である。
でもそれで言えば入学式初日に教室で本読んでるやつも大概だしー?。本読むなら部屋でもいいじゃん?
なんて言い訳を頭の中でしてみる。別に本ぐらいどこで読んだっていいのに。
そうこうしていると荷物をまとめ終わったのか残っていた女子も教室を出て行った。
「きゃーー!」
そのすぐあと廊下から悲鳴が聞こえた。
僕は廊下の方を見る。
何が起こったのかは教室からは見えない。
本を読んでいた男子と目が合い互いに頷いて2人で廊下に出る。
緊急事態の時、人は関わりがない人とも案外協力できる。
こともある。
廊下に出た僕たちの目に飛び込んできたのは水浸しになった廊下。
と、水で滑ったのか四つん這いになっている女子。
水道の横のバケツには水が貯められており…って穴空いてんじゃねーか。
違うとは分かってはいるが一応、女子に向かって女子とバケツを交互に指差し水を入れたのか確認する。
女子はやはり首を横に振った。
「ですよねぇー」
普通に考えてこの女子が教室を出てから今まででこの量の水を貯めることは不可能だ。
そうこう言っているうちにも穴から水が少しずつ漏れ、大きな水たまりを作っていく。
蟻から見れば僕らから見た日本海レベルなんじゃないだろうか。
そんなことを考えていると読書男子が
「先生に報告した方がいいかな?」
その通りである。
日本海とか言っている場合ではない。
「そうだね。僕が探してくるよ」
僕は先生を呼びに行く役を買って出た。
なぜなら行かなかった場合女子と2人。
なんて声かけるべきかわからないし、何より僕は女子が怖い。
僕に原因がないかと言われると何とも言えないが…。
何言われるか分かんないし何かしたら集団になって責め立て、しまいには泣き出すんだ。
怖すぎる。
わけがわからないよ。
先生はすぐに見つかった。高橋だっけ?まあ担任の人。
後ろの男子。いや同志よ。感謝したまえ。
世にも恐ろしい女子とのマンツーマンを僕がすぐに終わらせてやる!(読書男子が女子と話せないとは言ってない)
「高ㇵㇱ先生!」
名前ちゃんと覚えてなかったからもごもご喋ってごまかした。
「俺か?」
「そうです」
なんとかなったみたい。
「まだ残ってたのか?」
「まあ はい。いろいろありまして。ちょっと見てほしいものが」
「なんだ?」
「ついてきてください」
近くだったのですぐに現場に到着する。
「僕たち帰ろうと思ったらこのバケツから水が漏れて廊下が濡れててこのじょ…この子が滑って転んだんです」
僕は高なんちゃらに状況を説明する。
「そうか」
「で、誰がやったんだ?」
「わからないです。この子が発見するまで3人とも教室にいましたから。」
「でもお前ら以外誰もいないだろ?」
「そうですけど今いないだけじゃ…」
僕の言葉を遮って担任は言った。
「じゃあお前らの中の誰かと言うことだ」
はぁ?
「いや、ちが…」
「違わない」
この男!人の言葉を何回も遮りやがって!
「俺が言うんだからそうなんだよ!」
無茶苦茶だ。
なんなんだこいつ。
「どうせお前だろ?」
そういって女子のことを指さす。
「違います!」
当然女子はこれを否定する。
「そうです。この子にそんなことする時間は…」
「お前は黙ってろ!」
おいおいおい。まじかこいつ。
僕には別に正義感なんてものはない。
ただ僕が思う自分なりの正しさが認められなかった時、無性に腹が立つ。
自己中だということはわかっている。
でもこれは曲げたくない。
「この子にはする時間も理由もありませんでした」
「教師に口答えするのか?」
「これは口答えではなく正しい判断をするための状況説明です。」
「正しい判断だあ?」
「俺が下した判断は正しいに決まってんだろ!!」
そういって高嶋は僕の胸ぐらをつかみ壁に押し付ける
体育教師なだけあって抜け出せそうもない。
首が絞められ息がしずらくなってくる。
「この学校は…生徒に…暴力を…振るっても…いいん…ですか?」
「これは暴力ではない。教育だ!」
そういって高嶋は僕の腹に膝蹴りを入れる。
「うっ!」
痛い。
高嶋は僕を投げ捨てて言った。
「あんまり教師に逆らうなよ」
この言葉は僕にだけではなく他の2人に対しての警告でもあるのだろう。
「廊下、掃除して帰れよ」
そう吐き捨てて高嶋は歩き去って行った。
今回は誠一くんが学園に入学し不信感を抱くきっかけとなった出来事までを書いてみました。
次回からは誠一くん以外のキャラも登場予定なのでよろしければ読んでいただけると非常に嬉しく思います。