鵲に風鈴
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
幻想奇譚です。
ガールズラブは“意識してません”が、そう思われるかも知れません。
そして記念すべき千作品目(多分)!!
今振り返って見れば、梅香の君を男性だと意識して書いてないと思うんですよ。
全てを蕩かすお天道様の光が注ぐ季節。吹き出る汗が肌を全て蕩かしてしまう程に、全身が濡れゆく真夏日です。私の頬も、朱を塗った様に赤く染まっております事でしょう。それを見兼ねた御友人が、持っていたハンケチを私の額に押し当てるのです。
「滴るものは魅力だけで良い。汗は滴らせるものじゃ無い」
瞳は暑さに平伏して、気怠く溶けておりました。それでも他者を気遣う程の理性はきちんと残っております。ですからこれ以上、そうさせない為に、極楽に移動致しましょう。
そう歩いていた時の事で御座います。蓮池に目を向けておりました。丁度蕾がぽってりと膨らんで、花開く手前の最も美しい頃合い。昨年は先に私が負けてしまい、長々と拝見する事が出来なかった代物で御座います。
「渡ぃ、此処で長々と見るよりも、あっちで見ようよ」
そう御友人が指差す先には、数多の短冊に彩られた鵲の橋が御座いました。遠くからでも良く分かる、風車の音。御友人が仰る通り、此処で拝見するよりもあの元の方がきっと素敵でしょう。
私は静かに微笑みかけると、御友人と共に歩み出しました。
鵲の橋の元、空を見上げると、硝子の帽子を被った風鈴が舌を伸ばしております。聞こえるのは、風車が回転する様な小気味の良いカラカラとした音。風の唄が鼓膜を揺すります。その中に混じるように、音程の異なる風鈴が主旋律の様に色を添えるのです。
「あぁ……涼しい……別世界だ」
お友達がそう仰る通り、四方八方から聞こえ来る音は、別世界への橋渡しの様に思えるのです。この橋を渡り切ったら、きっと此処ではない世界に飛ばされるのではないかと、そう思ってしまうのです。
「久方振りに訪れたのですよ。この場所に」
「へぇ? 君らしくもない」
それはきっと、この場所を訪れなくなった、私への皮肉が含まれております。それを静かに受け入れて、私は微笑み返します。
「やはり風鈴とは、良いものですね」
今年の夏を感じたのは、私の故郷で御座います。
オマケ
暑くて、一瞬で顔から汗が吹き出した。真夏の日差しに全てが奪われる。奪われて、絞られる。
そんな時にふと陰りが差した。細めていた目を開けて、周りを伺うと、貴人が一人傘を差し出される。そして空いた方に握られたハンケチで、濡れた私の顔やら肩口などに押し当てるのだ。
「滴るのは魅力だけで良い。汗は滴らせるものでは無いよ」
そう仰って、静かに微笑みかけるのだ。そんな事を仰る、貴人だった。
「ふ……ははは!! あぁ貴人、貴方様の事を男性と意識した事はないのですよ。だって余りに婀娜っぽいから、靱やかで、気品があるから。
あぁ……ふふふ、貴方がどんなにお姿を変えても、直ぐに分かりますよ」
男性と言うのは、やはり全てを削ぎ落とした上で、何かを勝ち得るものだから。婀娜も、気品もかなぐり捨てて、それでも己のゆく道を歩く方だから。
正体も分かってきたところで、ふとこんな事が言いたくなった。
「真夏、日が照り付けば、蓮の花をも脚開く。とね」
「うら若き乙女がそんな事を言うもんじゃない」
あぁ、やはり、梅香の君だ。
記念すべき千作品目なので、梅香の君の話がしたくなりました。
鵲の橋も、本編あんまり関係なさそうにぶっ込んだのは、梅香の君を意識してです。
あ、梅香の君と言うのは頻繁に登場する神様の事。
モデルとなった方がおられるので、仮名がこれなんです。
あんまり梅香の君を『男性』と意識して書いた事が無いんです。
それは武勇を上げるよりも、風流人であること、貴人めいた部分を意識しているからだと思います。
めっちゃ婀娜っぽい。女性のような靱やかさがある。
凄く俗な言い方で申し訳ないのですが、心配性、子煩悩含めて『お母さんっぽい』んです。
だからもう、女性にぶっ刺さりそうな(此処はど偏見)な台詞を仰らせたくなるんですが。
蓮の花も風鈴も目眩を覚えて別世界を覚えるように綺麗でした。浸りたいと思うのと、暑さで溶けるというのと、葛藤し、今日を終えます。
最後は少々下品な話なので、梅香の君が怒ってます。
でもこの注意が出来るのは、やはり感性が女性的だと思います。
此処を解説する前に、ちょっと蓮の花について。
蓮の花って開き切って、花弁を落とすんですよ。
蕾が蜂の巣の様に、プツプツしてるんです。
此処から来て意味的には
暑さに色ボケし過ぎじゃない?
花言葉が『清らかな心』な蓮の花だって花開いて、芯を晒してる。
品がないよねぇ?
という特大級の皮肉です。怖っ( ; ; )
苛立ったように、グラスの氷をカラカラ言わせるのは私です。