【第3章】異世界冒険譚、新章開幕ー!!
私たち一行は、無事に“精神分離の魔法”で決別してしまった肉体と魂を元に戻すことができた。
そもそもの目的が達成できたので、それ万々歳だったが、ネモフィラさまに殺されかけたり、“運命の力”と呼ばれるものになったり、結構波乱万丈だった。
さらに言えば、ネモフィラさま曰く“過ぎ来し時の鏡”という不思議な力も開花した。
だが、バタバタしていて、この能力のことを詳しく聞くのを忘れてしまった。
あとで時間があるとき、ネモフィラさまに聞きに来よう。
村を出るときに、パラ(ネモフィラさまの侍従)が薬を手渡してくれた。
えーっと、なんだっけ。
そうそう、ジゾウソウとクギョウダケとマンダラの実をすりつぶして、ネモフィラさまの魔法の力を入れて作った特別な薬だ。
なんでも万治に効果がある特効薬みたいで、のむと体の治癒が進むらしい。
“精神分離の魔法”は、文字通り心と体が離れてしまう魔法だ。
すぐに戻れば良いのだが、私は規定の時間や日数を越えてしまっていた。
それゆえに、心と体が再び馴染むのに時間がかかってしまうのだ。
例えば、右手をあげたいのに左足が動いたり、座りたいのに頭をブンブン振ってしまったりね。
もっと言えば、いきなり起こりだしたり、些細なことで泣き出したり、イライラしたりー。
そんな不調を治すには、湯治がいいとネモフィラさまは教えてくれた。
そこで、私の体の回復のために、ネモフィラさまの紹介状のもと、“癖があるやつがいる”湯治場に向かうことにした。
どこにいくにも異世界だ。
ワクワクとハラハラが待っている。
「ミー、どうした?まだ体がうまく動かないか?」
奴隷契約(と言ってもただの友達のような関係)を結ぶ赤髪の美少女エルフであるヒルナが心配そうに声をかけてきてくれた。
「大丈夫だよ、歩くのはコツをつかんだ。ちょっと色々思い出しててね」
「この村でも、たくさんのことがあったからな」
「お姉ちゃん、先に別の移動魔法で行く?」
次に声をかけてくれたのは、時の神クロノスを父に持つ緑髪のボブヘアで背中に白い羽を持つ幼女であるクロノだ。
「ううん、これくらいは大丈夫。ありがとう」
「無理するでないぞ。いつでも心配なのじゃ」
「イズミは頑張りすぎるからね、無理は禁物だよ」
美少年が後ろから優しく私の肩に手を置いた。
私が精神分離の魔法をつかうきっかけになった戦いをしたロキだ。
元いた世界でも“トリックスター”として名高いロキとの戦闘は今思えばいい思い出だ。
「さぁ、ロキ。ヤァヤァの館についたぞ」
移動魔法の空間で、ヤァヤァという名の魔女がいる部屋の扉の前についた。
「ロキ、ヤァヤァによろしくね」
「うん、ありがとう。みんなも気を付けてね」
ロキは何でも“過去に決着をつけにいく”らしい。
昔、神族に弟子入りをした際に自らが犯してきた行動の清算をしに行くのだという。
ヤァヤァは、私やヒルナが奴隷契約を結ぶウシとカバを足して2で割ったような顔をしたウカという気前がいい商人の息子の遠い祖母だ。
遠いと言っても、ヤァヤァは魔女であり、何百年と生きている。
ケンタウロスの血も引いていて、頭には大きな角があるが、大きいのは角だけじゃなくて胸だったりお尻だったり、色々豊満で妖艶でずるい。
そうそう。
ヤァヤァと言えば、アロゴにも会いたいな。
こちらは完全に顔は馬、だけど体は人間という馬族のイケメン紳士アロゴ氏だ。
昔、恋人の心臓をえぐり抜いてしまう事件があったけれども、ヤァヤァが魔女法すれすれで組成して、恋人を生き返らせて、今ではゼロ歳の馬になったんだよね。
その恋人の名前は、カブイーラって言うんだよ。
生まれた翌日には自分の足で走っていたくらいだから、今はもっと大きくなっているんだろうなぁ。
ちなみにカブイーラは、体は馬で上半身は人間という作りをしているよ。
異世界でしか会えない面子。
ネモフィラさまだって、水色にウェーブをかけた長くて美しい髪に、両手が白い翼になっていたし、耳は片場よりも大きくてもふもふのふわふわの姿だった。
一回だけ、勢いで抱きついてしまったけど、あの香ばしくて太陽のような香りは絶対に忘れられないな。
香りつきの香水を作るか、ネモフィラさまも一緒に旅に来てほしかったなぁ。
そうこう考えているうちに、目的の場所についたらしい。
「お姉ちゃん、着いたぞ。ここがネモフィラが言っていた湯治場じゃ」
「これでミーも完全回復だね」
「うん!」
私たちは、文字通り新しい旅の扉を開けた。
さぁ、今度はどんな旅が待っているのかー?!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
更新の励みになりますので、いいね!やブックマークをどうぞよろしくお願いします!
書籍化を目指して日々更新していますので、明日もまたぜひ読みに来てくださいね\(^o^)/




