神様、災いの浄化、贈り物
ネモフィラさまのお祭りは、それはもう豪華なものだった。
次から次へと食べ物は出てくるし、人々は陽気に浮かれ騒ぎ、躍り狂い、老若男女みな満面の笑みを浮かべている。
「さぁさぁ、召し上がれー!」
どこの者かわからない人も、この日ばかりは大盤振る舞いで、机に乗りきらないほどの食べ物をお皿に入れてくれる。
これはなんだろうか?
お米のようにも見えるが、そうでもなさそうだ。
丸くて白いつぶつぶは種のような食間がする。
お酒もこれでもかと言うくらい出された。
ネモフィラさまをイメージした青いお酒は、さながら“ブルーハワイ”にしか見えなかったが、飲むとさっぱりと喉を潤し、程よいアルコールを感じた。
ネモフィラさまの魔法で、常に空からは花びらが舞い落ちてくる。
人々は頭に青い花びらを乗せて、いろんな人とバグをしたり、肩を抱き合ったりと、とても友好的な雰囲気を感じる。
本当にこの村の人々はネモフィラさまが大好きで、このお祭りが大切なんだ。
そう感じることができる祭りだった。
お披露目の儀の最中、ネモフィラさまはずっと高台のお囃子の上に据わって、時折頷きながら、満足そうな顔でみんなを見ていた。
ネモフィラさまに手を振る者には、優しく手(翼)を振り返していた。
「ねぇ、今年は遂に翼が生えたのね!素敵だわ~。正に生きる化身ね。神さまの創造物よ」
「そうよね、本当に。来年は何かしら?尻尾でも生えるのかしら?
一度でいいから触らせてもらいたいわ」
ちょうど隣の席で盛り上がる中年の女性二人組の会話が耳に入った。
「ちょっとそのお話、よく聞かせてもらえますか?」
「あら、あなたたち、そういえばネモフィラさまのお知り合いよね?
ネモフィラさまの素敵な秘密、ご存じないのね?」
「そうなんです。詳しく聞かせていただきたいのですが」
「もちろんよ~!私ったら、ネモフィラさまのこと大好きで、毎日お社で手を合わせてから仕事をするのよ。そして寝るときも、ネモフィラさまの方角に向かってお辞儀してから寝るんだから」
「あら、私なんてネモフィラさまが初めて“耳が生えた”ときの抜け毛を持ってるわよ」
なんだか二人でヒートアップしてきてしまったが、そこになんとか分け入った。
「ネモフィラさまね、毎年死んでは生き返るのを繰り返していらっしゃるの。
そして、神様のところに行って、私たちの犯した罪や汚れを持っていって、浄化してくれるの。ネモフィラさまが、そうなさることで、この村には災いが起きないのよ。
そして、ネモフィラさまは神様から贈り物をもらって帰ってくるの。私たちにはないものよ。あれは魔法でも魔術でもないわ」
村人の一人は、うっとりとした眼差しでネモフィラさまを見つめながら言った。
神様、災いの浄化、贈り物。
本当にそうだといいのだがー。
そのとき。
華やかな雰囲気を切り裂く金切り声が広場に響いた。
「キャーッ!誰か!誰か助けて!」
甲高い女性の声だった。
声は広場の中心から聞こえた。
「…ネモフィラさま…?」
紛れもなく、先程まで優雅にお囃子の上で座っていた彼女が、ぐったりと横たわっているのが、遠くからでもよく分かる。
「どなたか、どなたか…」
声の主はパラだった。
「ミー」
「お姉ちゃん」
「イズミ」
皆が私の名前を呼んだ。
「うん、もちろんだよ。助けに行こう」
私はクロノの飛行に伴だって先にネモフィラさまのところへ向かった。
「あぁ、みなさま…」
パラは混乱していた。
「ちょっと見せてください!」
お囃子の上は、穴と言う穴から血を吐き出してピクピクと痙攣する女性とも言えない人が横たわるなんともおぞましい光景が広がっていた、
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