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時空間移動魔法、そして注意喚起

「じゃあ、行ってくるね。なるべく早く戻ってくるね」


「ミー。とても寂しいし不安だ。でも、ミーのことを信じている。必ず戻ってきてくれ」


「ヒルナ、見くびらないでよ。それに今回は時空間移動だけだから、時間が経ったらすぐにこっちの世界に引き戻されるだけだから、全く危険じゃない。安全すぎるくらいの魔法じゃ」


クロノはここぞとばかりに私に甘えている。


「お姉ちゃんと一緒嬉しいな」


私だけに聞こえるくらいの声量で、声を弾ませて言うクロノはかわいい妹のようだ。


私はクロノの肩の上付近に浮遊をして、みんなの顔を眺めた。


「イズミ、申し訳ない。僕がいくべきところ、本当に何から何まで…」


ロキは本当に申し訳なさそうな顔をして、今にも泣きそうだ。


「いいんだよ、ロキ。これはロキのためでもあり、私のためでもあるんだから」


ロキの顔の周りを何度か回りながら、どうにか少しでも彼の罪悪感を消せるようにと祈った。


「じゃあ、行ってくるね。行こう、クロノ」


「もちろんじゃ」


クロノは事前に用意していた“時空間移動のための椅子”にとんっと腰を掛けた。


私はその座ったクロノの膝の上にある手の中に収まり、着座した形をとった。


椅子は何処にでもありそうな、木製の背もたれが大きい古めかしい一品である。


「では、いくぞ」


次の瞬間、クロノは口早に呪文を唱えると、足下に気緑色の魔方陣が出現し、大きな風や煙を吐き出した。


周りにいたみんなの髪や服も大きくたなびき、強い風を感じながら、私たち二人を見守っていた。


「いざ」


短くクロノが言うと、瞼を開けられないほどの大きな光を放ち、そしてシュッと音もないままに、椅子の背もたれに吸い込まれるように姿を消した。









「ここは…森?」


風と光が収まったことを確認し、ゆっくり瞼を開けると、そこには色落ちしたセピア色の世界が広がっていた。


「そうじゃ、森じゃ。村のすぐ隣にある森じゃよ。ヤァヤァの家から移動魔法で来たときの場所と同じじゃが、やはり木の感じが違うのう」


クロノが豊かに繁る木々を見上げながら言った。


「セピア色に見えるのは、やっぱり過去に来たから?わたしの目が疲れている訳じゃないよね?」


「うむ。今回の魔法は、“世界線に干渉しない時空間移動”なのじゃ。もしも過去の何か出来事を変えたいというのであれば、“色付きの世界”に行けばよい。ただ、そうなれば歴史も未来も変わるので、消費する魔力も膨大だ。


“世界線に干渉しない時空間移動”であれば、ただ絵本のコマ送りのように目の前に流れる映像を見るだけで済む。


リスクは少ないが、さかのぼる時間や人数によって難易度は変わる。


今回は5年前、ネモフィラが人柱になり始めた時期を狙って移動したのじゃ。そこで何が起きていたかを確かめるだけでよかろう」


クロノは幼女らしからぬ見た目に反した言葉遣いで説明をしてくれた。


「良かった。リスクは少なそうね。でも、時間は少ないだろうから、効率的に答えを探したいわね」


「うむ。さすがお姉ちゃんじゃな。そう何度も行き来はできぬぞ。


この世界線の人間には見つからぬ、というより視認できないが、用心は必要じゃ。


例えるなら、鳥かごの外から見ている感覚じゃな。鳥はこの世界の人物たちで、我らは外から見る観察者じゃ」


「オーケー。そうなれば、善は急げね」


私はふわふわと飛びながら、村に向かって飛んでいこうとした。


「お姉ちゃん」


強い語気で呼ばれて、はっとした。


「な、なに?」


なんだかいつもの柔らかいクロノの様子とは違う。


「ネモフィラの秘密を知る前に、話しておきたいことがあるのじゃ」


「うん、何?」


「そのために、二人きりになったのじゃ。お姉ちゃん、今のうちに、言っておく」


「うん、どうしたの?」


「ヒルナには、気をつけてほしいのじゃ」


いつになく真剣なその雰囲気に、並々ならぬ雰囲気を感じた。


ヒルナに気をつけてって、どういうこと?

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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