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異世界サプライズ大作戦、開始!

ヒルナの精霊魔法プセオドスが向かった先は、館の外れにある壁だった。


「ここ、だよね?」


「ここだな」


「ここなの?」


プセオドスが集まって光を発している場所は広くて長い廊下の一部の壁だった。


何処かの風景を切り取った風景画が飾られている場所を中心に、ドアの形状に沿って、プセオドスが四角形を描いていた。


「ここで間違いない。プセオドスは偽物の壁、隠された扉を発見したのだ」


ヒルナは赤髪を揺らしながら言った。


「すごいなぁ。僕も精霊魔法使えるようになりたいな」


ロキはのんびりと言った。


「では、入るぞ。どうやら取っ手がない押戸のようだ」


「うん」


プセオドスのお手柄で見つけた隠された扉の向こうにヤァヤァさんがいてほしい。


ヒルナは朱色の壁に手をかけて、ゆっくりと体重をかけて、奥に潜む影を見つめた。







「ここ…すごい…」


なんの変哲もない廊下の壁の向こうにあったのは、なんと熱帯雨林だった。


緑の木々たちが天高い太陽に触れようとするかのように青々しく精力的に葉を伸ばしている。


私たちの慎重を遥かに超え、さらには館よりも大きく我が物顔で生えている熱帯雨林は何メートルあるのか検討もつかないくらいに大きい。


姿は見えないがうっそうと繁る熱帯雨林の中に、動物もいるようで、鳥などの鳴き声も聞こえる。


さすが、魔女と言ったところだ。


ただの屋敷の中に、こんな立派な熱帯雨林を作れるなんて。


しかしここにはヤァヤァさんはいなそうだ。


私たち三人は大きな葉っぱを泳ぐように掻き分けながら、ヤァヤァさんの姿を追った。


暫く歩くと、いきなり視界が開けた。


「え。嘘~!」


そこには真っ青な海が広がっていた。


白い砂浜に生える海と空の青のコントラストが目に眩しく映る。


「綺麗…」


太陽の光が水面に反射して、無数の宝石が揺れ動くように輝きを放っている。


仕事に追われていた頃は、海なんて行くのが縁遠いものだった。


私の視界に入るのは、パソコンの画面と疲れた人々の表情と、数字と一人分のご飯だけだった。


それが今はどうだろう。


こんなにも生き生きとした世界が広がっている。


文字通り、命と命をぶつけてすり減らすような日々だ。


「ヤァヤァが向こうにいる。行こう」


ヒルナが白い砂浜の先を指差していた。


向こうにはリゾートパラソルを優雅に開いてカクテルジュースを飲む放漫ボディを大自然に放出していた。


「ヤァヤァさん」


近づくとヤァヤァはサングラスを下げて、大きな麦わら帽子を上げて私たちの顔を確認した。


ハンモックのようなものに体を預けて横になっている。


不思議なことと言えば、そのハンモックは宙に浮いていることくらいだ。


「なんとまぁ、見つかってしまうとは。ヒルナの魔法か?」


「あぁ。休息中すまなかった。私の精霊魔法プセオドスだ」


「お主の魔法もまだまだ優秀だのう」


ヤァヤァさんは、どこぞのグラビアアイドルよりも出るところが出ているボディをしていた。


頭から生えているミノタウロスの角を除けば、Kカップの爆裂ボディを従える妖艶な妙齢女性だ。


ヤァヤァさんのイメージカラーでもある黒と紫色の魔女服と同じ色の水着は隠す面積が少ないことと、ヤァヤァさんの豊かな乳房を覆うには少しだけ小さいようだった。


白い陶器のような肌に食い込むビキニがなんとも色気に満ちている。


「ヤァヤァさん、私たちお願いがあって来たんです」


「あぁ、分かっておる」


「え?そうなんですか?」


「屋敷は妾のからだの一部だ。何が起きているのか、すべて知覚や嗅覚などの情報として入ってくる。


それよりも、見せてはくれぬか。生で見るのは私も初めてだ。これは魔女仲間にも自慢できる」


さすが、ヤァヤァさんだ。


抜け目がない魔女である。


敵に回すと厄介だが、仲間にするととても強力なタイプである。


「見せるのはできるけど、本当に協力してくれるんだよね?」


ロキは若干疑いの眼差しでヤァヤァさんを見つめた。


「そうだな。約束はできぬ。何故ならば、妾の長い人生でも初めてだからな。しかしながら、手は尽くすぞ。これで妾は魔女界に新しい歴史を作り、一目置かれる存在になるということだな」


「交渉成立だな」


リゾートパラソルの下にある虹色のカクテルドリンクを一口飲んで、ヤァヤァさんは体をハンモックから起こした。


「さて、一仕事だな。アロゴが起きる前になんとかしたいな」


「ありがとう、ヤァヤァ」


ロキはとても嬉しそうだった。


「”お礼は形にして返さないとな”」


「あぁ、そうだな」


「よし、では、仕事場に戻ろうか」


ヤァヤァさんは指をパチンと鳴らすと一気に目の前の景色が変わった。


「お、ここは」


ここは、ヤァヤァさんの館を初めて訪れたときに通されて、アロゴさんの過去の話を聞いたあの魔女部屋だ。


大きな魔女鍋に天井から吊るされた乾燥した謎の植物たち。


そして所狭しと置かれる埃を被った謎の文字でかかれた厚い書物たち。


「魔女ヤァヤァの腕の見せ所さ」


いつの間にかヤァヤァさんはいつもの魔女服に戻り、魔女の尖り帽子を被っていた。


アロゴさんへのサプライズ大作戦、開始!

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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