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異世界宴会はどこまでも混沌

楽しい晩餐会は、お酒の酔いが進むのと同時に終焉へと向かっていった。


全員が一応はお酒が飲める年齢であるがゆえに、この宴会場はかなりカオスな状態になっていた。


見た目は小学生高学年くらいにしか見えない白髪の美少年であるロキは、そこまでお酒は強くないものの、嗜む程度には頬を赤らめている。


同じく見た目は小学生中学年くらいにしか見えない緑髪の天使であるクロノは、なかなかに酒癖が悪いようで、酔いで舌が回らなくなっているものの、ロキやアロゴや私にベタベタと絡んでくれた。


アロゴは意外とお酒が強いようで、お酒を飲みつつ私たちのお酒のアテの小料理も作って提供してくれた。


私が元いた世界にアロゴがいたなら、家での飲み会にかなり重宝されていたことだろう。


アロゴが興味あるのであれば、いつか現代にも招待をしてみたいものだ。


ヒルナはというと、結構お酒が強いようで、水のようにガブガブとお酒を飲み続けても、顔色ひとつ変えずに飄々としている。


ヒルナがもしも現代に行ったら、ヒルナを落としたい男たちは大変だろう。


ヒルナを口説く前に自分がお酒でノックアウトさせられてしまう。


それでも、一番の酒豪はやはりというべきか、魔女のヤァヤァである。


ヤァヤァに関して言えば、私たちよりも度数が高いものをそれこそ大量に摂取しているが、こちらも顔色どころかお酒を飲んでいる気配が全くしない。


一口だけヤァヤァから謎のお酒を味見させてもらったが、とてもじゃないが喉を通ることはできなかった。


魔女はお酒の耐性でもつけているのだろうか?


私は元よりお酒は好きだが、人並みなので、もう充分くらいには飲んだ。


この光の集まりのからだにも胃袋と言うものが存在するらしく、もうお腹はいっぱいで、アロゴの作った美味しいおつまみすら、一口も入らなそうだった。


「ああー、もうお腹一杯。私寝るね」


「そうだな、そろそろお開きだ」


「なにー!まだまだ夜は長いぞ~!これだから若造は~」


「クロノさま、この中ではあなたが一番見た目上は若いですよ」


「年齢で言えば、僕が一番年上かなぁ」


「いやぁ、愉快愉快」


みなそれぞれに時ガンを満喫している。


「ごめんなさい、本当に私眠くなってきちゃった。先に寝室に行くわね。みんなはまだ楽しんでいて」


アロゴさんの言っていたとおり、省エネモードに見えて、この体(光の集合体)を維持するのはなかなかに体力が要るようだ。


「ミーが行くなら私も行く」


ヒルナは着いてきてくれるらしい。


本当に忠実な主従関係である。


クロノもついてくるかと思ったが、こちらは酔いが激しいらしく、「わしはまだ眠らんぞ~!」とロキに絡みながら叫んでいたので、そのまま楽しんでもらおうと、そっと宴会場を後にした。






寝室に向かう廊下で、ヒルナと二人にきりなったので、気になっていたことを聞くことにした。


「ねぇ、ヒルナ。ロキの子どものフェンリルと戦っていたんだよね?傷の具合は大丈夫?」


「うん、もちろんだ。フェンリルは強かった。私とクロノではどうがんばっても勝つことができなかった」


「ロキから二人が死んだって聞いたときは本当にこの世の終わりかと思ってびっくりしたよ。でも、そこからどうやって復活したの?」


「それだが」


ヒルナは一呼吸おいて、私の質問に答えた。


「私もクロノも戦闘能力は高くないのは明白だった。だから、敢えて“負ける”ことにしたんだ。しかし、まだ未知の敵だったフェンリルもロキも素性が知れない。だからこそ、負けることが必要だった。


私もクロノも戦闘能力こそ高くはないが、長年貯めてきた魔力は相当なものだ。そこで、一旦魔力で精神力を空にして、死を偽装したのだ。もちろん、賭けには等しいが、ミーも賭けに近いリスクを背負って精神の核を探し出してくれた。


私もクロノも等しくリスクを背負ったのだ」


「そうだったんだ」


私は酔いが回っている頭で必死に理解しようとしたが、あまり把握できず、とりあえずヒルナもクロノも必死になってくれたことだけは分かった。 


「ユニコーンは感知タイプだと思ったのでな。予想が当たって良かったよ」


「あとさ、精神の核を外側から壊して助けてくれたじゃない?あのとき、ヒルナが巨人になったのはどうして?」


「あれは、私が巨人になったのではない。ミーが小さくなっていたのだ。精神の核を探すときに、ユニコーンの鼻から入っただろう?そのときに、体が縮小されたのだ」


「なるほどー。でも、クロノは小さかったよね」


あぁ、と少しだけ酔ったようなそぶりを見せて、ヒルナは続けた。


「あれは、クロノが魔力を使いすぎて物理的に小さくなったみたいだ。単身でユニコーンを誘い出した疲れも出ていたみたいだな」


「そうなんだー。ありがとう、よく分かったよ」


やはりお酒が回っている頭では、全部を理解することが難しかったが、一旦疑問は晴れた。


ヒルナとクロノはどちらも何百年単位で生きているみたいだが、実はヒルナの方が魔力的にも強いのかもしれない。


「さぁ、ミー。寝ようか。護衛は私がするから、ゆっくり休んでくれ。明日も旅に出るから、体力を回復してくれ。足りない分は、回復魔法で補う」


「ありがとう、ヒルナおやすみなさい」


今日は本当にいろいろなことがあった。


私は次の瞬間には寝落ちしていた。


アロゴさんの整えてくれたふかふかのベッドは、とても居心地がよかった。


寝落ちする寸前、向こう側のベッドで横たわる私の体が目に入った。


無事、元のからだに戻れるのだろうか。


それよりも、押し寄せる睡魔に負けて、朝までぐっすり眠った。


異世界生活、四日目が始まろうとしていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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