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終焉の晩餐、そして新たな旅へ

白の少年の正体が分かって、全員が一通り驚き終わったあとに、楽しい晩餐を開いた。


それはそれは、楽しい晩餐会だった。


白の少年、ロキは、誰かと食事をしたのはそれこそ何百年ぶりらしく、何度か食事中に感極まって泣いていた。


時にアロゴの優しさに触れて泣き、ラトゥリアを思い出して泣き、同じくらいの年齢である(見た目だけだが)クロノとの何気ない会話で泣いていた。


ヤァヤァは会話には入らないものの、キセルを吸いながら、みんな会話や喜怒哀楽の様子を楽しそうに眺めていた。


ヒルナの鋭いツッコミには怯まず返している辺りは、さすがトリックスターとしても名高い頭の回転の高さを見せつけていた。


「みんな本当にありがとう」


みんなにも慣れてきた頃には、ロキは神族たちの話や誰も知らないような興味深い話をたくさんしてくれた。


そして、みんなが一通り食事を終えたあたりに、アロゴも席について、落ち着いた食後のティータイムになった。


「さて、私からよろしいでしょうか。楽しいティータイムに水を差してしまい申し訳ないのですが、これからのお話をしてもよろしいでしょうか」


「うん、もちろんだよアロゴさん。犯人、見つけたいよね」


「イズミさん、ありがとうございます。そうなのです。当初お三方にはユニコーン殺しを名目として、ご主人であられますウカさまからお許しを得て来ていただきました。しかし蓋を開けると、私が数年かけて探し求めてきたものは、外れだったということです。真実はより根深いところにあることが分かりました。


しかし、やはり私はまだ諦めることができません。犯人をこの手でしとめることだけを目的に生きてきました。


今さら普通の生活には戻れません。この手もまさに復讐で作り上げられたようなもの。私の目が黒いうちは、どうにか犯人が誰なのか、そしてなぜ村を大火で焼き尽くしたのか、それだけでも知りたいのです。


それが、村で唯一生き残った私への使命であり、村を代表しての思いなのです。


皆様を私の私利私欲の出来事に巻き込んでしまい大変申し訳ございません。しかし、私一人ではなにもできません。どうか、お力をお貸しください」


アロゴは座っていた椅子から立ち上がり、深々とお辞儀をした。


こんなに礼儀正しく実直に生きているアロゴさんを不幸に追いやった奴が許せない。


私も村に大火を放った悪党の真意が知りたい。


「私はもちろん協力します。白の少年…じゃなくて、ロキやヒルナが言ってくれたんです。異世界から来た者は何か使命を与えられてくるって。それが、アロゴさんの解決だと信じています」


「ミーが言うなら私も二言はない。協力する」


ヒルナが続いた。


「お姉ちゃんとクロノはずっと一緒なのじゃ」


クロノが甘い焼き菓子を頬張りながら元気に言った。


「みなさん、本当にありがとうございます」


アロゴは再びお辞儀をした。


この世界でも、お願い事をするときは頭を下げるのだなと、ふと感じた。


そのときだった。


ガタッと椅子が動く音がした。


「ぼ、僕も手伝いたい…!」


それはロキだった。


アロゴが立っているのに連れられて、ロキも勢いよく椅子から立った。


「僕もあなたに協力をしたい。大切な人を失う気持ち、すごくよく分かります。僕は無駄に生きてきたように見えるけれど、長生きしていた分知識も経験もある。みんなが知らないようなことも知っていると思うから…だから…僕も一緒にいいかな?」


ロキはたじろぎながらアロゴを見た。


アロゴはふっと顔に笑みを浮かべて、「もちろんですよ」と答えた。


「あなたのような大スターが味方になってくれると、これほどまでに頼もしくて心強いものなのですね」


その言葉を聞いて、ロキは子どものように喜んだ。


「やった…!良かった…!」


「ありがとうございます、みなさま。奥さまもご支援いただきなんと感謝の意を示したらよいものか…」


アロゴは目から大粒の涙をポツリと流した。


「まぁ、まずはイズミが元に戻るところからだな」


ヤァヤァはキセルの先を私に向けて言った。


「ロキ、と言ったね。とんだ有名人がこの魔女の屋敷に来たもんだね。色好きの妾の友人たちがこぞってすぐに噂を聞きつけに来るに違いない。


まぁ、それは置いておいて、ロキよ。お主は本当にイズミの精神の核を元の体に戻すことができるんだよね?」


「うん。僕は除魔法ができる者を知っている。その人の生体反応も確認した。僕を救ってくれたイズミを、今度は僕が守る番だ」


頼もしくロキは言った。


「ありがとう、ロキ」


「そうと決まれば、新たな旅の始まりだな。善は急げだ。早速明日出発するのだろう?今宵は前夜祭だな」


そう言うとヤァヤァは指をパチリと鳴らすと、上からたくさんの蝋燭が出現した。


そして、目の前には金色のグラスも突然現れた。


まるでビールのようだ。


いや、これはビールにしか見えない。


ふわふわの泡に、黄金の炭酸。


まさか、異世界でもビールが飲めるとは。


「今日は宴だ!さぁ、心行くまで楽しむぞ」


ヤァヤァは杯を高々と上にあげて、乾杯の合図をした。


私はというと、光の粒の結晶体ではあるものの、ありがたいことに各感覚器はそのままなので、この黄金の液体に体を近づけると、実際に飲むことができるのだ。


なんと、ご都合主義!


今日はいろいろあった。


異世界で酒に飲まれる日があってもいいだろう。


こうして私の怒濤の異世界生活三日目が終わりを迎えた。


(これでまだ三日目なんて、異世界での生活は濃厚である)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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