ラトゥリアの決断
僕とユニコーンとの出会いは、僕が体が弱くなったことがきっかけである。
蛇の毒にやられた期間は100年ほどだった。
100年なんて、普通の人間でいうところの1年ほどの長さしかない。
それでも、蛇の毒は確実に僕を蝕んでいって、僕はすっかり病弱になった。
その当時は人間の歳でいう20歳半ばくらいの青年になっていたが、痛みに耐えるために、体を小さくして堪え忍んだ。
大人の大きい体よりも子供の小さいからだの方が物理的に痛みが及ぶ範囲が狭くなるので利にかなっていた。
日々体が弱っていく僕を、ラトゥリアは変わらず看病してくれた。
毒の入った水瓶を捨てに行くときと同じように、「気にしないで。好きでお世話させてもらっているのだから」といつもの優しい眼差しで答えた。
しかし、ラトゥリアの献身的な看病にも関わらず、僕の様態は悪化していく一方で、事態は日増しに深刻になっていった。
そこで、ラトゥリアは万病に効くという薬を探しだした。
ユニコーンの角に行き着くのには、そこまで時間かはかからなかった。
もともと真面目で実直なラトゥリアの性格が、勤勉に図書館や医者に足を運ばせることにつながったんだ。
さらには、僕が起こした一連の事件ではラトゥリアは全く関係がなかったことから、むしろラトゥリアの肩を持つ人の方が多かった。
それもあって、皆、彼女が少しでも楽になれるように力を貸したのだという。
そして、ある人が「ユニコーンの角は万病に効果がある」と言ったのだ。
ラトゥリア自身もユニコーンは不死の生き物でその一角が病に効くとは知識では知っていた。
しかし、半分迷信だと思っていたが、その時は藁にもすがる思いで、ユニコーンを探し始めた。
だが、ユニコーンは極めて異常な処女性を求める生き物だったこともあり、ラトゥリアは角を得るどころかユニコーンにすらお目にかかれない日が続いた。
そこで、ラトゥリアは考えた。
処女になるしかない、と。
このとき僕は昏睡状態で、彼女の相談に乗ることもできなかった。
もしも彼女に声をかけることができていれば、僕は自分の殻に籠ることなく、今ごろは新しい家庭を築いていたのかもしれない。
彼女は悪い魔女にであってしまい、張りぼてだけの処女に化けたのだ。
運良くユニコーンから角は得たものの、あとから彼女の匂いから後を追ったユニコーンが、ラトゥリアが処女ではないことを嗅ぎ付けてしまい、彼女は僕の目の前でユニコーンの角に刺されて死んでしまった。
不運にも彼女が取ってきた角はすべて僕に処方されてしまったので、彼女は僕の腕の中で息絶えた。
そこから、僕は体が完全に戻ってから、ユニコーンに化けて悪さをしようと悪巧みを考えた。
しかし、ラトゥリアが幽霊になって制止しているのか、僕は子供がするいたずらくらいしかできなくなっていた。
さらに何回かユニコーンに化けると、元の姿に戻れなくなっていたのだ。
僕は混乱した。
そして村を飛び出して旅をすることにした。
ラトゥリアがいないところなんて、いても意味がない。
村に未練は全くなかった。
むしろ、僕がいたから心優しきラトゥリアは命を落としたと言われたので、僕はもう自分のことを全く知らない場所を自然と求めるようになった。
そして僕の大切なラトゥリアを殺したユニコーンに復讐をするべく、事故現場がある場所を訪れては、ユニコーンの仕業だと思うように仕向けた。
あなたの友達の村を訪れたのもその一貫だ。
だから、僕は白なんだよ。
「そしてあなたは、今も元の姿に戻れずにいる」
「うん」
この少年も、きっと歩み始める道さえ違えば、幸せな未来をひた走っていたはずだ。
ある意味で被害者なのだ。
しかし、彼がした事実は変わらない。
「ありがとう。最後まで話してくれて」
さて、次はどうしたものか。
私はこれから先のことを脳に汗をかきながら考えた。
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