神族への弟子入り
「じゃあ、続きを始めるね」
白の少年は、引き続き昔話をしてくれた。
僕は僕の名声をさらに高めるために、兄弟殺しをやってのけた。
しかし、僕がやったことは、神族の反感を買った。
神族の中でも偉い父に弟子入りしたこともあり、僕がしたことは、神族の未来までもを汚した行為として見なされたんだ。
でも、いまでも僕は悪いことをやったとは思っていない。
あいつが神族の長になってしまったら、神族はいつかは滅びてしまうし、弱いものが強いものに倒されるのは当たり前のことだと思っている。
弱いものがトップに立っても、強い部族は守れない。
強いものが上にたってこそ、強い部族になると信じている。
神族の中には、父をよく思っていない輩もいるので、僕のした兄弟殺しは一部からは称賛され、僕欲しかった名声を自分のものにした。
父は嘆き悲しんでいた。
息子を生き返らせるために、大がかりな祭りまで始めていた。
しかしその祭りも、僕が変身の力を使うことで、祭りをめちゃめちゃにしてやったこともあったから、ただの騒ぎに終わらせてしまったよ。
結局、弟は生き返ることはできずに終わってしまった。
このときにもうアングは僕に嫌気が差していたので、僕はアングとは婚姻を解消していた。
一人孤独になりつつある僕を支えたのが、まさにラトゥリアだった。
ラトゥリアは何も言わずに僕に寄り添ってくれた。
それが何よりも嬉しいことで、喉から手が出る程の何ともない平凡な幸せだった。
僕のことを決して責めずに、それでいて僕のした兄弟殺しは一部のは人にはありがたいものでも、一部の人には全くありがたいものではないことを客観的に教えてくれた。
ラトゥリアは昔から起伏が安定していたこともあって、決して感情的にならずに、それでいて僕がした罪も一緒に背負ってくれるといってくれた。
僕はそのときになってようやく自分がしでかしたことの大きさを実感した。
そしてこれから罪を背負って、できる限り罪を解消できるように二人で生きていくことを誓った。
そうして、僕とラトゥリアの間には、ナリトとヴァルトという二人の大切な息子ができた。
しかし、平和な幸せというのは、ずっとは続かないもなのだ。
父である神族の長は、息子の命を奪われたことをずっと忘れることができず、さらには僕が幸せな家庭を築き始めたことをしり、これが反感を買ってしまったんだ。
父は大切な息子を失った代償として、僕の三人の息子を狙ったんだ。
そうだ、大狼のフェンリルと、大蛇のヨルムンガンド、そして死者の国を支配するヘルだ。
フェンリルは深手を負ったもの、唯一命だけは免れて今は生きている。
やはり、神族は手ぬるいんだよ。
優しさと妥協は違う。
しかし、ヨルムンガンドとヘルは、二度と地上の土を踏めないところまで行ってしまった。
さらに、僕とラトゥリアの子供も仕打ちを受けた。
父は自分と同じ目に遭わせたかったのだろう。
やはり、誰でも自分の子供を持つといい意味でも悪い意味でも変わる、変化を受け入れなければいけない生き物なのだ。
ラトゥリアと僕の間にもうけたナリトとヴァルトは、父の怒りからは逃れなれなかった。
次男のヴァルトは、僕を揶揄したかのように狼の姿に変えられ、理性を失った状態で訳も分からずに兄であるナリトを襲った。
ナリトは切り刻まれただけではなく、そのまま死ぬことも許されずに、その腸や臓器を鎖に変身させられた上に、僕を縛る道具にさせられたのだ。
父に捕らえられた僕は、鎖に変わったナリトの腸で縛り上げられた。
「なんて、おぞましい…」
私は思わず息を飲んだ。
想像することすら憚られる、血みどろの現場だったのだろう。
「もっとおぞましいのは、そのあとだよ」
もっとおぞましい…?
私が思っているよりも、神族は惨たらしくて、生々しいのかもしれない。
世の中は、私の知らないことで出来ているのだ。
白の少年はまだ続く長い恋の話を聞かせてくれた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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