ラトゥリアとの出会い
僕とラトゥリアは、巨人族の幼馴染みだった。
ラトゥリアは、巨人族の中でも高貴な生まれであって、教養もあり、心優しい女性だった。
たまたま生まれた日が近いということだけで僕たちは仲良くなった。
僕は平民の生まれだったけれども、ラトゥリアは見た目はそこまで派手ではなかったので、いつも裏口でボロボロの服に着替えては、町に繰り出して遊んだいた。
ラトゥリアが住む貴族の街には同世代の子供がいなかったこともあり、いつも大人と遊んでいた。
そんな中で、僕はいつものように村の仲間たちにいじめられて、逃げるときに貴族の街に迷い混んでしまった。
バルコニーでつまらなさそうに庭を見つめるラトゥリアと、ぼろ雑巾のような見た目で息を切らす僕たちは目を合わせた。
不思議と、庭に忍び込んだことは咎められないことには自信があった。
なぜなら、その幼い少女の瞳は、好奇心に満ちていたからだ。
きっと僕のような村の末端にいる存在を初めて見たのだろう。
目をキラキラと宝石のように輝かせて、「あなたは、誰?」と言ったラトゥリアは、僕が知るどの子供よりも美しく輝いていた。
ラトゥリアと頻繁に出会うようになって、ラトゥリアから勉強も教わるようになった。
この世の理や神族の話、空想のおとぎ話から貴族たちの間に広がる大人たちの噂話まで、何でも教えてくれた。
その代わりに僕はラトゥリアが知らない村の話や僕が色々なものに化けることができる能力を披露したりして毎日楽しく過ごしていた。
僕に悪知恵が備わったのは、他でもなくラトゥリアのおかけであることは、変わらない。
そして、僕たちはできる限り許されるまで同じ時間を過ごしていた。
僕たちの間にあるお互いを大切に思う気持ちが愛だと気づくのは、もっと先になる。
僕たちが夫婦になったのは、まだまだ先になる。
僕が神族に弟子入りをして、そこそこの名声を得るようになってから、初めて結婚したのはアングという女巨人だった。
僕にとってはなんてことはない神族への弟子入り試験は、周りから見るとかなり評価が高かったようで、アングの父から直々に結婚の申し入れがあった。
その時の僕は結婚にもふさわしい年齢になっていたこともあり、アングのことは別に嫌いではなかったので、そのまま受け入れた。
ただ、僕の本心としてはラトゥリアのことが好きだった。
心から僕のことを受け入れてくれるのは、いつだってラトゥリアだとは知っていたし、伝えてもいた。
でも、お互いにお互いを大切にしすぎるがあまり、一歩を踏み出すことを躊躇してしまっていた。
そして、そんな気持ちを抱えながら、僕とアングの間には、狼のフェンリルと大蛇のヨルムンガンド、最後に死者の国を支配するヘルという女性巨人を設けた。
「あれ?ラトゥリアとは結婚しなかったの?」
思わず私は白の少年の話を遮った。
「あなたは、せっかちさんだ。僕に似ているね。ラトゥリアと結婚したのは、兄弟殺しの後なんだ。まだ話は続くけど、付き合ってくれるかな?」
「もちろんよ」
ラトゥリアと白の少年の恋。
兄弟殺しがきっかけとなり、二人の間は急速に縮まったに違いない。
異世界の恋はやはり、ひと味もふた味も違う。
私は白の少年の話にさらに耳を傾けた。
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