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白の少年の告白

(兄弟殺し…)


その響きは、あまりにも毒々しくて、刺々しくて、ずっと脳裏にこびりついていた。


口の中が、じゃりじゃりとした感触になって、錆び付いた鉄の味がするようだった。


「やっぱり、聞こえは悪いですよね」


白の少年は、恐らく年齢はクロノと差ほど変わらないくらいの、元の世界で言うところの小学生くらいの年齢に見える。


背丈や顔立ちから判断をすると、小学校高学年くらいの歳だろうか。


クロノは小学校中学年くらいに見えた。


いずれにしても、二人は年のわりには落ち着いていて、そこら辺にいる人よりも教養があって、敬語をそつなく使いこなせているように感じた。


この世界では見た目は年齢を判断する材料にはならなくて、むしろ判断を惑わせる要因にしかならない。


「兄弟殺しって、そんなに悪いものじゃないんですよ。その結果、僕はこの世の中にたくさん発明品や武器をもたらしたんですから。犠牲と恩恵は常に隣り合わせにあるんです」


淡々と話すその姿に背筋が凍るような思いだった。


「…でも、誰も寄り添ってくれていなかったのよね」


私の言葉に、白の少年は一瞬はっとした表情をしてから、安心した柔らかい目元になり、


「よく分かりましたね」


と続けてくれた。


「兄弟といっても、血は繋がってませんよ。僕は巨人族で相手は神族だった。僕が弟子入りをした神の子供だったんです。


僕は努力で名声を得てきた。何もないところから、ゼロからのスタートで、上り詰めたんです。


でも、僕が殺めたその子供は、生まれたときから神族として重宝され、崇められていた。


疎ましかったんです。


いまでも思う。


はっきり分かります。


それは、純粋な嫉妬でした。


才能も地位も美貌も性格も、すべて絵にかいたような完璧な存在が本当に癪に触るんです。


生まれた場所や両親が違うだけで、僕はなんでこんなにも惨めな思いをしなきゃいけなかったのか。


身長が人よりも小さいだけで血を流し、容姿が女のようだ言われて殴られた。


そこで僕は、ある父である神族の長に尋ねました。


僕になくて、あいつにあるもの。その差はどこから生まれてきたのか?


父は答えました。


それは、神のギフトだと。


ただそれだけでした。


僕の功績は素晴らしいものだった。僕はあらゆるものに変身をして、完璧な作戦をやりとけだ。僕の示した偉業は素晴らしかった」


私は白の少年の話に耳を傾け続けた。


「ただ」


ここで、言葉や声の雰囲気がガラッと変わった。


「誰も僕を認めてくれなかった。むしろ疎まれる存在になった」


「なんとなく、わかる気がするよ。同じ境遇はないけれど」


私にも決して似ても似つかないけれども、近いような出来事があった気がする。


連日の異世界での怒濤で目まぐるしい生活で忘れてしまっていたけれども、元の世界では誰かの新恋人や結婚や出産の話とか、年収とかそんな見栄の話を聞いていて、落ち込んでいた。


もしかすると、もう少し火がついていたら、私もこの白の少年のように誰かを思いっきり傷つけて、鬱憤を張らしていたのかもしれない。


「ありがとう。あなたは、本当に心が優しい人だ。同じように同調されたとしても、僕にはその言葉が嘘か本当かくらいは、声から出るオーラで一目瞭然なんだ。


けれども、あなたを初めて見たときに、あなたは“本当”なんだって、すぐに分かりました。それもあって、僕はすぐに心を開いた」


「お話の続き、聞きたいな。あなたの大切な人がまだ登場してないもの」


正直、生々しい兄弟殺しの話は避けたかった。


でも、この少年が愛した人のことは、興味があった。


元の世界でも、異世界でも女子は恋の話には目がないのかもしれない。


「そうだね。ラトゥリアの話をしていなかったね。ラトゥリアは、僕の奥さんで、フェンリルの母だ。


まずは僕とラトゥリアとの馴れ初めから話そう」


少しだけ白の少年は頬を赤らめて、話の続きを楽しそうに続けてくれた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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