決戦開始…!精神の核を見つけ出せ
囮になってくれたクロノは無事に無傷で保護する。
代償になってくれたアロゴさんの手も安全に持って返して返す。
ヒルナも命を懸けてユニコーン奪還に向けて協力してくれている。
私はクロノのお姉ちゃんとして、ヒルナの主人として、果たすべき役割を果たすだけだ。
「ミー、行けるか?」
ヒルナの光魔法で出来た鏡を見ながら、真剣な声で言った。
「もちろんだよ」
私は人生で一番くらいに力強く言った。
クロノとヒルナがつないでくれたバトンは、しっかり最後まで繋ぐ。
「さぁ、最後の仕上げだね」
(もう少しでお姉ちゃんと…大嫌いなヒルナが動いてくれるはずじゃ。もう少しの辛抱)
ユニコーンは相変わらず妾の膝の上でくつろいでいる。
瞳はやはり真っ赤な血の赤色だ。
ユニコーンの瞳はヒルナの言うとおり夜空を凝縮したかのような深い紺色をしている。
このユニコーンの皮を被った奴の正体は大体予想出来ている。
その他にもユニコーンではない理由は多い。
妾もこう見えて、幼い容姿はしているが、魔女のヤァヤァに匹敵するほど長生きである。
知らないことの方が少ない方だが、まだまだ知らないことはある。
今目の前にいるものが、ユニコーンではないと分かった今、寧ろ怖いものはない。
(お姉ちゃん…ヒルナ…後は任せたぞ…)
妾は、鬱蒼と繁る森の隙間から見える青空を見上げて、二人の到着を待った。
「よし、後はやるだけだ」
私は緊張していた。
クロノとの約束は、もしもユニコーンをだったのであれば、手にしている白のつぼみの花束をユニコーンの体に添えるというものだった。
つまり、そのサインがなかったということは、ユニコーンではないということだ。
「万が一のために、光魔法を凝縮した爆弾や私の髪の毛で作ったお手製の殺傷能力が高い弓、他にはエルフ族に昔から伝わる魔法で、精霊を酷使した度しがたい最終手段とも言えるものも覚悟していた。
しかし、この方法でも今回は充分に作戦通りに行くだろう。
ミー、とても荷が重いがこれは外の世界から来たものしかできないことなんだ。何かあれば私もクロノも全力でミーを助ける。安心して背中を預けてくれ」
ヒルナはその美貌のままに、美しく冷静な笑みを見せた。
赤髪の美少女エルフは想像以上に頭が切れるブレインタイプということが分かった。
「うん、じゃあ、行ってくるね」
私は事前の打ち合わせの作戦通り、体を小さく丸めた。
草の上に体育座りでできる限りコンパクトにした。
心臓はドクドクと高鳴っている。
けれども高揚感に近い興奮のようなものが強い気がする。
元いた世界では決して体験できないことを今からするのだ。
興奮するなと言う方が無理な話である。
ヒルナは私の頭の上からパラパラと白い花びらや白い羽を撒いた。
この白い羽はクロノのものだ。
そしてヒルナは目をつむりながら粉を巻き、そして呪文を唱える。
そうするとフワッと私の周りが光って、幕のような羽衣のような薄手で透明な布らしきものが体を覆った。
そうすると私の体はどんどんとその布をまといながら小さくなっていった。
そして完全に小さくなると、音もなく消えていった。
私の体は宙に浮いていて、ふわふわとゆっくり空中を浮遊していた。
これから、私はユニコーン擬きの精神世界へとダイブをする。
例えユニコーンでなくても、そうであったとしても、女子3人では戦闘能力的には武力を持って指して戦うことはできない。
それであれば、内側から攻めようと言ったのはクロノだった。
ヒルナが私にしてくれた魔法は一時的に肉体を消すものだった。
ユニコーンではないという仮定もあり、処女好きのユニコーンの対策もした上で、処女性を高めて、体だけをこの世界から一時的に溶かして、精神のみを切り出すという魔法だった。
今からユニコーンの心の中に入り込み、対話をしてあの血の大火の日に起こったことを解明する。
その上で、アロゴさんの復讐をできる限り鎮静させる。
精神だけになった私は、とても身軽になり、あっという間に森の奥地のクロノとユニコーンもどきがいる場所に辿り着いた。
ユニコーンもどきはどうやら安心しきって眠っているらしい。
クロノはどうやら肉体がない今でも私の存在には気づいたようで、私の方を見てこくりと頷いた。
私もこくりと合図をしたかったが、体がないので、上下に揺れただけだった。
ヒルナからは、ユニコーンの鼻から入れと言われた。
恐る恐る鼻の中に潜り込んだ。
見た目はどこからどう見てもユニコーンだ。
真っ白の白馬に立派な一角を生やした伝説の生き物。
しかしそれは見た目だけだ。
鼻から無事に侵入できたが、中は真っ暗で何も見えなかった。
ヒルナからは、「鼻から入ったあとは、“精神の核”を探して話しかけろ」と言われたが、そんなの真っ暗すぎて見つからない。
私は手探り状態で、とにかく光がある方向へ向かうことにした。
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