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闇から現れた伝説の一角獣ユニコーン

クロノの移動魔法で、私たちはすぐに目的地の森の近くに到着した。


それは、アロゴが生まれ育った辺境近くの村からさほど遠くないところにある。


彼が住んでいた村は一夜にして大火で全て消滅してしまっていた。


残っているのは、唯一の生き残りであるアロゴと、彼の復讐心だけである。


ユニコーンは実はとても怒りっぽく、短期な生き物であるらしい。


よくファンタジーのなかで登場するユニコーンは品があって、気高い象徴とされているが、実はなかなかに癖がある正確なんだとか。


ヤァヤァやアロゴが言っていた通り、とても獰猛で、とてもじゃないが仲良くはできない生き物らしい。


あの角で突進することで、一度に多くの犠牲を出すことがで切る。


ヒルナやクロノ曰く、ユニコーンの角に人が刺さった絵画も多くあることから、獰猛で野蛮な象徴とされているようだ。


そんな気が張っている生き物がゆえに、あまり近くに移動魔法で近づくと気づかれる恐れがあるため、ほとほどの場所に転移した。


そこからは足で向かうしかない。


しかし、そこまで敏感なユニコーンであれば、私たちが近づくこともすぐに察知できるのでは?と思ったが、実はそうではないらしい。


“ある”処女性が、そうした魔法などの香りを全て飲み込んでしまうのだ。


「準備はいい?何かあったらすぐに合図して」


「クロノの様子は常に見ている。安心してくれ」


「…怖いよう…やだよう…一人でいかないとダメ?」


泣きべそをかきながら、甘えてくるのはクロノだ。


「大丈夫だよ。ユニコーンは、処女には決して手出しをしないから。殺気があれば、クロノもヒルナも感じると思うし、まずは戦いではなくて、話し合いをしたいの。クロノにしかできないことだけど、私たちもいるから」


「えーん…終わったら、お姉ちゃんぎゅっとしてくれる?」


「もちろんだよ!たくさんするよ!クロノが飽きるくらいにね!」


「約束ね?」


クロノはそう言って、森の中に姿を消した。


私たちの姿が完全に見えなくなるまで、何度も振り替えって手を振った。


果たして、ユニコーンは本当に現れるのだろうか?


私とヒルナはうっそうと繁る緑が濃い森の中に一人クロノが怯えている様子を思い浮かべた。


「クロノには監視魔法を着けたから、ミーは安心してくれ。監視魔法は対象に殺気が向いたときに察知してくれる。それに、森の動物たちの視界を借りて、クロノの身の安全を確かめている。私の血を飲ませた動物を何体か送り込んだ。微量の血液だから、ユニコーンには感知できないだろう。大丈夫だよ、ミー」


「うん、ありがとうヒルナ」


そう言うと、ヒルナは両手を閉じて、目を瞑り何かの呪文を唱えた。


ゆっくりと開かれた手には、丸い鏡のようなものが出現した。


そこにはなんと森を歩くクロノの姿が写し出されていた。


さながら監視モニターのようなこの魔法は、動物の視覚を通して送られる映像らしい。


「そろそろ、クロノの足でも目的の場所に着くな」


アロゴとヤァヤァが指定したのは、森の奥深くにある切り株だった。


よくそこでユニコーンの目撃情報があり、そこが最も有力らしかった。


ヤァヤァとアロゴ曰く、そこに処女を送り込むだけでも良いのだが、最も効果的なのは、処女性を高める真っ白なドレスとベール、そして花弁が開く前の蕾の状態の花を持っていくのがいい条件らしい。


にわかには信じがたいが、それらが処女性を高めて、ユニコーンがその雰囲気をキャッチするのだという。


この囮作戦が出たとき、いや、出る前からクロノの処女性を釣りにしたいというのがヤァヤァたちの目論見だった。


私は元の世界で曲がりなりにも男性経験があり、即候補から離脱した。


どうやら深くは触れられなかったが、ヒルナの処女性は高くないというか不明らしく、クロノが最適という結論に至った。


クロノは本人もカミングアウトしていたとおり、そうした経験はなく、さらにはクロノスという神の末裔であることから気高さも持ち合わせた最高の適役らしい。


これでユニコーンが来ないわけがないと、二人は鼻の穴を大きくしながら言っていた。


それでもユニコーンがいかに獰猛かを聞かせられたので、いたいけな小学生くらいの女の子を一人森に放置するなんて危険すぎる。


けれども、クロノは「そのときは魔法で戦うまでよ」と意外にも快諾したが、実際その場になるとやはり怖いらしかった。


「まだ、来ないかな?」


「いや、もうすぐだ。動物の感覚から何か圧があるものが近づいているのが分かる」


「…?!」


ヒルナが持つその光のモニターには、あるものがぼんやりと写し出されていた。


それは、切り株に腰を掛けて震えながら真っ白の蕾の花を握りしめるクロノではなく、闇のなかに目だけ浮かぶ者だった。


真っ赤な目が浮かび上がり、そしてゆっくりと闇から真っ白な体が輪郭をはっきりさせながら現れた。


「本当に…来た…」


闇の中から姿を表したのは、紛れもなく伝説の一角獣、ユニコーンだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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