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魔女から託されたミッション

「どうぞ」


私たちはテーブルに案内され、馬顔の執事にお茶と茶菓子を出してもらい、ウカのお婆さんであるヤァヤァと共に談話を始めた。


馬顔の執事にいただいた紅茶は見慣れたもので、琥珀色の液体に花びらのようなピンクのものが散らばり、香り高い湯気を立てていた。


「妾が人間の装いで、さぞ驚いただろう」


紅茶を味わいながらヤァヤァがよく響く声で言った。


「はい。てっきりウカにそっくりだと思っていました。その角は本物ですよね」


「あぁ、これか。これはミノタウロスの角なのだ。先祖にミノタウロスがおってな、たまに隔世遺伝的に出現するのさ。私の父や母にはなかったんだがな」


耳の上にある、こめかみからしっかり生えた二本の立派な角を触りながらヤァヤァは答えた。


「ミノタウロスってあの神話の生き物ですよね?確か頭は牛で、体が人間の」


「なんだ、神話とやらになったのか。ははは。妾の眷属も立派になったものだな。ちなみにな、魔力がなくなると妾の顔もウカのようになるさ」


ヤァヤァの金色の瞳はとても吸い込まれそうで、ずっと見ていると自分を失ってしまいそうなくらい美しかった。


お婆さんと聞いていたので、80歳くらいの容姿を想像していたが、実物はどう見ても30代くらいで、雪や陶器のように真っ白な肌は温かさよりも冷たさを感じさせるほどの透明感だった。


長い黒紫色のスリットが入ったドレスから垣間見れる足は、長くスラッとしていて、どう考えてもお婆さんには見えない。


「私はウカの奴隷であるヒルナと申す。種族はエルフで光属性である。主人のウカには好くしてもらっている。たまにウカからあなたのことを聞きましたが、本当にお若いのですね」


「あぁ、そうだな。魔力を溜めていることもあるし、もう年齢は数えていないが、この世界ができてまもない頃には産声をあげておった。ウカは妾の孫だが何十代先の孫か分からぬほどだ。孫と言っても妾には何万人とおる。しかし、その中でもウカは昔から素直で良い子だったな。これからもウカをよろしく頼むぞよ」


「かしこまりました。奴隷契約のもと、ウカに奉公します」


ヒルナは背筋を伸ばして、立派に話をした。


「あ、申し遅れました。私は橘和泉と言います。最近こちらの世界に来て、私もウカと奴隷契約を結びました。そしてヒルナとは主従契約になっています。こちらの世界のことはまだよく分かりませんが、頑張りたいと思います」


気の利いたことを言いたかったが、今の私にはこれが精一杯だった。


「あぁ、御主が。なるほどな。立派なものだ。よろしく頼むぞ」


ヤァヤァは何か含みがある言い方をした。


「うぬは、クロノじゃ。位が高くて偉いのじゃ。こっちは使い魔のムァ、よろしく頼むぞ。移動魔法から予知魔法まで何でも使うことができる」


「ムァ!」


白いフワフワの使い魔を両手で抱えて、頭の上の定位置に置いた。


「あぁ、奴の子息だな。奴には世話になったな。妾がこうして半不老不死なのは御主の父のおかげであるぞ」


「クロノのお父さんって、すごい人なの?」


「あぁ、そうじゃな。父はそこそこ有名人じゃ。時の神、クロノスと言われている」


「え?!そうなの?」


「クロノは、クロノスの隠し子であってな、大切に育てたがゆえに、表舞台には出てこないんだよ」


ヤァヤァは、近所の噂話を言うかのように、軽やかに話した。


「まぁ、昔話は一旦そのくらいにして、本題に入ろうか」


金色の瞳が一瞬で真剣な眼差しになり、そして周りの空気も一気に張り詰める。


「今回御主達を読んだのは他でもない。御主たちが持つそれぞれの力が必要だからだ。妾では奴に太刀打ちできなくてな」


「その…何なんでしょう?」


只のお使いや駒使いではないことは雰囲気で察した。


「勿体ぶっても仕方がないな。端的に言おう。ユニコーンを殺してきてくれないか」


「ユニコーン…?」


「そうだ、ユニコーンだ。彼奴の首を持ってきてくれないか」


私は張りつめた空気が更にピリピリとしたものに変わっていくのを肌に直に感じた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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