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絆なる魂の烈火(ツインフレーム)

「娘よ、時止タイムフリーズの魔法は使えるのかしら?」


ハリムシャヒャッキの上に立ちながら、ネリが話しかけてきた。


時止タイムフリーズの魔法…少し違うかもしれぬが、空間維持キープバランス魔法ならいけるぞ」


空間維持キープバランス魔法とは、時間を止めることに近しいのかしら?


目的としては、お前の“姉君だった肉片”の腐敗を少しでも遅らせたいかしら。


そうしないと、輪廻再誕が難しくなるかしら」


ネリは眉を潜めながら言った。


「概念は同じはずじゃ。


空間維持キープバランス魔法は、そこにあるものをその状態で留めておくことを“許す”ものじゃ。


例えば、氷が溶けぬように、その状態を維持するようなものじゃな」


身体中ハリムシャヒャッキの真っ赤でどろどろで生臭い血に覆われているが気にしない。


手には大小サイズがバラバラな肉のか溜まりが手のひらに乗っていた。


よく見ると、ハリムシャヒャッキは勢いよくお姉ちゃんを吹き飛ばしたようで、結構遠くまで“お姉ちゃんだった一部”が点在しているのが見えた。


ウリも一緒に血だらけになりながら拾ってくれている。


(これは、埒があかんな)


「ネリよ、ちまちま拾っていたら、クロノたちが先に腐ってしまう。


“この場所ごと、移動したら早い”のではないかのう?」


この提案は、我ながらにとても優秀だと感じた。


どうよ?


魚の子よ。


お主たちには無いものを、クロノは持っている。


こんなときに、こんなところで張り合う必要もないと思うが、どうしても同年代のネリには負けたくない。


「…案があるなら、もっと先に言えばいいのかしら」


皮肉たっぷりに返してきたが、ネリは嬉しそうだった。


「であれば、直ぐに魔法を発動するぞ。


ウリよ、輪廻再誕のステージのイメージを寄越してくれ。クロノの体に触れるだけでよい」


ウリは慌てて立ち上がり、そしてクロノの方に手を置いた。


「なるほど。そこまで広くはないのじゃな」


クロノの頭の中に神殿の映像が流れ込み、空間の大きさを直ぐに疑似体験した。


「“そのでかいもの”までは持っていけぬな。


じゃが」


クロノはそこで振り向き、ウリによって、一刀両断された体の一部を無理やり引き抜いた。


ブチィッ


白くて長くて重い触手の先には、“お姉ちゃんだったもの”が刺さっていた。


「ひとつ残らず連れていくのじゃ」


クロノの切ない表情を見て、ネリは何も言わなかった。


「さぁ、行くぞ。


魔方陣展開!時の神クロノスの血を引くクロノが命じる!


異空間移動魔法、空間維持キープバランス発動!」


血の海だった地面からカッと明かりが放たれ、円形の魔方陣が強い風と共に浮かび上がった。


金色に輝くこの魔方陣は、さらに光を増して、風を巻き込み、大きな球体となっていく。


「我を連れていけ!」


クロノはなんだか楽しかった。


一人で戦っている気はしなかった。


とても、心が暖かかった。


そして、息耐えたハリムシャヒャッキのみを残して、血ものともクロノは神殿に連れていった。







「ここは…」


ウリのイメージを借りて飛んだ先は、虹色に輝く神殿だった。


白を貴重とした建物だが、その素材が不思議で光彩を発しながら、まるで生きているかのような存在感だった。


「綺麗じゃ…」


思わず感嘆してしまう程に、美しい場所だった。


「宝石のなかにいるみたいじゃ…」


「悪くないセンスかしら。その名の通り、ここは海洋の宝石ヌーディーブランチの中かしら」


「ヌーディーブランチ…?」


「まぁ、細かいことはあとにするかしら。まずは、お前の“姉君だったもの”を戻さねば」


ネリは歩きながら神殿の奥に向かい、人が1人横になれるくらいの横長の台があった。


「さぁ、ここに肉片を置くのかしら」


ウリとクロノは急いで手のひらにある肉の塊を台に乗せた。


じんわりと赤い血が滲んだ。


「これくらいでもいけるかしら。前のときは、もっと大変だったんだもの」


ネリはポツリと言った。


「さぁ、見せてみよ!


時の神の娘よ、異世界からの来訪者よ!


ふたりの絆が真であれば、再びこの世に返り咲かん!」


ネリは叫んだ。


「絆なる魂の烈火ツインフレーム!」


カッと辺りが真っ白な光に包まれた。


もう何も見えなかった。


今から何が始まるのか?


無事にお姉ちゃんは、生き返るのか?


クロノは不安だらけだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

更新の励みになりますので、いいね!やブックマークをどうぞよろしくお願いします!

書籍化を目指して日々更新していますので、明日もまたぜひ読みに来てくださいね\(^o^)/

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