表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

122/180

私らしく、生きるには

私は、マイチーチャルの助言どおりに、アナパウロの穴の前にいたオタマヒコに乗って、クロノがいるという価値なるワースプレートに行った。


(クロノ…早まらないで…)


心なしか急ぎ足のオタマヒコ(牛とカバのハイブリッドのような生き物)の背中に揺られながら、固唾を飲んだ。


『イズミさん、大丈夫ですよ。私の感覚器で、クロノさんの心肺や息づかい、体温や脈拍などはすべて分かります。


安心してください。クロノさんは、ただ泣いているだけのようです。』


マイチーチャルが、脳に語りかけてくれた。


「ありがとう。でも、それがいちばん心配なの。


早まったりしないかとか…ね。もう誰も失いたくないの」


まだネモフィラさまが亡くなったとは断言できない。


自分の目で確かめるまでは、信じたくない。


だって、あんなに辛い思いをしてきたネモフィラさまだもの。


幸せにならないと、いけないんだ。


「命も心も守りたいの」


『…イズミさまに思われる方は、とても幸せですね』


「え?そうなのかな?


私、前の世界でも大したことできなかったし、今の世界でも“運命の力”とか“ジャッジメントアイズ”とか言われているけど、何かを成し遂げられた試しがないの。


それは、この世界に来てから、まだ間もないってこともあるかもしれないけれども、それでも確信がないんだ。


たぶん、ウリの言っている“運命の力”が正義と悪に分かれるなら、私は悪なんだと思う。


だって、現にネモフィラさまが危険な目に遭っているみたいだし、ネリさまも生まれ変わったけれども死にかけていたし、クロノだって…」


そこまで真剣に言うと、なんとマイチーチャルは『ふふふ』も笑ったのだ。


「え!マイチーチャル、私は真面目な橋をしているのよ」


小馬鹿にされたみたいで、少し腹が立った、


『すみません。つい、私も嬉しくなってしまって』


「え?」


『イズミさんは、まだ理解されていないようですね』


「なんのことよ?」


まだ小馬鹿にさてれているようで、私は本格的に不機嫌になり始めた。


『運命の力があるなしや、前の世界でどうだというのは、きっと本人の事情なんだと思いますよ。


大切なのは、“今どうするか、自分が何をしたいか”なのではないでしょうか。


クロノさんは、イズミさんが能力を持っていてもいなくても、気にしないと思います。イズミさんがいてくれさえすれば、クロノさんは大満足です。


だって、現に今クロノさんは“お姉ちゃん”ってずっと呟いていますよ』


「…クロノ」


ますますクロノに会いたくなってしまった。


見ず知らずの私をお姉ちゃんと親しみを込めて呼んでくれるのは、この世でクロノだけだ。


妹みたいな、かわいい存在。


私はクロノに会って、まずは抱き締めたい。


「さぁ、オタマヒコ!急いでいくわよ!フルストロットルでお願いね!」


眼下にオタマヒコのびっくりしたような表情が見えて、私もくすりと笑ってしまった。


そうだ。


運命の力がなんだ。


私は、私らしく生きればいいのだ。









「クロノ!」


マイチーチャルの言ったとおり、クロノは価値なるワースプレートの前にいた。


クロノの価値なるワースプレートは、糸巻き車が、


膝を抱えて、顔を深く埋めていた。


私の声にぴくりと反応をして、ゆっくりと顔をあげた。


「おねえ…ちゃん…?」


クロノは目から涙、鼻から鼻水、口から涎を出して顔をグシャグシャにしながら、私の名前を呼んだ。


「クロ…」


クロノ、心配したよと言いたかった。


でも、言葉は続かなかった。


「え?」


状況を飲み込むのに、時間はかからなかった。


瞬時に理解した。


全身の力が抜けていく。


私は自分のちょうど胸の下から股間の上まで、“白くて太いトゲのようなもの”が刺さっていることに気がつく。


「…嘘…でしょ?」


どんどん力が抜けていく。


そして足元に力の海が出来上がる。


体から体温が瞬間的に抜けていく。


そして、意識が無くなる。


「お姉ちゃん!」


その声が、最後に聞いた“音”だった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

更新の励みになりますので、いいね!やブックマークをどうぞよろしくお願いします!

書籍化を目指して日々更新していますので、明日もまたぜひ読みに来てくださいね\(^o^)/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ