ずさんな国防
私の国では、次期主力戦闘機がついに領収の運びになった。
最新機種でなおかつ新分野の最新技術を搭載した機種は開発が遅れている。なぜかはわからないが、外観や性能は非公開。
当然、極秘だらけの最新機種を採用するにあたっては野党のみならず与党からも激しい批判にあったし、世論も荒れに荒れた。
しかしながら、国民が払ってくれた税金も無駄にはできないということで、我々は種々の要件を専門家と共にいかなることも専門的に検討し、自信をもってこの機種を選択するのだと発表した。
そして、いよいよその日がやって来た。我が国の次期主力戦闘機の領収の日が....
いてもたってもいられず、我々はA国から引き渡される期待を確認すべく、その最新機種が置かれているという格納庫へ赴いた。自分たちの判断が間違っていないことを確信するためにも....
が、そこには何もなかった。
「どうなっているんだ、何もない?」
日にちをもしかすると間違えたのだろうかと時計の日付を見たがやっぱり領収び当日だ。
「なぜだ....」
A国から来た手紙にも、届くのは今日なはずなのに格納庫には何もない。
ー・ー・ー
我々は、格納庫の前でしばらくの間可能な限り現在の状況に至った理由を考えていた。
そのしばらくの間に休止符を打ったのがA国の担当者がやって来た。
「皆様、ようこそお越しくださいました!素晴らしい機体でしょう?」
担当者は流暢な日本語で続けた。
《....》
私たちはただ黙って、そのA国の担当者の意見を聞いていた。
「最新技術を搭載した超高性能ステルス機です!」
《....》
A国の担当者は手を大きく広げた。だがその先には何も見えない....
「光学迷彩技術でこの通り、無いように見えるでしょう?」
「なるほど、光学迷彩技術を搭載したステルス戦闘機でしたか」
「はい、しかも高度な軍事技術を有している人にしか目に見ることはできません、があなた方はこの国の軍事のトップとA国から知らされてます。まぁ、言うまでもないとは思いますが見えていますよね?」
「ははは、もちろんだとも」
「そうだね、君たち!」
《はははは....》
「では納品を確認されたということでよろしいですか?」
「ええ、私たちには見えますから」
「それは良かったです」