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遊星迎撃隊―Starship Breakers 【リメイク版】  作者: 暗黒星雲
第三章 英雄の魂
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第28話 未知の強者

 5機のガンシップがオレ達の周囲を旋回しはじめた。

 その横腹からは複数の火砲が突き出ている。あれに一斉射撃されたらオレ達も病院も全滅は必至だ。

 

 そして目の前に立つ銀色の巨人。


 原型はハドロンと思われるのだが、やや背が高く13メートル程度ある。バリオンを更に重装甲化したような、骨太で力強い姿をしていた。


「ふふふ。チェックメイトだ」


 ふいに通信が入った。

 画面には白髪を長髪にしている初老の男が映っていた。


「はじめまして、三笠くん。いや、今は斉藤くんだったかな」

「どうしてオレを知っている」

「当然さ。私の計画を邪魔してくれた大御所の婿だからな」

「大御所とは紀里香のことか」

「そう、紀里香とかいう名だったね。ムカつく名前だ」

「うるさい。黙ってろ!」


 そう叫んだ玲香が銀色のアンノウンに斬り込んでいく。しかし、アンノウンの左腕に仕込んであったレーザービームで腹部を撃ち抜かれてしまう。


「このやろ」


 玲香はさらに突っ込んで行くが、アンノウンのレーザソードで右腕と胴体を切り裂かれて倒れた。クロ02(まるふた)は停止した。


「玲香!」


 オレは叫びつつ、実剣をアンノウンに投げつける。しかしあっさりと打ち払われた。


「チェックメイトだと言っただろう。もう逆転は無理だよ」


 その時ツバキが報告してきた。


「小松基地から発進したスクランブル機はアンノウンと交戦中。また、空母しらさぎはアンノウンの攻撃を受けました。現在、航空機の発艦ができません」


 してやられた。

 支援を断つ手立ても済んでいるとは……


「お前は何者だ」

「失礼。名乗ってなかったな。私はWFA総裁のネルソン。ネルソン・ガラナだよ」

「ネルソン・ガラナ……」

「もちろん本名ではない。まあ、抵抗を止めてくれれば命は奪わないよ」

「秋山を殺すんだろ」

「ああ、彼のような英雄を生贄にするのが良いんだ。効果があるんだよ」

「生贄だと……気違いめ」

「何時の時代でもね。新しく何か事を始める者は気違い扱いされるものだよ。何時の時代でもね」


 自信満々に高説を垂れるネルソンだったが、突然、秋山が通信に割り込んできた。


「俺は生贄になどなる気はない」


 どこから?

 秋山は何処にいる?


 オレは周囲を見回した。そして、病院の屋上に人影を見つけた。そいつは携帯用のロケット砲を構え、ガンシップに向けて発射した。放たれたロケット弾は見事に命中し、ガンシップは爆散、墜落した。しかしこれは不味い。あの位置、病院の屋上は丸見えで、他のガンシップから狙い撃ちされる。


「させないわ」


 ややハスキーな声で通信が入る。今度は紀里香の声だった。

 直上よりレーザービームが数本、ガンシップに突き刺さる。


「雷光が4機、衛星高度より降下しています。現在、高度4万メートルより急降下中です」


 ツバキが報告してきた。再び数本のレーザービームがガンシップに命中し爆散した。5機いたガンシップは全て撃墜された。


「またあの女か。忌々しい」


 アンノウンのトリプルDは両肩から信号弾を発射した。

 撤退の合図か。


「じゃあな。斉藤くん。次はこいつと対等にやりあえるよう準備しておくことだ。名前は昇竜だ」


 そう言い残して奴は消えた。電磁波シールドを展開したようだ。


 数分後、雷光4機が低空まで下りてきた。翼を振りながら旋回している。


「和馬。大丈夫だった?」

「ああ、何とかな」

「くっそー、あいつジジイだったのか。次はぜってー負けない。ボクが勝つ。このやろー」


 コクピットから這い出てきた玲香が悪態をついている。相当腹が立っているようだ。元気いっぱいで怪我はしていない。無事でよかった。


「あの顔には見覚えがあります」


 突然、秋山が話し始めた。


「クラージュの船内で見かけました。皆が楽しんでいた無重力イベントの最中に、一人でむすっとしていたので覚えています。その後、コクピットに押し入って色々指示を出していたリーダー格の男だと思います」

「犯人は全員射殺したんじゃないのか」

「多分、義体に精神移植をしていたのでは?」


 義体に精神移植をしていたのか。それなら撃たれても元の体に戻ればいい。実況見分の資料は改ざんされていたのだろう。義体の犠牲者などという記録はなかった。


「ところで秋山。お前、動けたのか?」

「ええ、義体を使ってますから。ここは精神移植専門の医療機関ですよ」

「お前、やめるんじゃなかったのか?」

「ランスには乗りませんよ」

「そういう事か。わかった」


 雷光4機が病院上空を旋回している。


「一旦、小松に降りるわ。和馬、またね」


 紀里香の機体、赤と白のツートンカラーの隊長機はヒラヒラと翼を振り上昇していく。残りの3機も紀里香についていった。


「敵部隊の撤退を確認しました。パワードスーツ部隊の反応消えました。交戦中だった敵戦闘機も撤退。第一戦闘配備は解除されました」


 ツバキの報告を聞く。

 今回も運が良かったとしか思えない。裏をかいたつもりが読まれていた。由紀子さんの戦術も不十分だった。天才の上を行くWFA総裁のネルソン。クラージュのハイジャック事件もこいつの策略だった。今回の敗因はあのハドロンの改良型であろう昇竜の出現だった。

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