騙されるな! この中に知らない奴がいるぞ!
僕のたくさんいる友達の中に、つい最近
知らない奴がいる事に気づいた。
『なあ、アイツ誰?』
『うーん? さあな! 俺も知らねえーよ。』
『・・・誰かの知り合いかな?』
『そうなんじゃねーの!』
話は、簡単に終わった。
これだけたくさんいると? 誰の友達か分からないし。
その友達の友達かもしれない。
ずっといる僕でも、知らない奴がいてもあまり気にしないし
別に、“友達”は多い方がいい。
誰の友達とか関係なく! ここに居る奴は皆友達だ!
ただ、皆で集まってワイワイ・ガヤガヤ楽しければいい!
美味しい酒飲んで、騒いで、笑って、それだけでいいじゃ
ないかって! そんな集まりなんだ。
・・・でも?
そいつは、必ずと言っていい程僕らの集まりには必ず来ていた。
飲み会やBBQ、キャンプやカラオケ何処でもそいつは来るように
なったんだ。
そうなって来ると? コイツは誰の友達か気になるようになる。
だから、僕たちは賭けをしたんだ!
コイツは、何者で? 誰の友達で今ここに居るのか?
『なあ、アイツ! 知ってるか?』
『・・・い、いや?』
『でも、ここに居るって事は? 誰かの友達だよな!』
『・・・ううん。』
『ジャンケンに負けたら、直接アイツに聞いてくるのを
罰ゲームにしょうぜー!』
『おーう! いいぜ!』
『じゃあ―ジャンケンだ!』
【ジャンケン、ポン】
・・・まさかの!?
僕だけ“パー”で一発で負けた。
言い出しっぺの僕がジャンケンに負けて言いに行くなんて
最悪だー!
でも、ジャンケンに負けた訳だし。
仕方がない!
アイツに聞きに行くか!
僕は、ゆっくりとアイツの後ろに立って肩を叩いた。
『やあー!』
『・・・あぁ、』
『最近、よく見るよな~名前は?』
『有野 環』
『僕は、岡辺 ダイキだよ! よろしく!』
『あぁ!』
『・・・ちょっと、変な事聞くけど? 有野はさ~
誰の友達なの?』
『えぇ!?』
『い、いや? ここに居る奴は、皆誰かの友達だったり
するからさ~僕も、近藤の友達なんだ!』
『・・・えぇ!? そ、そうなの、』
『有野は、誰の友達なの?』
『・・・・・・』
『うん?』
『お前さ~先から俺の事、しっかり見えてんだな!』
『・・・えぇ!? どういう事だよ!』
『岡辺! お前の方だぞ! なんで、ここに居るんだよ。』
『・・・・・・』
『ココに集まってんのは? “皆、死んでる奴だぞ!”』
『えぇ!?』
『お前は、誰かに憎まれてるのか?』
『・・・な、何言ってんだよ! 皆、昔っから仲がいい友達
じゃないか!』
『俺ら、事故で亡くなってんだよ! お前以外みんな!』
『・・・えぇ!? だから、先から何言ってんだって!』
『皆で、キャンプ行っただろう! 観光バス貸切ってさ~
あの時、ココにいるメンバーは死んだんだよ! 岡辺以外な!』
『・・・そ、そんな、ぼ、僕は何も覚えてないぞ! それ、本当
の話なのかよ! お前が僕を騙してんじゃねーえのかよ!』
『なんで、俺がお前を騙すんだよ! よく周りを見てみろよ!』
・・・有野が僕にそう言って、周りを見ると?
皆が僕の方をジロジロと見ている。
青白い顔をして、僕の事を知らない奴を見るような目で見ていた。
僕は、思わず! 先いた吉竹と近藤の所に駆け寄った!
『なあ、有野って知ってるか? 知らないよな! アイツが
変な事を言いだしてさ! なんとか言ってやってくれよ!』
『“お前、誰だよ!”』
『・・・えぇ!?』
『先から、皆で話してたんだよ! お前のこと。』
『・・・な、何言ってんだよ! 僕だよ! 岡辺だよ!』
『知らないよ。』
『俺も知らない!』
『誰の友達?』
『近藤だよ! ほら、近藤も何か言ってやってくれよ!』
『ボクも君の事なんか知らないよ。』
『・・・な、なんで! 僕だよ岡辺だよ!』
『・・・・・・』
・・・ここに居る皆は、僕の事を誰も知らなかった。
何がどうなってるんだ! 僕は大きな声で叫んだ!
【ワアアア―――ーーーーーーーー!!!】
こうして、昏睡状態だった僕は病院のベットで目を覚ます。
僕も、その観光バスに乗ってたんだ。
僕は唯一、生き残った一人だった。
もう少しのところで、僕も亡くなる寸前だったのかもしれない。
でも、間一髪のところで目を覚ます事ができた!
僕は、病院の屋上で一人外の風を感じながらこう思った。
僕が、あの中で誰の友達でもなかったから生き残れたんだと...。
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