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俺の推しは裏切らない!  作者: ゆき
169/183

169 クリスマスは特別な・・・。④

 インターネット物理モデルをわかりやすく表現した展示の前にいた。

 ゆいちゃもこうゆうので教えれば、もっと理解が早いのかもな。

「これがインターネット物理モデル。この白と黒の玉は1と0の2進数をあらわしていて、メッセージの送信器。最初の4つは送り先を表す。銀色のタワーはそれぞれ独立していて、送り先がわからなければ、次のタワーへ渡すんだ。インターネットってすごくシンプルでしょ」

「え・・・うん・・・」

「わかりやすくできてるよね。インターネットって、シンプルだからこんなに広まっていったんだって」

「あ・・・そっか。そうなんだ、不思議だね」

 反応が薄い気がする。

 さっきは計算機と自然の展示を見てきたが、あまり反応がなかった。

  計算機と自然っていう一見関係ないようなものに、関連性を見出すかなり面白い話だった。


 ミクは面白くないのか? 

 インターネット物理モデルを視覚化したら・・・なんてインターネットインフルエンサーとしては絶対興味持つものだと思ったんだが。俺がずれてる気がする。

 なんといっても美しいし・・・。芸術性もあるのに。


「もしかして・・・面白くない?」

「ごめん。私、高卒だしあまり勉強してこなかったからこうゆうのはさっぱり・・・インターネットぶつりもでる? って単語も初めて知ったから・・・」

「そうか・・・」

 ミクが戸惑いながら話していた。


「あ、で、でも、ほらあっちのロボットは可愛いなって思うよ。なんか、動きとかいかにもロボットって感じで」

「・・・・・・」

 無理してる感じが伝わってくる。

 頭を掻いた。やってしまったような気がする。


「なんか、ごめん。考えてみれば、理系じゃないとこうゆうの面白くないよな」

「そんなことないよ。磯崎君って頭いいんだね」

「頭いいわけじゃないけど、こうゆうのが好きなだけだよ。夢があるじゃん」

「カナは好きかもね。こうゆうの」

「同じ大学だからな。そりゃ、興味は持つだろうね」

 白と黒の玉がタワーに流れていく様子を眺める。

 あいみんたちが、どうゆう仕組みでみらーじゅ都市から来たのかわからない。みらーじゅ都市がどんな技術を持っているのかも・・・・。

 でも、きっとこうゆう研究の組み合わせなんだろうなって思っていた。




 広場みたいなところで、少し休憩していた。

 結局、俺の好きなところばかり回ってしまった感はある。ミクが合わせてくれるから、結局俺が充実した時間を過ごしてしまった。ミクの息抜きのために、今日一日オフになってるのに。

 一応、握手会のことは話題に出ないことだけが救いだな。


 ホットココアを持って、ミクのいるところへ戻ってくる。

「はい。熱いから気を付けて」

「ありがと」

 にこっとして両手で受け取っていた。


「なんか俺の行きたいとこばっか行ってごめん」

「そんなことないって。磯崎君って将来こうゆうのを扱う職業に就きたいの?」

「たぶん、システムエンジニアとかになってそうだな。大変って聞くけど、なんだかんだシステム作るの好きだし」

 ココアの湯気が鼻にかかった。


「ミクは声優アイドルじゃなければ何やってたの?」

「なんだろ・・・・保育士さんとかに、なりたかったかな。憧れの職業だったんだ」

 走り回っている子供を見つめながら言う。

「子供好きなの?」

「うん、歳の離れた妹がいるんだけどね、妹の面倒見るの楽しかったから、保育士になってみたいなって。子供の成長を見れるって素敵な仕事だから」

「へぇ、ミクに合ってるね」

「そうかな? でも、私、馬鹿だからなれなかったと思うけど」

 ツインテールの右側の髪を後ろにやった。


「奇跡的に声優アイドルになれてるけど、他になれるものなんてなかったかも。磯崎君みたいに頭よかったら、あまり悩んだりすることもなかったのかな?」

「いやいや、勉強できるできないは個性みたいなもんだし、俺だって悩みがないわけじゃない」

「磯崎君はどうゆうことで悩むの?」

「そりゃ・・・ありすぎて言えないよ」

 ココアを一口飲む。

 地獄のような大学の課題のことはもちろん、ゆいちゃのこととか、推しのこととか、バイトのこととか、妹の琴美のこと、妹の友達の舞花ちゃんのこと・・・。

 大学に入ってから、未経験のことが多すぎる。

 高校のときは、受験勉強のことしか考えていなかったのに。


「じゃあ、そんな磯崎君の悩みが吹っ飛ぶような場所行ってみよ」

「えっ」

「今限定で、大きなクリスマスツリーがあるんだよ。ツリーの下にプレゼントがたくさんあるんだけど、そこに小さな箱を置いておくと、願いを叶えてくれるんだって」

「へぇ・・・なんか、どこでも聞くな。そうゆうの」

 いかにも、SNS映えを目指す女子が好きそうだ。

 あいみんたちに言ったら、絶対行くって言うだろうな。

「ココア飲んだら行ってみよ」

「あぁ。つか、先に言ってくれたらよかったのに。今日はミクの行きたいとこに行く日なんだから」

「科学館も楽しかったよ」

「気を遣ってくれてどうも」

 ミクがふふっと笑った。

「本当に楽しかったのに。磯崎君って、普段こうゆうのが好きなんだね」

「まぁ・・・だから、大学に行ったからな」

「ただVtuberのオタクなだけかと思ってた」

「ただのVtuberオタクだよ」

 ココアを飲み干す。天井を見上げると、天体の展示物が浮いていた。




 一歩外に出るとカップルだらけだ。

 科学館はそうでもなかったのに。そこらじゅうでイチャイチャしている。

 噴水の前には人だかりができてるし。なんかイベントでもやってるのか?

「まだ、夜じゃないのに、こんなにカップルいるんだ」

「どこ見てもリア充だらけだな」

 さっき横目で見えたカップルなんて、柱に隠れてちゅーしてたんだけど。

 いやいや、全然隠れてないし。見えまくってるし。


 何、この感じ。居づらくて、思考停止しそうだ。

 着いて早々帰りたいんだけど。


「お兄さん、お姉さん、ちょっと」

 サンタの格好をした男性が近づいてきた。

「わぁ、お姉さんめちゃくちゃ可愛いっすね。アイドルみたい。マスクしてるのに、ものすごいオーラがありますね」

「はは、そうですか?」

「・・・・・・・・」

 実際、アイドルだからな。ミクがマスクを鼻の上まで伸ばして愛想笑いしていた。

「こんな可愛い彼女がいて羨ましいっすよー」

「いや、彼女では」

「今、限定でイベントやってるんですよ。あの2人協力型の音ゲームで、見事500スコア以上獲得した方は、こちらのクリスマス限定キャラ、こっこちゃんのキーホルダーと、大観覧車チケットを用意しているんですよ」

「こっこちゃんのキーホルダー????」

 ミクが食いついた。


「可愛い!この白いふわふわな感じすっごく可愛い!!!」

 白くて丸い雪をイメージしたようなキャラクターが赤いサンタの帽子を被っていた。これが・・・そんなにいいものなのか? サイズも掌くらいしかないし。

「挑戦しますか?」

「しま・・・」

「します!!!!!!」

 前のめりになって言っていた。

「あははは、彼氏さん頑張らないとね」

「だから、彼氏では・・・」

「行こ行こ! そこに並べばいいんですよね?」

「はい。このチケットを持って、係員に渡してね。じゃあ、健闘を祈るよ」

「ありがとうございます」

 ミクが頭を下げてチケットを受け取って、すたすたと歩いていった。


 列はカップルでみっしりぎっちりしていた。

 てか、どこ見てもカップルだ。友達同士とか、家族でとかいないのかよ。

「ミク、俺、悪いけど音ゲー苦手だからな。アイドルストーリーのゲームでちょっとやってる程度だし」

「大丈夫、私が得意だから」

「そ・・・・」

 ミクが自信満々に頷いていた。

 見た感じ、2人協力といっても別々にスコアつくみたいだし、なかなか難しそうだ。

 ものすごくはりきってるとこ申し訳ないが、ミクがフルスコア出したとしても厳しそうだな。

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