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俺の推しは裏切らない!  作者: ゆき
102/183

101 チャンネル登録者数感謝企画はどうする?

「誕生日占いですよ」

「え?」

「昨日は4月4日生まれの人の最強の日。テレビでダッタラー佐藤がテレビで言ってたんですよ」

「ダッタラー佐藤って誰?」

「有名な占い師さんです。女優のナナコちゃんの結婚も当てたんですよ」

「・・・・・・・」

 んなの、偶然だろ。って言葉を飲み込んだ。


 舞花ちゃんと琴美が来る時間までカフェで話していた。

 昨日と変わって、夏の晴天の日差しが降り注いでいる。


「昨日お兄さん、最強だったんです」

 んなことはなかったが。


「舞花ちゃんに、俺の誕生日言ったことあったっけ?」

「小さいころ誕生日会に私も呼んでもらったんですけど・・・」

「あ、そっか。ごめん、俺、あんま小さいころ覚えてないから」

 アイスコーヒーを飲みほした。


「琴美と同じ4月だからって一緒に祝ってたんですよ。ケーキ食べたり、楽しい思い出です」

 おそらく、琴美のわがまま聞いてて、舞花ちゃんまで見えてなかったな。


 ゆいちゃが俺の誕生日知ってるわけないし。

 偶然だろうな。最強の日とか・・・。


「つか、最強の日ってなんだよ」

「うーん、とにかく運のいい日なんです。テストも満点、出会い運も最強、親友も恋人もできるみたいな。だから、本当は昨日会いたかったんですよ」

 アイスティーの氷を回しながら言う。


「テストも満点・・・って。随分とあやふやな」

「そうゆう特別な日だったんですよ。運命の日です。その日に会った人は、ずっと一緒にいられるとか、数年に一度のスペシャルな日です。あ、7月ですしなんだか、七夕みたいな・・・」

「わかったわかった」

 どんどん話が壮大になっていく。

 舞花ちゃんの想像力の方向性は結構メルヘンだ。


「・・・・・・」

 胡散臭いな。女子ってどうしてこう、非科学的なものを信じられるんだろう。

 大体、この世界の4月4日生まれの人口は何人いると思ってるんだよ。

 そいつら、みんな昨日一斉に恋人できるわけないだろうが。


「何かいいことありました?」

「な・・・ないよ。大雨だったし、どこにも行けなかったし。家には琴美がいるし」

 あいみんとゆいちゃが来たくらいだな。


「そうだったんですね。安心しました」

 頭を掻く。


「で、Vtuberの活動はどう? 順調で、曲を出すって聞いたけど」

「はい。もう曲はもらっていて、来月レコーディングして、動画アップと同時にデビューします。ゲームの声とかも、依頼されたりして。練習中です」

「へぇ、すごいな」

「ありがとうございます。早く高校卒業して、こっちに来たいです」

「そうか」

 満面の笑みを向けてくる。

 今はクラスメイト以外、俺しか男がいなかったから俺のことを好きだと言っているけど、上京していろんな男を見れば考えも変わるんだろうな。

 まぁ、少し寂しい気持ちもあるが・・・どちらかというと、琴美に好きな男ができる感覚に似てる。


 俺も、さすがに、妹の友達は恋愛対象に見れないな。


「そういえば、『VDPプロジェクト』のチャンネル登録者数60万人いきましたね。今年始めたのにもう60万人だなんてすごすぎます」

「えっ・・・」

「まさか、チェックしてなかったんですか?」

「・・・い、いろいろ忙しくて」

 全然、チェックしてなかった。50万人超えたことすら知らなかった。

 どうして。なぜ、そんな重要なことを見逃したんだ?


 結城さんから連絡もなかったし、そもそもあいみんたちとは会ってるのに、何も話してなかったけど。

 ゆいちゃでさえ・・・。


「・・・・本当にあいみさん単推しなんですね。『VDPプロジェクト』はみんな推してるんだと思ってました」

「忙しくて見逃してただけだよ」

「お兄さんが好きなものを推していいと思います。あいみさんは、やっぱり可愛いですし」

 言いながら少しだけ拗ねてるのを誤魔化していた。


「あいみんは最推しだけど、『VDPプロジェクト』も推しだよ。もちろん舞花ちゃんがデビューしたら、舞花ちゃんも推すし」

「へへへ、よかったです。安心しました」

 ストローの袋を結んで端に置く。

「50万人までは大変だけど、50万人以降は結構100万人いったりするんですよ」

「ナナカツは290万人だもんな」

「私もそこを目指さないと」

「あまり気を張らずに頑張ってね。チャンネル数少なくても応援頑張るからさ」


 

「あー、舞花、やっと見つけた。ずっとLINEしてたのに」

 琴美が鞄を肩にかけて近づいて来る。


「あっ、ごめん。ミュートにしてた。さっきまで、会社のほうで話してたから」

「もう、はい、お兄ちゃん」

「なんだよ。この鞄」

「参考書、重いから持って帰って。私、舞花と渋谷見て回ってから帰るから」

 ため息をついて、鞄を受け取る。結構、重いな。


「わかったよ。遅くならないようにな」

「はーい。舞花、渋谷のね、可愛い雑貨屋さん見つけたの」

 俺のいた席に琴美が堂々と座っていた。

「そ、そうなんだ」

「あれ? 舞花、顔赤い?」

「外で電話してから戻ってきたら暑くて」

 琴美と舞花ちゃんが楽しそうに話していた。


「・・・・・・」

 なんで当たり前に妹の荷物持ってるんだかわからんが・・・。

 まぁ・・・兄って大変だよな。




「おじゃましまーす」

 あいみんの動画を見ていると、あいみんとりこたんが家に入ってきた。


「どうした?」

「えーっと、えーっと・・・・・」

 あいみんがにこにこしながら、両手を握りしめていた。


「夏休みスペシャル配信をすることになりました」

「60万人記念だよね」

「うん、うん」 

 りこたんがスカートを押さえながら絨毯に座った。


「さとるくんは50万人突破してたの気づいてた?」

「・・・っと、ごめん。今日知った」

「私もさっき知ったの」

 あいみんの声が少し大きくなる。


「私は結城さんと連絡とってたから知ってたけどね。みんなの夏休み前頃から、踊ってみたと歌ってみたで忙しくて」

 あいみんが目をきらきらさせていた。


「三原色踊ってみた歌ってみたもそうだし、ヴァンパイアも56万再生いったし、最近、『VDPプロジェクト』が熱い」

「よかったな」

「うん」

 嬉しそうに頷いた。


「60万人突破の感謝スペシャル配信で、何がいいかアンケート取ってるの」

 りこたんがスマホのツイッター画面の映していた。

「あれ? ツイッター見てなかった」

「さっき、更新したばかりだから。あ、もうこんなにリプきてる」

 1分前の更新に10個くらいリプがついていた。

「どれどれ? どんな企画がきてるの?」

「あ、私これがいいな」

 一番下の、一文を指さす。


「心霊スポットで肝試し・・・って、えー」


「意外だな。りこたんって肝試しとか大丈夫なの?」

「幽霊とか占いとか非科学的なものは信じないの。でも、肝試しは楽しい」

 矛盾しているような気がするが・・・かなり、意外な一面だな。


「さとるくん、心霊スポットとか大丈夫なの?」

「いや、俺は別に。そうゆうの信じないし」

「さとるくんまで・・・怖い怖い。止めようよ」

 あいみんがりこたんを必死にゆすっていた。


「まだ決まったわけじゃないんだから」

「どうやって決めるの?」

「リプにきたのでできそうなのをAIロボットくんがピックアップして、ツイッター投票よ」

 りこたんがあいみんの背中をポンポンしながら言う。 

 ちょっと怯えて、ぷるぷるしているあいみんも可愛かった。


「さとるくん、絶対肝試しに入れちゃダメ」

「あ、肝試しリプにいいねが10個もついてる」

「えー。だって、肝試しして、お化けとかついちゃったらどうするの?」

「私がお祓いしてあげるから」

「りこたん、幽霊信じてないのにお祓いできるわけないじゃん」

 あいみんがばたばたしていた。

 りこたんが楽しそうにあいみんをいじっている。


 肝試しとかどうやるんだろう。心霊スポットってのは、不法侵入になる可能性もあるから・・・。

 やるとしたら、お化け屋敷配信が無難だろうな。

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