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アンドロメダにて

「これは古アレス帝国の焼きものですな。むむむ……これほど状態がいいものはとても珍しい!こっちはシンの絹織物!この衣装はかなり古いものなのに状態は新品同然!エルフ樽で保存してあったと!!これはかなり高価ですぞ!!」


ガニメデ近海から出発した俺達は、暫くは海底遊覧を楽しんだ。

クロノス王国までオウムガイ号が最大船速で行けば4日ほど。スパニアが調査船を出してクロノス王国まで到着するとしても2ヶ月以上はかかる計算なので焦る必要はない事をアナ王女に伝えたところならゆっくりと海底を探索したいと仰せになられたからだ。


探索の結果、沈んでいる船の中で一隻だけ明らかに外観が異質な船があったので調査したところ、はるか東方のシンという国の船であることが発覚した。


アナ王女曰くこれは歴史を覆す大発見らしい。興奮していた彼女を見るに彼女は考古学が好きなのだろう。


積み荷がすべてエルフ樽だったのもあって貴重な古文書や宝石も数多く得ることができた。

その中に一つだけすごく強固な封印がしてあるものもあり、開けないものも数個あったが。


手に入れた品々を海上商業都市船アンドロメダに売りさばきに来ていた。


アンドロメダは、巨大なガレオン船どうしを何隻も何隻も繋いでできた海上都市で、大きさも広さもなかなかのものだった。この巨大な船は巨人木と呼ばれるはるか南の土星海沖にある島から取れる木でできているらしく、このアンドロメダがいつから出来たのかもいろいろ憶測があるようだ。


そこに俺とアナ王女で来ているわけだが、もちろんオウムガイ号で乗り付けたわけではなく…


「しかし、この幻惑の瞳って魔道具はすごいな。効果が限定的だけど」


「貧乏王侯貴族の見栄を体現しているような魔道具ですよね。どんな小さな船も大きくて立派な船に錯覚させる魔道具なんて」


海底からサルベージした中にあった羅針盤のような形のものが幻惑の瞳だと発覚したのもあって、寄港はしやすくなった。アンドロメダに限っては、スマホでオウムガイ号は遠隔操作ができるので、降りた後は船を沈めておけば問題は無い。

一般港に泊める場合は、そもそも小さなボートがついているので夜中に沖で乗り込んで漕ぎ出せば何とかなるだろう。


どう考えてもオウムガイ号で乗り付けたら騒ぎにしかならないから、正直有難い。


「一般通貨を手に入れられるのは有難いよ。お金はどのみち必要にはなるだろうからさ。有難うアナ王女」


「その王女っていうの控えてくれません?場所が場所ですし、アナで十分です」


「あー・・・有難うアナ・・・慣れないな」


「はい。では頑張ってくれたご褒美にロクさんを稼がせて見せましょうか。売却交渉は任せてくださいませ」


クスクスと笑顔を浮かべた後アナは、足取り軽く唸っている古物商のところに向かうのであった。





「全部で6000万プラ!?」


紙幣価値がわからないけど1プラ一円で考えても6000万!!?

アナが持ち帰ってきた金額はそれはそれは大きな金額だった。よくそんな金があったなとも思うし、逆を言えばあの古物商は6000万以上で売りさばく自信があるという事だ。


「ええ、大儲けですね」

周りを見渡すと串焼きが一本150プラ程度。焼き鳥一本150円で計算しても1プラあたりはやはり一円!


「でもそんな大金どこにいれてるんだ?」


「手形にしてもらってます。これです」


そういって見せてくれたのは銀色のプレートだった。

10万という文字が浮かんで見える。


「ここに浮かんでいる金額分は買い物ができて、裏にほってある名前の行商人の商会に請求が行く仕組みです。アンドロメダはただの巨大な商船なのですが、ここの手形は陸上でも価値があるくらい影響力があるんですよ」


6000万分の手形を見せるアナ王女。1000万が5枚、100万が9枚、10万が5枚、5万が10枚ある


「その手形はアナの国でも使えるの?」


「はい、もちろん使えます。あの行商人のおおもとの商会は国の中にも店があったはずですから」


「じゃあこれはアナの分だね。国に持って行ってあげて。頑張ってくれて有難う」


そういって1000万の手形をアナに押し付ける。

お金があって困るわけではないし、手形ではバルカン島では使えないだろうし無用の長物だ。


「あ…有難う、ございます。。。」

日光に照らされたアナの顔がいつもより赤い気がした。



1000万の手形をオウムガイ号に戻して、ある程度の所持金でもう一度アンドロメダに戻った。

辺りは暗くなってきており、昼間とはうって変わってビアガーデンみたいな様相になっている

俺とアナは適当な酒場で飲み物を買うと、ちょっと高めの個室のような船室で食事をすることにした。

このアンドロメダでは船室を貸すこともしており、その船室に備え付けのメイドさんに言えば食事も出してくれるとの事だった。


アナの顔を知っているスパニア人が居ても面倒だという事で、アナにはフーデットケープをかぶってもらっている。服もそこそこのドレスに着替えてもらい、あたかもいい所のお嬢様がお忍びで来てるようにしか見えないように工作した結果、一部の人にニマニマされたのは腹が立つが。


「ここの料理美味しいですね!特にこのソース!!作り方聞きたいくらいです!」


アナが舌鼓をうっている料理はカイギュウのステーキで、元居た世界だと絶滅してしまった動物だがこっちの世界ではまだまだ数多く生息しているようだ。

中でも攻撃的な種類もいるらしく、小舟くらいなら転覆させてしまうらしい。

俺は超巨大なホタテのグリル。この辺りだと結構な漁獲量らしく、値段もだいぶリーズナブルだ。

お任せで5万の手形分をまるまる使ってるので、飲み物も上等なものが出てきてる。


「恐れ入ります。作り方は秘伝なのでお教えできませんが、お気持ちはうれしいです」


「作って頂いてるの貴方なんですか?」


「ロク艦長、この方は奴隷です。言葉使い気を付けてあげてください。この子が罰せられます」


手形を渡したあたりからアナが俺の事をロク艦長と呼ぶようになった。ネモトが言いづらいらしく最初ネモ艦長と言っていたのだが、それは俺の中の原作厨が騒ぎ出したのでロク艦長でお願いした。


やっぱりあるのね。奴隷制


メイドさんはよく見ると獣人のようで、犬耳としっぽがついている。

手は人間と同じで、人間以外の違いはそんなに多くは見受けられなかった。


「獣人奴隷はテンプレすぎるだろ」


「てんぷら・・・?すみません。シンより東のジャポネの料理でしょうか?」


「え、てんぷらあるの・・・じゃなくて!えっとこの料理は……君が作ってるの?」


「ルカと申します。お口に合いましたでしょうか?」


「とっても美味しかった!また食べたいくらい!!」


「なら旦那様、奥様。私を買ってはいただけないでしょうか?」


ルカと名乗った女の子はぎゅっと手を握りしめながらこちらを見つめてきたのだった。

PVが一気に100超えた!!有難う御座います!!


お気に召しましたら評価も頂けると作者のやる気につながります。

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