表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/74

6.乙女ゲームの世界

 それからはもう大変だったわ…。


 わんわん泣く私と一緒にお兄様までポロポロ涙を流して、つられたお母様まで瞳を潤ませていた。


 ようやく来たお医者様は部屋に入ってくる時ギョッとしてたから、よっぽど重病だと思ったみたいで慌ててお父様とお兄様を部屋から出して隅から隅までしっかり診察してくれた。


 これといって病は発見されず、おそらく貧血ではないかと言うことで落ち着いた。


 夕食は食欲がないのでもう少し横になっているからいらないと伝えたからか、お兄様が「まだ心配だから一晩側にいる」ってなかなか手を離してくれなくなってしまった。

 「それだと逆にゆっくりできないだろう」とお父様に窘められている間に私はそっと寝たフリしてみんなが退室するのを待っていた。





 あー、ようやく1人になれたー!


 そぉっとベッドから起き上がりテーブルランプを灯す。


 ここが《薔薇色の宝石》の世界だとわかってからやっと1人で考え込めるわ。

 まずはヒロインね。男爵家の娘で初期設定のままならたしか名前はメニカ。赤い瞳にピンクの髪をした可愛らしい子だったはず。

 15歳の学園入学からスタートだからあと10年後ね。


 攻略対象は第2王子のヴェネル様。ヴェネル・アンノ。

 金髪碧眼で勉強は得意じゃないけど努力家タイプ。

 ヒロインと隣の席になったのがきっかけで勉強を教え合ってお互いを高め合っていく。

 あ、婚約者は私ことリーシェル・マクレガーね。嫌がらせでヒロインを階段から突き落として……断罪されて婚約破棄。


 次は宰相の息子、ジョヴェ様。

 チョコレート色の髪に薄灰色の瞳で頭脳派で腹黒。

 いじめられているヒロインがめげずに明るいところに惹かれていくのよね。

 いじめたリーシェルは断罪されて、お父様は無実の罪を着せられお家取り潰しの平民落ち。腹黒怖っ!


 それから幼馴染の子爵家、マルテ様。

 赤茶色の髪に夕陽のような瞳。男爵家のヒロインと身分が近くて親同士が仲が良いため子供の頃からよく遊んでいた。マルテ様は昔からヒロインが好きだったから、好感度を上げるも何もなかったわ。ただ他の攻略対象者にフラフラしなければいいの。

 ヒロインをいじめる私は破落戸を雇われて誘拐される。助かるもののその醜聞が広まって第2王子との婚約は破棄。


 最後は街に行くと会う魔道具師、メルコレ様。

 水色の髪に紺色の瞳で見た目は35歳のダンディなオジサマだけど、本当は20歳。

 若い娘に言い寄られるのに嫌気がさして自作の魔道具でオジサマのふりして王都の街でお店を出してる。

 ヒロインが授業で使う道具を選びに街に行くと遭遇。その後うっかり魔道具を付け忘れたメルコレ様に、最初に会った時と変わらぬ態度だったと気に入られる。

 ちなみに、ヒロインと街でばったり会ったリーシェルが破落戸にヒロインを傷物にさせようとするが、失敗してメルコレが作った魔道具により一生ネズミの姿にされてしまう。



 うわー!なんじゃこりゃ!!ヒロインがどのルートに行っても私ヤバくない?!


 王室との婚約破棄なんてされたら一生独身かおじいちゃんみたいな歳のエロじじいの後妻にしかなれないもの。


 それに無実の罪でお父様が捕まるなんて絶対ダメよ!お母様だって平民になったらきっと生きていけないわ。

 こんなに優しい家族なのに不幸になんてさせない。


 私と家族を救えるのは


 私しかいない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ