49.今、出来る事
「え、明日も?……いくらマクレガー領は治安が良いといっても、またリーシェが傷つくような事が起こるかもしれないよ」
お兄様は突拍子の無い事を言った私の心配をしてくれている。
その事が、余計に私の享受している幸せを浮き彫りにさせた。新しいお洋服に温かい食事、大きい私邸。衣食住どころか、私を大事にしてくれる家族までいる。
それはあの子達にはきっとないものだ。
「私は傷付いてなどいません。自分の無知さに憤りを覚えたのです。―――生まれた境遇の差で食事に困る環境にいなければならない子供がいた事に思い至りもしなかった。お兄様、私……せめてあの子達が、子供が、お腹をすかせて寝るような事がないようにしたいです」
アランお兄様の濃いブルーの瞳をしっかり見つめて話すとその青い目を細めた。
「リーシェは、僕よりよほど次期領主に相応しい思想を持っているんだね。眩しいくらいだよ。帰ったらムスカと父上に相談しよう」
「ありがとう!!お兄様」
領主邸につくまでは、どうやってお父様に話を持っていくか、何が出来るのかをお兄様と話し合った。
次期領主としての領地経営の勉強も始めているお兄様の話はすごく為になって、とても11歳の知識量とは思えない。
さすがお兄様!と言う私に「リーシェの方がよほどすごいよ」と謙遜までみせて。にくいね、このこの。
馬車であっという間に領主邸についてしまい、前後を騎乗で護衛していたジェンナイとフェッブに明日も街に行きたいから護衛をして欲しいとお願いした。
フェッブは少し心配そうにして戸惑っていたけれど、ジェンナイの咳払いでシャキッとしたかと思えば2人とも了承してくれた。
お部屋でお兄様と作戦会議をしてからお父様にお話したいとムスカに取次ぎをしてもらい、執務室で今日あった事、感じた事、どうしたいかをお父様に話した。
次第に目に涙が溜まり、鼻がツンとしてしまい言葉が詰まる私に、途中でお兄様が代わってくれる。
そんな私の涙につられたのかお父様は「お前達の思うようにやりなさい」と言ってくれた。
お父様に感謝の言葉と、ほっぺにちゅーっとしてから執務室を後にして今度はお祖母様と調理場に向かった。




