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45.インズの街 1

 馬車に揺られて10分程でついたところは、インズの街。


 領主の家紋が入った馬車で街中まで入ったらすぐに正体がバレてしまうので街の入口にとめてもらう。

 アランお兄様と馬車を降りると、逞しい青年と壮年の男性が馬を御者に引き渡してからこちらを向いた。


「本日の護衛を務めさせていただくマクレガー領私兵団団長のジェンナイです。こっちは副隊長のフェッブ。道中よろしくお願い申し上げます」


「ジェンナイにフェッブ、こちらこそ急な外出に同行頂き感謝する」


 私もお兄様の言葉の後に続き軽くお辞儀をしておく。

 ジェンナイは団長だったのね。道理でユグドル先生より年上なのに、よほどがっしりとした身体付きなわけだわ。

 胸に手を当てて礼をした時に見えた手の甲の血管がやばい!今世で初めて使った単語だけれど、とてもいいという意味での使用方法だ。

 これが血管フェチってやつかもしれない。

 横のフェッブは細目の爽やか青年って印象だけれど、やっぱりもう少し浮き出た血管や目尻のシワが足りないわね。


「あの、何か、ついてますか?」


 あっ、いけないいけない。護衛の2人を見つめ過ぎて不審に思われてしまったわ。


「いいえ、街に来たのは初めてで、わからないことばかりですの。ご迷惑をおかけしないように気をつけますわ」


 ご迷惑だなんてとんでもないと慌てるフェッブに、にっこり笑って誤魔化しておこう。


「彼らは少し離れて付いてくるから大丈夫だよ。それにそんな話し方じゃすぐに貴族だとバレちゃうよ。ほら、リーシェ、迷子にならないように手をつなごう」


 差し出されたお兄様の手を握り砕けた口調を心掛ける。


「じゃぁ行きましょ、お兄ちゃん。どんなお店があるか楽しみね」


 お兄様と歩きだすとすぐに第一街人発見!!

 赤ちゃんをおんぶしながらちびっ子と手を繋いでいるお母さんだわ。

 可愛い!まだ3歳くらいだろうか。あっ、目が合った!手を振ってみたらポカンとして固まってしまったわ。

 お兄様と繋いでいる手を指差して、一緒ねって微笑んだら、にぱっと笑ってくれた。


 笑顔が見れた謎の達成感に浸っていると、周りがやけに静かな事に疑問に思う。

 なんだかいろんな人が動きを止めてこっちを見ている。

 あ、あれ?何か変だったかしら?

 スカートでも捲れているのかと身嗜みをチェックしているとお兄様が耳元で囁く。


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