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43.領地に出発 4

 

 領主邸の前に馬車を止めるとお祖母様と使用人の方達が並んでいた。


 あれってどうなっているのかしらね。今日来る事は連絡してあっても何時に着くかわからないのに一同勢揃いで待っているなんて。

 誰かが高い所から見ていて「来ました!」とか叫んでみんな玄関に急いで来るのかしら。

 それとも敷地内に入るとセンサーみたいな物が鳴ったりするんだろうか。

 そういえば王都邸の我が家には一同勢揃いでお出迎えするようなお客様がいらした事がないわね。



 そんなちょっとどうでもいい事を考えていたら挨拶が終わっていたみたい。


「どうしたの?まだ眠たいのかな?」


 と、お母様と同じ濃いブルーの瞳のお兄様に覗き込まれて慌ててカーテシーをする。


「お祖母様、またお会いできて嬉しいです。私もお兄様も学園に入学してしまうとなかなか遊びに来られなくなってしまうので、今の内にたくさんお祖母様に甘えさせてくださいませ。みなさん滞在の間よろしくお願いします」


 こんな感じで大丈夫かな?何も考えていなかったから、お兄様がなんて言っていたかよく聞いていれば良かったわ……。


「みんな、よく来たね。さあさあ入って休んでちょうだい」


「おかえりなさいませ。旦那様、お坊っちゃま、お嬢様」


 お祖母様は少しぶっきらぼうに言うとちゃきちゃき玄関に入って行った。

 私のツンデレセンサーによれば、あれは嬉しい気持ちを使用人達に気づかれたくないってところね。と勝手に憶測する。



 お父様がムスカに何か連絡している間にお兄様と一緒にお祖母様の後を追いかけた。


「お祖母様、今日は一緒に厨房に入ってくださる?街にも行きたいのだけれどここからじゃどれくらいかかるのかしら?」


「ああ、前回の約束だったからね。前食べたオレンジのパウンドケーキの作り方を教えておくれ。街には馬車で10分くらいかね。私兵団から何人か護衛に付けるから1人で行こうとするんじゃないよ」


「ええ、ありがとうお祖母様」


 護衛はお父様に相談しようと思っていたけれどこれで心配なさそうね。


「リーシェ、街に行くなら僕も一緒に行くからね、明るいうちに帰れるように昼食をとったらすぐ出発しようよ」


「アランお兄様も一緒に行ってくれるのね。楽しみだわ」



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