36.ぬいぐるみ作り 3
お父様へのおねだりは成功した。
軽い気持ちで執務室に向かったものの、いざ商人を紹介して欲しいと言う時はどうにも言い出しづらくついモゴモゴしてしまったけれど。
だって結局商人への支払いはマクレガー家になってしまう事に思い当たって、親に宝石を強請る令嬢ってまんま我儘な悪役令嬢っぽくない!?って思ってしまったんだもの。
もしかしてこういう事からよからぬ噂が流されたりするんじゃないかしら。まぁ、お父様とお付き合いのある商家の方なら大丈夫だとは思うけど……
はぁー、小心者だから商人にどう思われるかとか気になっちゃうのよね。
我儘令嬢に見られないように言動に気をつけなきゃ……
さっき明日の午後に訪問するって連絡が来たとカルタムが教えてくれたから、もう、うじうじ考えてもしょうがないわよね。
よし、何色の瞳にするか考えておこうっと。
無難に黒かなぁ。でもせっかく宝石使うならいろんな色を使いたいし……
あ、2週間後にお父様が領地に行くと言っていたから一緒に連れて行ってもらう約束したのよね。
せっかくだからお祖母様のプレゼントにしよう。お祖母様のツンデレは猫みたいだからぬいぐるみはネコちゃんね。瞳の色は薄いブルーだからアクアマリンがいいかしら?明日商人と相談して決めよう。
ふふふ、残りのクマさんは私の瞳の色の緑色、ウサギさんはやっぱり赤い瞳がいいかしらね。
さっきまで感じていた憂鬱さも、ぬいぐるみの事を考えるとさっぱり忘れ鼻歌を歌うリーシェルだった。




