28.魔法のお勉強 3
いや違かった。初めての魔法は水ではなく身体強化魔法だったらしい。しばらくぷかぷか浮いていた水球は指を全部握り込みながら魔力を断つようにするとフッと消えた。
「なんで……私は魔力防御?できたのでしょう?」
「それはこちらがお聞きしたいです……が、本当に誰にも引っ張ってもらってないのですよね?」
「え、ええ。教えてもらった通り魔力感知は毎日練習しましたけど……」
どうやら考え込みだしたユグドル先生の顎をさする手を見つめる。
座学では、魔法の発動には他者の介入が必要だなんて習わなかったけど、珍しい事なのかしら。無くはないと思うのよね。全員が誰かに引っ張り上げて貰わなければ魔法を発動出来ないというのなら、それこそ始めの1人はどうしたんだって話だし。ニワトリが先か卵が先かって。
「他の方でご自分で魔力の発動をした方もいらっしゃるんですよね?」
そう、いる前提で問いかける。
「そう……ですね。いることはいます。―――リーシェル嬢もご存知のガーレル様です」
んっ!?ガーレル様って……
「魔導師ガーレル!?」
「そうです。魔法の始祖と言われているガーレル様です。500年前に王都で流行病が蔓延していた時に癒しの力を使ったのが、この世界で初めての魔法だと文献に残されています」
まさかのニワトリ!?え、ちょっと待って500年間誰もいないの?始祖だけ?
「リーシェル嬢はただのご令嬢とは違うと思っていましたが……魔導師ガーレル様に並ばれるような方という……」
やだ、どうしよう!跪かないで!両手と顔をブンブン振りすぎて首が痛い。
「立ってくださいっ!困ります!ね、ユグドル先生?」
あわあわしながら先生の手を引っ張って立たせたけれど……なんだかキラキラした瞳で微笑まれただけだった。




