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21.お祖母様に近づこう 3


 昨日と同じようにお祖母様の部屋のドアをノックする。ただ違うのは、誰が、ということ。


「大奥様、お茶のご用意ができました」


「そう、入ってちょうだい」


 ムスカがドア越しに言うとすぐに返事が返ってきた。

 ムスカの後ろに並び、しれっと一緒に入る。


「お祖母様、私もご一緒したいわ。お茶菓子を作ったの、お祖母様にぜひ召し上がって欲しいわ」


 満面の笑みで近づく私にお祖母様は呆気にとられている。可愛い孫のグイグイ行く作戦である。


「リーシェルが作ったのかい?」


 ほら、作戦成功だわ!私がお菓子を作ったって事に意識がいってるみたいで勝手に入室した事はどうでも良くなっている。


「ええ、お祖母様。お口に合うといいのだけれど……さぁ、早く食べましょう」


 ムスカが紅茶とパウンドケーキを2セット並べる。


「そう、じゃぁいただこうかね」


 紅茶を一口飲むとフォークでパウンドケーキを一口サイズに切り口に運ぶお祖母様をじっと見つめる。

 ふっと笑うお祖母様に息をのんだ。


「オレンジを使うなんてよく考えついたたね。いい香りだ。悪くないよ」


「ふふふ、とっても嬉しいわ。お口に合った事も、お祖母様の笑ったお顔が見られた事も」


 その言葉にバツが悪そうな顔をする。


「………私は息子に嫌われてるからね、あまり顔を合わせないようにしてたんだよ」


 やっぱり……お祖母様は伯父様を亡くした事で負い目を感じてお父様に嫌われてると思い話しかけられず、お父様はそんな様子に見限られたと口をつぐむ。まるで掛け違えたボタンのようだわ。


「私、これからも時々この本邸に遊びに来てもいいかしら?またお菓子を作ったら食べていただきたいわ。それに……お祖母様とももっとお話ししたいもの」


「……そうかい、勝手におし」


ぶっきらぼうな物言いだけど、ダメとは決して言わないのね……これはツンデレってやつだわ。お兄様にも教えて差し上げましょう!


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