17.領地に行く 3
午後のお茶の時間になってもお祖母様は部屋に引きこもったままだった。
「お祖母様?ご一緒にお茶の時間にしませんか?」
ノックをして問いかけてみるがドア越しの返答は「部屋で飲むからほっといてくれ」だった。
お祖母様の部屋の前まで案内して付き添ってくれた領主邸の家令のムスカと顔を見合わせてしまう。
お父様とお祖母様の間には何かある。お父様が生まれ育ったこの領主邸で。
お祖母様の部屋の前から離れながらムスカに聞いてみる。
「お祖母様はいつもああいった様子なのかしら?お父様は時々領主邸にいらしてるの?」
「大奥様は普段はもう少し快活な方でございます。旦那様は月に1度はこちらにいらっしゃっておりますが、執務室にこもって仕事が終わったらすぐにお帰りになっております。―――大奥様は……少し寂しく感じておられるんではないかと……」
最後は言い澱みながら話すムスカを見つめる。
「お祖父様が……お亡くなりになったから?―――お父様とお祖母様には何があったの?」
「申し訳ございません、お嬢様。私の口からは申し上げられません。旦那様もきっと、折を見て話してくださると思います」
「そう……ね。わかったわ」
眉間に皺を寄せ眉を下げるムスカはこれ以上何も答えてくれないだろう。お父様に直接聞いていいものかしら……
もし何か私に出来る事があるのならば。
だってお父様もお祖母様もとても寂し気だもの……