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15.領地に行く 1



 王都から馬車で4時間…私達は今お父様の持つ領地に向かっている。

 王都の南側に位置し少し温暖な気候のマクレガー領は、豊かな土壌で農作物の収穫も安定している。領の南側は柑橘類の産地としても有名だ。

 侯爵領本邸は領地の中央にあり比較的王都に近く交通の便も良い。


 せっかく領地に行くならと、ユグドル先生にばっちりマクレガー領の事も聞いてお勉強してきたわ。

 お父様は領地の視察だと言っていたけれど、リーシェルは初めて行く領地に心踊っていた。


 そう、だってお祖母様に初めて会うのよ。私が生まれる前にお祖父様が亡くなってずっと塞ぎ込んでいるみたいなの。

 前世では物心ついた頃には祖父母がいなかったから会う機会がない事に疑問にすら思わなかったけれど、何だかんだ言って少し憧れてたのよね、優しいおばあちゃんって存在に。


 ふふふ、お祖母様ってどんな方かしら。


 お父様はお疲れなのか馬車の中でずっと目を瞑っている。お母様は少し不安そうにお父様の様子を窺っていて、なんだかあまり話しかけない方が良さそうな雰囲気だわ。お兄様と大人しく窓の外を覗いていよう。



 そうして、ワクワクした気持ちで到着した私達を出迎えてくれたお祖母様は思い描いていた方とは全然違っていた。


「よく来たね。もてなすような事も無いからね。勝手におし」


 挨拶もそこそこにお祖母様はそう言い残し、部屋に戻っていった。

 戸惑う私達にお父様は短い溜息をつくと困ったような笑顔を向ける。


「お祖母様と私は、あまり仲が良くないんだ。心配させてしまってすまないね」


 お父様のそんな表情は初めて見たから何も言えなかった。

 きっと私も困ったような笑顔をになっていたと思う。



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