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痺れ薬


 私は、風呂敷に戻していた〝痺れ薬〟を取り出す。

 それを見たお母さんとルジーナが本当にやるのかといった目で私を見てきた。

 そりゃやるよ。

 普通ならこんな怪しい薬を王様に飲ませるなんて良くないことだってわかってるけど、こうでもしないと本当に気が収まらない。

 〝痺れ薬〟を手に、泥棒さんの前に立つ。


「そ、その手に持ってる薬は?」

「〝痺れ薬〟です! 飲んでください!」


 そう言いながら〝痺れ薬〟を差し出す。 


「なんでそんなに良い笑顔!? 笑顔は可愛いのに言ってることが物騒だよ!?」

「お父様、大丈夫です。リナお姉ちゃん曰く、副作用はないそうです」

「何かあれば私が回復薬を用意しますので、安心して飲んでください」

「すでに飲む流れができてる!?」


 ルジーナとお母さんがサッと泥棒さんの両脇に移動して体を押さえてくれる。

 〝痺れ薬〟の瓶の蓋を開けて、押さえられている泥棒さんに近づく。


「さぁ、口を開けてください。大丈夫です。一滴だけにしますから」


 私の言葉を聞いて、泥棒さんが恐る恐る口を開ける。

 開けきったところで、すかさず口の中に〝痺れ薬〟を一滴垂らす。

 途端、泥棒さんの体が、力が抜けたように脱力する。

 そんな泥棒さんを、お母さんとルジーナが咄嗟に支える。


「そのまま30分間、反省してください」


 ふぅ、スッキリした。

 気も、痺れて動けない泥棒さんを見てなんとか収まったし。

 けど、王様に〝痺れ薬〟を飲ませたことが罪にならないか心配だ。

 でも、そのわりには控えてるメイドさん達が全く動揺してない。

 これは、セーフってことなのかな?


「それじゃあリナ、私はこの人を部屋に運んでくるから、あなたがこれから住む部屋に案内してもらって?」

「うん、わかった」


 私が返事を返すと、お母さんは控えていたメイドさんを一人だけ残して泥棒さんを運んでいった。

 そして、残った私とルジーナ、そしてメイドさん。


「ではお部屋まで案内させていただきます」

「あ、はい。よろしくお願いします」


 ◆


 場面は変わって城のとある一室。

 ルクリオを運んでベッドに寝かせ終えたサリアは、ベッドの傍らに椅子を置いて座り、10年ぶりに再会した愛娘のことを思い出していた。


「生きててくれてよかった。それに、あんなに逞しく育って……。逞しく……?」


 先程の〝痺れ薬〟の一部始終を思い出し、なにか違う気がすると思うが即座に振り払う。


「ううん、元気ならそれが一番。それに、あれはこの10年間のリナへの罪滅ぼしだもの。ね、ルクリオ?」

「うん、確かにそうなんだけど……。これ、全く動かないんだけど? 前にサリアが作ったのをあのバカ貴族に投与したときは頑張れば動ける感じだったのに、君の娘のは全く動かせる気配ないよ?」

「リナの方が私よりも薬を作る才能があるのよ。8歳の時にはもう中級の薬はすべて作り終えてたし」

「そうなのかい? 僕の病をたった一本の薬で治したサリアよりも?」


 ルクリオの問いに、サリアは頷いて答える。


「まぁ確かに、一滴でこの効能だからね。あれ一本全部飲んだらどうなることやら……。もう絶対にあの子を怒らせないようにしないと」

「そうして? 折角生き延びたのに、寿命が縮まっちゃうから」

「はぁ……これからどうやって仲良くなればいいんだろう……」

「私はなにもアドバイスしないから、自分で頑張ってね?」

「うわぁ、裏切り者ぉ。教えてくれたっていいじゃないか」

「言ったでしょう? 確かにあなたのこともルジーナのことも愛してるけど、私はリナのことを一番愛してるって」


 サリアのその言葉を聞いて、ルクリオは苦笑いを浮かべて「そうだったね」と呟いたのだった。



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