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姉妹として


 泣き止んだ私は、幾分か冷静になったことで王女様に対して怒鳴り付けていたことに気づいて途端に顔から血の気が引く。


「ご、ごごご、ごめんなさい! 気が昂ってしまって……! どうか、命だけは……!」


 深々と何度も頭を下げる。


「いえ、こちらこそ申し訳ございません。お姉様の仰る通りです……」

「……えっ?」

「はい? どうかされましたか?」

「あの、口調が……」

「あ、それでしたら、その、大変烏滸がましいのですが、お姉様がどのような人物かを見定めるために、ですね……少し、偉そうにしてみました。本当に申し訳ございません!」


 なにこの子、可愛い。

 ハッ!? そうじゃなくて!


「ぜんぜん、ぜんぜん! そんなことは気にしないでください!」

「もう、怒ってはいらっしゃらないのですか? お母様のこと」

「あぁ……はい、なんか泣いたらスッキリしました」

「そうですか。――では、その、大変厚かましいのですが、敬語はやめてもらえないでしょうか?」

「へっ? む、むりむり、無理です! 私はただの魔女ですよ!? 妹とはいえ、王女様に敬語使わないなんて、お母さんに叱られる!」


 お母さん怒るとものすごく怖いんだから。


「大丈夫です。父親は違えど、私とお姉様は姉妹です。妹に敬語を使っていたら、それこそお母様に叱られるのでは?」

「……じゃあ、あなたも敬語をやめのであれば、やめます」

「私は性格上と立場上この話し方なので、無理です」

「じゃあ私も性格上こういう話し方なのでやめません」

「お姉様は先程、敬語ではない話し方をしていたと思うのですが?」

「うっ……それを言われると、なにも言い返せない……」

「でしたら、敬語、やめていただけますよね?」


 ニコッと良い笑顔をしながらそう言ってくる。

 美人なだけに、破壊力がすごい。

 それに、王族だからか、賢くて私なんかじゃ言い負かせられない。

 そう思った私は、


「わかった……これでいい?」


 観念して普段の口調になった。


「……! はい! それと、もうひとつ……」

「まだあるの!?」

「はい……あの、名前、呼んでいただけませんか?」

「な、名前? えっと、ルジーナ様?」


 私がそう言うと、不満そうな顔になった。

 えっ、違うの?


「じ、じゃあ、ルジーナさん?」

「もう一声」

「えっ? えっと……ルジーナちゃん?」

「それでもいいのですが、もう一声」


 えっ、ここまでダメだったらあとは呼び捨てしかないよ!?

 ……うーん、もういいや、言っちゃえ!


「る、ルジーナ?」

「はい! お姉様!」


 わぁ、ものすごく嬉しそう……ハハハ……。

 もう、さすがにもう次はないよね?


「あの、申し訳ないのですが、最後に、もうひとつだけ」


 あったよ……。

 まだあったよ……。


「……なに?」

「お姉様のお名前は、リナでよろしいんですよね?」

「えっ? あぁ、うん、そうだけど……」

「でしたら、その、リナお姉ちゃんと、お呼びしてもよろしいでしょうか?」


 リナお姉ちゃん。

 そう言われた私に、稲妻のようなものが走った。

 リナお姉ちゃん、ものすごく良い響き……。


「そう呼んだ方が喜ばれると、お母様が仰っていたので……」

「うん、ぜんぜんいいよ! 何回でも呼んで!」

「はい。リナお姉ちゃん」


 お母さんが生きていて違う家庭を築いていたことには驚いたけど、こんなに可愛い妹ができたんだから、まぁ、許してあげてもいいかな?

 ルジーナは良い子そうだし、仲良くやっていけそう。



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