98.国際独立軍の考え
「ありがとう!精一杯頑張らせてもらうわ」
カイラは微笑みながら俺に言った。
「代表として国連総会に出席してもらう以上、細かい打ち合わせをして意見をまとめておきたいからこのまま話そうか」
俺はカイラに言った。
「そうね」
カイラは答えた。
「まず国際独立軍は今回の騒動を静観しようと考えている」
俺が言うとカイラが反対した。
「それはやめておいた方がいいと思うわよ」
「なんで?余計な争いに巻き込まれるだけじゃないか」
俺は言った。
「今回の一件は、国際独立軍が狙われたのよ?それなのに何もしなかったら、今後他国からなめられるのは目に見えてる。絶対に譲歩してはいけないわ」
「じゃあ何を要求するんだ?」
「そうね。アウトバーナー男爵家の領地とかじゃない?」
「土地をもらうのか!」
「えぇ」
「ちょっとそれは要求が過ぎてないか?」
「そんなことないわ。こんかいアウトバーナー男爵家が首謀者だというのならその跡地を我が軍が管轄するとか言えばいいのよ」
「でもガジス王国が納得しないだろ」
「あなたは基本的に外交を勘違いしているわ。外交は相手が納得するところを見つけるのではなく、自分に利益をもたらす内容をいかに相手に認めさせるか」
「だがガジス王国が拒否という姿勢を明確にしたら外交では終わらなくなる」
「多分だけど、ガジス王国は今回の一件をアウトバーナー男爵家の責任という姿勢を見せてくると思うわ。じゃないと戦争になりかねない出来事だもの。ガジス王家としてはそれしか生き延びる方法がないというのもわかっているだろうしね」
「それが拒否できないのとどうつながってくるんだ?」
「我が軍に牙をむいて、そういった世界に対する挑戦ともとりかねない貴族を管理できないような国に引き続き領地運営を任せるのは、我が軍の安全保障上認めることはできない。こう言えばガジス王国も認めざるを得なくなるわ」
「だが土地を手に入れたとして、一般民衆が我が軍の統治に納得しなかったら領地運営など夢のまた夢だろ」
「一般市民には真実は必要ないわ。耳あたりのよいでっち上げを適当に吹聴すればそんなこともないでしょうよ」
「嘘を言うのか!?」
「国家が持っている情報と、民衆が得る情報は必ずしも一致するとは限らないの。じゃないと国家運営なんかできないわよ」
カイラは俺をまっすぐ見て論を展開する。
「まぁ民衆のことは領地が手に入ったら考えるとして、ガジス王国から嫌がらせをされる可能性は?」
「ないとはいえないけど、でも軍事力的には喧嘩は売ってこないでしょうね。それに会議が終わった後、オフレコで貴国からいただいた土地には基地を作るから、万が一の際には素早く対処します。とか言っておけば向こうも利があるし、何もしてこないと思うわ。基地があるって相手に思わせるだけで抑止力になるしね」
「はぁ。外交は俺には向いてないな。腹の探り合いのレベルが違う」
俺はカイラとの話し合いが一段落して、思ったことを率直に述べる。
「外交は化かし合いだからね。どれだけ含みのある発言をできるか。そして相手の発言をどこまで理解できるかにかかっていると思うわ。外交の授業だけは厳しかったのよ。家の存続もかかってくるしね。まぁ戦争に負けて存続できなかったんだけど」
カイラは苦笑しながら言った。
「今回の外交はカイラの方針で任せるよ」
俺はカイラに言った。
外交のことはさっぱりわからん。
一朝一夕で身につくものでもないし、経験者に任せるべきだと俺は判断したからである。
やり過ぎぐらいの要求だとは思うが、ものは試しだろう。
大陸に基地ができると、飛行機で国際独立軍本拠地と行き来できるので便利という事もあるし。
こうして俺たちは国連総会に向けて準備を進めていった。




