97.カイラの過去2
俺が話の続きを促すとカイラは話を再開した。
「ジュギャイアに書類上売られてガジス王国に来た私は、アルトパキア帝国が成立するまで奴隷商館の中で暮らしていたの。書類上は奴隷だからっていうのもあるけど、奴隷のうちは第三者は関与できないから、一番安全な場所だったしね。セキュリティもしっかりしてるし。で、アルトパキアが建国されて、一ヶ月くらいしてから私は奴隷商館を後にしたの。もちろん名前は変えた。その時決めた名前がカイラだった。そしてやることもないからギルドメンバーになったわけ。幸い、弓は侯爵家令嬢時代にやっていたから苦労はしなかったわ。そのときにムルやシルと出会ったの。そこからはギルドメンバーと生活してたってわけ。で、スピアフィッシュ討伐でサトウに出会ったって流れね。」
カイラは説明を終えたようだったが一呼吸置いて話を続けた。
「こっからが本題。なんで私が国際独立軍の代表に入りたいかだけどこれにはちゃんと理由があるの。私は外交は一通り学んだわ。大きくなってからは父の外交会議について行ったこともある。だから外交はサトウよりできる。私の無茶な要望聞いてもらって国際独立軍に入れてもらってるんだから、こんぐらいの恩返しはしたいの」
カイラはまっすぐこちらを見て言った。
「一つだけ聞かしてくれ。アルトパキア帝国を恨んでいるか?」
俺はカイラに問う。
もしこれで「はい」と答えるなら俺は連れて行かないつもりだった。
外交を私怨で進められては困るからである。
「恨んでいるかどうか、といわれたら。そうね、好きではないわ。でも恨みはない」
カイラは言い切った。
「親や親戚を皆殺しにされたのに?」
俺は少し意地悪な質問をした。
「そりゃあ、前は滅ぼしてやりたい。って考えていた時期もあったわ。でも今振り返ると、内紛が続いていたとき、国民の生活は破壊され尽くしていた。その戦争を指揮していたのが私の一族だったのよ。国内をあそこまで衰退させてしまったのだから、我が一族には王の資格はなかったって考えるようになったの。それにもう終わったことを恨んでいても疲れるだけ。相手は国家となってしまったのだからどうすることもできないわ」
カイラは少し考えてから、俺の質問に答えた。
「国際独立軍とアルトパキアが戦争をすれば、我が軍が圧勝するだろう。その力を得てもカイラは公平な判断で外交ができるか?」
俺は質問を続けた。
「えぇそこは大丈夫よ。虐殺を行う気はないわ」
「虐殺とは言ってないんだが」
俺はカイラの返答に対して突っ込む。
「いや、この戦力差なら戦争にすらならないわよ」
「まぁそうだろうとは考えているが・・・」
「で?つれてってくれるの?」
カイラはこちらを見据えていった。
どうやら言葉で濁すのは不可能のようだ。
「あぁ。代表として国連総会に出席してもらうよ」
俺は答えた。




