96.カイラの過去1
「その代表者に私を入れてほしいの」
カイラは意を決したように俺に言った。
「理由は?」
俺はカイラに聞く。
するとカイラはこちらをまっすぐに見つめて話し始めた。
「わたしの本来の名前はカイラじゃないの」
「は?」
俺は意味がわからず声が漏れる。
「今から話す内容に一切嘘は入っていないわ。だから真剣に聞いてほしいの」
「わ、わかった」
俺はカイラの鬼気迫る気迫に押されてうなずいた。
「私はカレルロッタ侯爵家の長女として生まれたの」
「侯爵家?貴族の方でもめちゃくちゃ上の立場じゃないか」
「えぇ。そうね上には公爵家と王家しかなかったわ。生まれた国はバレル王国よ」
「バレル王国って言ったらアルトパキアの前身か!」
「そう。そのバレル王国侯爵家の生まれなの。本名はカレルロッタ・イルアーテっていうの。私が子供の頃は裕福ではなかったけど国民がイキイキと暮らすいい国だったわ。でも内紛が起こったのよ。内紛の火種は跡取り争い。どこの国でもある小競り合いで終わるはずだった。でも王家の王子を次がせる王子派と公爵家が後を継ぐ公爵派の戦力が拮抗したの。それで戦いは泥沼化。その間に国力は底なし沼のように低下した。それを好機と捉えたガジス王国も参戦してきてもはや内紛はとどまるところを知らずに拡大の一途をたどったの。カレルロッタ侯爵家は王子派の最大派閥で戦争の指揮を執っていたわ。言うまでもないと思うけど公爵派のトップはアルトパキア公爵家よ。今は皇帝を名乗っているけどね。で、ガジス王国側は王子派に加勢したけれど戦争の結果は王子派の負けだったのよ。それで王子派の首脳陣だったカレルロッタは一族皆殺しにされたはずだった。もちろん私の両親は捕まって殺された。でも捕まる間際に私を逃がしてくれた。その方法は奴隷制度を使ったものだった。私を一般人に偽装して戦争犯罪人としてジュギャイア奴隷商館に売ったのよ。ジュギャイアは昔からカレルロッタ侯爵家に出入りのある奴隷商人でね。そして私は奴隷としてなんとか国境を越えることに成功してガジス王国に入国したの」
「それでジュギャイア奴隷商館に顔パスで入れたのか」
俺はカイラの話が一段落したのを見て言った。
「えぇ。じゃないとジュギャイア奴隷商館みたいな高級奴隷商館は一見さんお断りだから普通は入れないわよ」
カイラが言う。
「それで?そっからどうしたんだ?」
俺が話の続きを促すとカイラは再び語り始めた。




