6.スピアフィッシュ討伐
船はスピアフィッシュを左側にみるような形で停船していた。
3人は甲板に出たあとカイラは弓で、ムルさんは魔法でスピアフィッシュと戦っていた。
ちなみにシルは遠距離武器は使えないのか二人を応援していた。
スピアフィッシュはとても俊敏で弓矢は外れ、魔法もあまり当たっていなかった。
「なによ!こいつらチョロチョロと!」
当たらない弓矢に、カイラはイラついてるようだ。
そうしてるうちにスピアフィッシュはどんどん近づいてくる。
「ダメね。ぶつかるわよ!衝撃に注意!」
カイラが叫ぶ。
3人が一斉にしゃがみ衝撃に、備える。
ゴン!
船底から鈍い音が聞こえた。
ただそれだけだった。
3人は想像していた衝撃が来なかったので恐る恐る船から鈍い音がした海面を覗きこむ。
「あー!シル!突くのよ!」
カイラが指示する。
「ラジャー!」
シルは槍で海面を槍で突きまくっていた。
艦橋からじゃ見えない。
俺は3人がいるところへ向かう。
シルの槍が突いている先を見るとスピアフィッシュが一匹浮かんでいた。
顎は折れ、腹はシルの槍の跡が残っており生きている気配はない。
「あと2匹逃げたわ。コイツを引き揚げて追いましょう」
カイラが言った。
俺ら4人は小隊長に用意してもらった網でスピアフィッシュを引き揚げた。
小隊長から網を貰ったときに残り2匹を追うよう命令したので船は残り2匹を船首の2000m先に捕らえあとを追っていた。
「コイツら逃げるとき高速で蛇行するからもう弓も魔法も当たらないかもしれない」
カイラは俺を見ながら言う。
俺はそれを聞きカイラに
「ちょっと試したいことがある」
とだけ言い4人で艦橋に戻ってきていた。
試したいこと。それは主砲による砲撃である。
3人が甲板で戦っているとき、小隊長に主砲は使えるのか?と尋ねると「撃てますよ」と返答してくれた。
「で?何か攻撃する方法はあるわけ?」
カイラは疑い半分といった表情で聞いてくる。
「多分成功するよ」
俺は答えた。そして艦内放送で指示をだす。
「目標12時の方向。距離2000m。主砲撃ち方準備!」
30秒後小隊長が「準備できました。」とスケッチブックを見せてきた。
「うちーかたはじめー」
俺は艦内放送でそう宣言する。
ダァン、ダァン、ダァン、ダァン
主砲の62口径76ミリ単装速射砲が火を吹く。
船、正面に水柱が上がる。
双眼鏡を覗き確認すると、銀色の魚体が浮いていた。
「命中!」
俺は叫ぶ。
「いや、ちょっとまて」
水を差すカイラ。
俺は、カイラの方を向いた。
「なんなのよ、あれは!」
カイラは不機嫌だった。
何か気に障ることをしただろうかと首を傾げていると
「あれは大砲なのかしら?」
ムルさんが聞く。
「あれはこの船の主砲で62口径76ミリ単装速射砲と言います。毎分120発撃てますよ」
「は?」
カイラとムルさんは固まっていた。
シルだけ顔をキラキラさせている。
「1秒で2回も撃てるんだ!すごいねぇ」
「ちょっと待ちなさいよ!」
カイラはシルの呟きをかき消すような声で続ける。
「何で最初からあの速射砲?使わないのよ!そもそもあんな形の大砲なんか見たことないし、どうなってんのよこの船は!」
どうなってんのと言われても返答に困る。
俺はそう思うのだが、なにも言わなかったりすると余計カイラを怒らせそうな気がした。
「言えるのはこの船は風の力がなくても進み、速射砲は毎分120発の射撃能力があるとしか…」
「その時点で異常よ…」
カイラはまたも諦めたような顔をしてムルさんはカイラを見て微笑んでいた。
スピアフィッシュ三匹を甲板に転がし船はリーウェン港に向かって舵を切る。
リーウェン港に入港し、手押し車でスピアフィッシュ三匹をギルドに運ぶ。
ちなみに手押し車はギルドから借りた。
「おー!ようやってくれた」
ギルドに着くなりギルドマスターの部屋に通された俺たち4人は歓待されていた。
ギルドマスター曰く「これで交易が元に戻る」とのこと。
報酬は4人で400万ルシエとのことだった。
俺はルシエと聞き、あの女神を思い出していた。
ギルドマスターの部屋に案内してくれたリルさんに聞いてみると驚きの返答が帰って来た。
「ルシエ教は世界教会もあるほど世界的に信仰されている宗教です。女神様への感謝が届きますように、という理由で世界共通通貨になっています。」
マジかよあの白髪女神。
そんなに立派な奴には見えなかったけどなぁと思ったものの、口に出すと長引きそうだったのでやめた。
4人で話し合った結果400万ルシエの取り分は3人組が150万ルシエで俺が250万ルシエに決まった。
俺は貰いすぎだと言ったが「船はあんたが出してくれたんだし、3匹のうち2匹はあんたが倒したんだからそんぐらい貰ってくれ」とカイラに固辞されたのでありがたく貰っておく。
「明日あんたの島に行ってもいい?」
カイラが聞いてきた。
「じゃあ明日の9時に迎えを出すよ」
「わかったわ、明日の9時にリーウェン港で待ってるわね」
報酬を受け取ったあと3人組は共同生活しているらしく、自分達のホームへ帰っていった。
俺は市場へ買い物に出掛けることにした。
携行食は美味しくないのである。
それにこの「ルシエ」の通貨単位がどれくらいなのか知りたい。
市場に着くと日が傾きかけているということもあってか人通りはまばらだった。
市場の品は野菜等は日本とあまり変わらないような野菜が多かったが、肉や魚は魔物などの肉も流通してるのか見たことのないような肉が並んでいたりした。
俺はご飯の材料になりそうな野菜などを購入していく。合計金額は5000ルシエほどで日本とあまり変わらない価値のようだった。そう考えると自分が持っている250万ルシエが恐ろしく思えてきた。俺は早々に港に戻るとミサイル艇に乗り込み島に帰る。
島に戻ると日は沈み、辺りを闇が覆っていた。
市場で買ってきた食材で簡単に晩御飯を済ませた俺はそのまま就寝準備を行うのだった。
どうも近衛瑞です。
この6話にきて早くもあとがきネタが尽きるという緊急事態になっております。
このあとがきを楽しみにしてくれている人がどこかにいるはずっ!そう信じてネタを探そうとけついしました。
ここまで全く本文関係ないですね。
関係のあることを書くと今回は兵器の話が載っていました。
分かる人にはわかるんですがわからない人には全く分からないと思います。
ただ、ミリタリーはわからないっていう方でも楽しく読めるような作品にしていきたいと思っておりますので今後も近衛瑞をどうぞよろしくお願いいたします。




