132.着陸
「そうだ!」
考え初めて数分。俺は海賊を連れてくる方法を思いついた。
「オスプレイで航空母艦から基地まで空輸しよう」
そうと決まると俺は早速無線機を使用して呼びかける。
「国際独立軍総司令官より、空母打撃群α司令官宛て。応答願います。どうぞ」
するとすぐに返答があった。
「こちら空母打撃群α司令官セルアータ。内容どうぞ」
「えー、海賊どもの対処についてですが、貴艦に艦載されている、オスプレイにて国際独立軍本拠地まで移送願います。どうぞ」
「セルアータ了解。ただいまより準備を行います。どうぞ」
「お願いします。なお、オスプレイ離陸時には一報願いたい。以上どうぞ」
「セルアータ了解」
セルアータと無線機で話し終わると、飛行機が着陸態勢に入ったと使い魔から連絡があった。
「海が近づいてきたよ!」
窓から景色を眺めていたシルが興奮気味に言う。
ゴウッっと音を立ててB777は国際独立軍本拠地へ着陸する。
接地したかと思うと、ギュィーンと音を立てて前のめりにGがかかる。
俺からすれば懐かしい感覚なのだが、ヘリコプターしか乗ったことのないムルやシルからすれば初めての着陸なので、二人とも前の座席をしっかりと握り、Gに耐えていた。
「今のすごかったね」
逆噴射も終わり、飛行機が滑走路から誘導路へ機首を向けたときにシルが言った。
「あぁ。スピードが出てるから大型の飛行機はエンジンを逆向きに噴射して、減速するんだよ」
俺は説明した。
厳密に言えば逆向きに気流が流れるわけではないのだが、そこまで細かく言う必要も無いだろう。
「離陸するときもすごかったけど、それ以上ね」
ムルが言った。
機体は完全に滑走路から離脱し基地へ向かう。
滑走路の方を見ると護衛についていた、F-22の姿が見える。
さすがにどこかの組織に空中戦を仕掛けられるとは思わないが、ユニコーンらしき空母がこの世界にあったと仮定するのならば、航空機もある可能性が高い。あくまでも念のためである。
飛行機から降り、俺らは作戦情報室ヘ向かう。
部屋に入ると、ほぼ同時にセルアータからオスプレイ離陸の無線が入ってきた。
オスプレイは無事に離陸し、こちらへ向かっているそうだ。
俺は海賊が到着するまで、ムルからルシエ教会について細かく教えてもらうことにした。
なんせ、海賊が到着したら、ルシエ教会に協力を仰がねばならない。
俺はルシエに転移させられた身だけど、教会とは一切関わりが無い。
そこで情報を得ておこうと思ったためである。




