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作者: 貨物男

 薪を放る。火は良いものだ。原初的な落ち着きをもたらしてくれる。そうして、その時私は確かに通常の数倍は歳を経たように感ずるのだ。不可思議なもので、激しく焚いているときは我が身は小学生の時のように力がわいてくるのであるが、こう落ち着いて料理が出来る熾火になったとたん歳をくったようになってしまう。夕に暮れては映える火を見下ろしつつ陶然として飯盒を火にかける。薪のはぜる音、川のせせらぎ、涼風に香るか木々に抜ける草の匂い。紅染まる火の香も、歌織うたおりりなすに相応しい。


 火は良いものだ。さて、死ぬか。すらと刀を抜き振り返る。居るわ居るわ、おっかない者どもが。そちらへ向けて駆ける。銀の混ぜられた弾が幾重の弾幕を形成しかかってくる。この身がこうなってより一度も血を啜ったことがなく、力も出ぬこの状態で死ねる。歓喜だ。人間の意思のままに死ねるのだ。歓喜に頬が染まる。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しげに火を見ている男の心情がよく書かれていました。 最初は放火でもしているのかと「ぎょっ」としましたが、実は夕食を作っているだけと知って安心しました。 最後は何とも激しい感じで燃え上…
[一言] こんにちは。企画より参りました。 前半はほのぼのとした印象を受けていたのですが、後半は一転。どきっとする展開になりましたね。てっきり、ちょっと疲れた日常だけれど、キャンプファイヤーでエネルギ…
[一言] 情景がわかるようで、分からない……。 焚き火をしているのは分かる。小学生と言っているので今の日本人? それが刀を持って敵に向かって駆け出す? 飯盒をかけていたということは生きることを考えて…
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