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いろいろはっちゃけた二人

評価、ブクマ登録ありがとうございます。


 色々あって無事に試験の受付を終えがスレイとユフィが試験の始まりをまっていると、先程壇上に立っていた女性職員が今回の受験者を集め試験の内容の説明が始まった。


「本来の試験は各ランクの試験官と戦うことですが、今回はこちらの指定した魔物の討伐を討伐してもらいます。パーティーを組むもよし、一人で狩るのもよしですが、試験官の冒険者一人が付きます。以上です」


 説明を終えると受験者である他の冒険者たちが騒ぎ出した。

 ランク試験なのだから一人で挑戦するものだと思っていた冒険者たちが、知り合いや近くにいた冒険者に声をかけてパーティーが出来上がっていく。

 そんな中、先程のやらかしが原因か誰にも声をかけられないスレイとユフィは、気にすることなくいつもの調子で話しだした。


「ねぇねぇスレイくん、ただ狩るなんてつまらないよねぇ~」

「やっぱり、ユフィならそういうと思ったよ」

「それじゃあスレイくん、いつものやっちゃう?」

「あぁ、やるか」


 ニコッと頬笑むユフィを見ながらスレイも笑いかける。


「どっちが多く狩れるか勝負だ!」


「どっちが多く狩れるか勝負だね!」


 試験そっちのけでなぜか勝負が始まってしまった。


 ⚔⚔⚔


 そんなこんなでランク試験が始まった。

 スレイとユフィが試験で狩ることになった魔物の名前はソードフィッシュを二十匹、もしくは一角クジラを一匹どちらもCランクの魔物で、それを指定された数だけ狩れば終わりなのだが ………。


「これは、何が起きてるんだ?」


 船の上に佇む一人の冒険者は、目の前で繰り広げられる光景に呆然としながら呟いた。

 彼はスレイとユフィの試験管なのだが、Eランク冒険者が二人だけしかも内陸で活動していた冒険者なら手こずるだろう。そう思っていた。


「どうしたユフィ!そんなんじゃ今回はボクの勝ちだぞ!?」

「なにぉ~、もう許さないから!これからは私も本気だからね!」


 空中に浮かぶスレイと、同じく空中に浮かぶボードの上に乗っているユフィは次々に空中に飛び上がる魔物を倒していく。

 すでに指定された数の魔物を狩っている二人だったが、二人は止まることなく魔物を狩り続けている。試験はもう終わっているというのに、なぜ魔物を狩り続けている理由は単に勝負がつかなかったからだ。


「Eランク冒険者って、なんだっけ?」


 明らかにランク詐欺ではないかと言いたくなる光景に、試験官はただただ現実を逃避するように目をそらすのであった。


 ⚔⚔⚔


 空中を飛びながら魔物を狩り続けるスレイとユフィ、今二人が戦っている魔物は討伐対象であったソードフィッシュという魔物だ。

 一メートルほどの巨大な身体はそのほとんどが刃のような鋭さを持つ。頭部は頭が鋭い刃であり、鱗も同様の鋭さを持つ。その身体を使っていくつも船が沈められたという話は有名なものだ。

 そんな魔物が次々と飛び上がって向かってくるにも関わらず、二人は逃げることなく迎え撃っていた。


 次々と向かってくるソードフィッシュを剣で倒し続けるスレイだったが、その数の多さに嫌気が差した。


「あぁ、剣だけじゃ捌ききれない、行け──ソードシェル!」


 空間収納を開き出てきた無数の短剣の群れが一斉に浮かび上がると、その刀身に炎の刃が灯りソードフィッシュの身体を一斉に焼き斬った。


「あっ、スレイくんズルい!だったら私もッ!───起動(オン)ッ!」


 懐から取り出した小さな粒を空中に放り投げると、杖を媒体に魔力のラインを繋げ起動の語句を告げる。


「行くよッ!──ストーンバレット!」


 起動したアタック・シェルを通して展開された無数の魔法陣から石の礫が放たれ、撃ち抜かれたソードフィッシュたちが落下していく。

 空中を自在に飛び回る炎を宿した剣と、至る所に展開される魔法陣から放たれる様々な魔法によって、現れる魔物はその数を減らしていく。


「クソ、まだまだ来るな」


 向かってくるソードフィッシュを真横に一閃して切り落としたスレイは、続けて向かってきたソードフィッシュを蹴り飛ばす。


「おぉ~、スレイくんやるぅ~」

「そんなこと言ってないで、よそ見してると危ないよ!」


 ソード・シェルを操って向かってくる魔物を切り裂きながら叫ぶスレイに、ユフィはニヤリと微笑みかける。


「ふっふーん。私、まだまだ追加でいけるからね」


 その声と共にユフィは懐に忍ばしていたアタックシェルを取り出して起動すると、空中に数十いいや数百にも及ぶ魔法陣が展開されていく。


「おいおい、ユフィいつの間にこんなに………あれ、と言うかこれ危なくない?」


 展開された魔法陣を見てスレイが自分も巻き込まれるのではないかと思い、防御魔法を多重展開してを防ごうとした。だが、スレイが防御魔法を展開するよりも早く、ユフィの魔法が発動するのが早かった。


「やっちゃって!──メテオ・レインッ!」


 無数の魔法陣から放たれた炎を纏った石弾が雨のように降り注ぐ。

 撃ち出された炎の石弾は空中から流星雨のように降り注ぎ、海底に潜む魔物までも焼き殺していく。ちなみに、そんな流星雨の中に身をさらす羽目になったスレイはというと………。


「危ねぇ~、ぎりぎり間に合ってよかった」


 咄嗟にソード・シェルをシールドにして防ぐことが出来た。

 一つ一つが小さかったとはいえ、一歩間違えば死んでいたのではないかと思った。


「あっ、スレイくん!見てたぁ~!スゴかったでしょ~?」

「凄いじゃないよ!後ちょっとで人生終わるところだったよ!!」


 ドヤ顔のユフィに鋭いツッコミを入れたスレイはだったが、一気にさが開いてしまったことに眉間に深いシワを作る。


「あぁ~もう、このまま負けるのも嫌だよな」


 剣に込められた闘気と魔力を解いたスレイは、刀身にこべりついた血を降って落としてから鞘へと収める。無手になったスレイは空いた両手を懐へ差し込むと、二丁の銃を抜き放った。

 右手には魔道銃 アルニラム左手には魔道銃 アルナイルが握られる。


「さて、行きますか」


 二丁一対の魔道銃を握ったスレイは、さらに空中に無数の空間収納の出口を開いた。

 開かれた空間収納からそこから出てきたのは小さな羽のついたアラクネだった。


 偵察用飛行ユニット搭載型アラクネ。

 試作で作った飛行ユニット搭載したアラクネを無数に取り出し、すべてのアラクネとコネクトによって視覚をリンクさせる、

 さらに新しい魔道具を空中に落とした。


「よぉ~し、これで魔物の位置は把握した。あとは、これかな?」


 コネクトによって魔物の位置を把握したスレイは、続けざまに空間収納を開いてある物を取り出した。

 空間収納の中から取り出したプリズム型の物に魔力を流すと、空中に浮かび上がると共に無数の小さな鏡の欠片のような物だが、あちらこちらに散らばっていった。


「ちょっと、スレイくんそれ何?」

「新しい新兵器だよ。ちょっと反則っぽいけど、これも勝負なんでね」


 スイッチを切り替えアルナイルの銃弾を実弾から魔力弾に変更した。


「行くよ」


 銃口を浮遊するプリズム型の魔道具へと向けたスレイは、一斉にトリガーを引き魔力弾を打ち出す。

 スレイが放った魔力に弾丸は一番始めにある大きなプリズムにぶつかると、弾丸が分裂しさらには無数の鏡に反射させ海中から飛び上がった魔物だけでなく、海中内の魔物までも撃ち抜いた。


 プリズム型魔道具ミラージュ・シェル。

 鏡の一枚一枚がシェルになっており、その全てが魔力の増幅と魔法反射の機能を有している。

 これと共に先に取り出したアラクネを使い、魔物の動きに合わせてミラーシェルを配置、移動させることで追尾弾の出来上がりだ。


 数発の魔力弾で数十匹の魔物を討ち取ったスレイはユフィに向けてドヤ顔を向けた。


「おっしゃ!どうだユフィ!」

「ずるいよ!そんなことして、卑怯だよ!?」

「卑怯って言うけど、さっきユフィの攻撃に巻き込まれて殺されかけたからね!?」

「それとこれとは関係ないじゃん!」


 空中で口喧嘩をし始めた二人の元に声が届く。


「君たちぃ~!一度降りてきなさい」


 試験官の冒険者に呼ばれたスレイとユフィは、喧嘩を中断して船の上に降り立った。


「指定の魔物を討伐を確認したので、これで試験は終了とします。お疲れ様でした」

「「ありがとうございました」」

「それでは私は戻りますが、君たちはどうします?」


 問いかけてくる試験官の顔を見た二人はそのままお互いの顔を見る。

 現状ではまだ接戦をしており、このまま引き分けで終わるよりもちゃんと決着をつけたい。

 加えてスレイはここ最近色々と付いていないので、ここで勝負に勝って幸運を引き入れたいのだ。


「ボクたちはもう少し狩りを続けます」

「そうか、気を付けてな」


 透き通るような表情で答えた試験官は終了の印を押した用紙を持って陸へと帰っていっく。遠ざかっていく試験官を見送った二人は、改めて勝負の決着をつけるために魔物をおびき出すのだった。


 ──二時間後


「はぁ……はぁ……ボクは二百十五匹」

「はぁ……はぁ……私も、だよ」


 少しだけ丈夫に作られた小さめの船の上でスレイとユフィは、小山にまで積み上げられた魔物の死骸を睨みながら、目には闘志を燃やしていた。


 ちなみに二人が乗っている船はスレイが丸二日かけて作った船だ。

 装甲は魔物素材に以前手に入れたダンジョン産の鉱石を織り混ぜた複合金属、推進装置はユフィが作った回路を乗せ推進力もそこらの物とは比べ物にならない速度を得ている。


 そんな船の上でしばらく休憩した二人は、勝負に決着をつけるために魔物をおびき出す餌を取り出した。


「それじゃあ、次の魔物誘き出すよ」

「いいよ、やっちゃって!」


 真っ赤な液体の満たされたビンを手に取ったスレイは、一本を海の上に全力で投げる。

 瓶が左手に持っていた魔道銃から発砲し、空中で割れた瓶から漏れでた液体は海を真っ赤に染める。同じように何度か繰り返していると、水面に波紋が広がり魚……ではなく魔物が集まってきた。

 ここまで来たら先ほどのビンに満たされていたのがなにか、もうお分かりいただけただろう。

 そう、アレに入っていたのは魔物の血だ。

 つまり魔物を呼び出すための餌だ。


「よっし、勝負の続きだユフィ!絶対に勝つ!」

「ふふふっ、勝ちは譲らないよぉ~!」


 不敵に笑ったスレイとユフィは、すぐそこにまで迫ってくる魔物の群れを迎え撃つべく剣と銃、そして杖を握った。


 先ほどと同じように空中には無数の短剣が舞い踊り、四方八方至るところから打ち出される魔法の嵐が吹き荒れる。

 空中に展開された無数の鏡によって、魔道銃から撃ち出された魔法弾が分散され、一度ターゲットと定めた魔物を追って追尾していく魔法弾、そしてだめ押しと言わんばかりに振るわれる漆黒の炎を纏った剣が舞い踊る。


 まさにカオスと言わんばかりの光景にを作り出したのはただの人間だった。

 ただ獲物を喰らうだけに向かってきたはずの魔物たちも、異様な二人の空気を察したのか踵を返して帰ろうとした。だが、みすみす獲物を逃すことなどありえない、あるのは殲滅のみだ。


 魔物さえ逃げ出す二人の人間はと言うと、未だに馬鹿みたいな闘いを続けるのであった。


「これで四百だよ!」

「こっちは四百三十だ!勝ちはもらった!」

「甘いよスレイくん!私はまだまだ奥の手はあるんだからね!」

「甘いのはユフィの方だ!奥の手ならこっちだってあるさ!」


 二挺の魔道銃を抜き放ちミラーシェルを追加したスレイと、さらにアタックシェルを取り出したユフィの攻撃は激しさを増していった。

 近くで狩りをしていた他の冒険者は、そろって船の舵をきりその場を離れたのだった。


 ⚔⚔⚔


 スレイとユフィが魔物相手にはっちゃけていた頃、船着き場に設置された仮設受け付けではついさっき戻ってきたばかりの試験官がアレクシスに試験結果の報告をしていた。


「以上になります………あの、聞いてますかギルマス?」


 不思議そうにしている冒険者の視線の先には、腹を抱えて大笑いしているアレクシスの姿があった。


「くくくっ、す、すまんすまん。いやぁ~、久しぶり腹抱えて笑った」

「いや笑ってないでちゃんと聞いて下さいよ!?」

「すまんな。……しかし、さすがあいつらの息子と、あの女の娘だ。やることが違う」


 一人で笑って一人で納得しているアレクシスを前にして、試験官はどうにも腑に落ちない顔をしていた。


「あの……ギルマス、あの二人は何者なんですか?」


 実は今回二人の試験の内容は他のDランク試験とは違った。

 本来ならもう一ランク上、Cランクの試験で相手するはずの魔物だ。それをEランク冒険者が難なく、もっと言えば遊びながら倒しているのだ。

 そんな疑問を察したのか、アレクシスがまるで悪ガキのような笑みで問いかける。


「何者と言われても、どこにでもいる冒険者って説明はダメか?」

「はぐらかさないでください」


 試験官が強い口調で聞き返した。


「あの少年の放った殺気、あれは普通ではありませんでした。私はこれでもCランク冒険者です。それなりの修羅場を潜ってきたつもりでした」

「あぁ。よく知ってるよ」

「……私はあの少年に恐怖を感じました、」


 Cランクの冒険者とは世間一般的に言えば一流の冒険者と呼ばれる。

 にも関わらずその冒険者を恐怖させるほどの殺気を放ったスレイのことを、周りで聞いていたギルド職員や休憩に立ち寄った冒険者たちもアレクシスがなんと言うのかを聞き耳を立てていた。


「まぁ、あいつらが普通じゃないってのは同意する」

「……いったい、彼らは何者なのですか?」

「言葉通りだ。あいつらは血筋からしてそこらの奴らとは違う」


 どういうことだと試験官の顔に疑問の表情が浮かんだ。


「あの坊主の両親は豪剣と白魔、そしてあの嬢ちゃんの母親は血濡れの聖女、聞いたことくらいはあんだろ?」


 それを目の前で聞いた試験官だけでなく、近くで聞き耳を立てていた全員が驚きの表情を浮かべていた。

 今ギルドマスターから聞いた名前は、ギルド関係者ならば一度は聞いた事があるSランク冒険者の名前だった。

 そんな両親や母を持つだけでも受け入れづらいのに、アレクシスの続く言葉は人々をさらに混乱させた。


「それだけじゃねぇよ。デイテルシアのじいさんの話じゃ、あの死霊山をまるでピクニックでも行くように踏破したらしい」

「あ、あの死の山を……本当ですか!m」

「あぁ、そう聞いてる、しかもあの坊主の師があの狂剣士だそうだ……それを聞いたときは久々に元冒険者の血が騒いだぜ」


 言葉通り闘士の滾る目をしたアレクシスは、不意に自分の足に手を置いて複雑な笑みを浮かべたかと思うと、次の瞬間には素の表情をしていた。


「そんな訳だ、これでいいだろ?お前休んでいい」

「はっ……わっ、わかりました」

「それと聞き耳たててるやつら、テメェらサボってねぇで仕事しろよぉ~」

「「「はっ、はい!」」」


 聞き耳を立てていたことに気がついていたアレクシスが声をかけると、全員が声を揃えて動き始めたにだった。

 これで少しは仕事が捗るだろうと思っていると、バタバタ誰かが急ぎ足でやって来た。


「ギルマス、大変です!?」

「なんだ、どうした?」


 血相を変えてやって来たギルドの女性職員に、アレクシスが声をかけると帰ってきた答えはとんでもない物であった。


「今、戻ってきた冒険者から報告がありました……海にリヴァイアサンが現れました!」

「ッ!?なんだとッ!?」


 報告に来た職員の言葉に先程とは違った喧騒の包まれた。


 リヴァイアサンとは海の中に存在する魔物の中でも最強の部類に属する魔物で、その特徴は巨大な体で全長は個体によって変わってくるが、大体百メートル前後でドラゴンだ。

 特性であるブレスの攻撃は、海に生息する竜シードラゴンと並ぶと言われている。

 そして気になるギルドが定めているリヴァイアサン討伐のランクはAランクから、個体によってはSランク相当。つまりこの町に存在する冒険者では倒すことはおろか、街が滅ぶ恐れがあるのだ。


 誰もが受け入れられない現実に恐怖する中、いち早く回復したアレクシスが指示を飛ばした。


「緊急自体だ!ギルドで駄弁ってる冒険者、全員に招集をかけろ!逃げようとする奴らはケツを蹴っ飛ばしてでも連れてこい!」

「はい!」

「それから、戻ってきてる冒険者にこのことを伝え海に出てる奴らと協力して防衛ラインを築け!リヴァイアサンの到来に備えるようにさせろ!」


 アレクシスが声を張り上げて周りでうろたえていたギルド職員に、今やるべきことを叫んで行動させている。

 報告に来た女性職員がアレクシスに、戻ってきた冒険者たちの容体などを話をしている。

 どうやら先にリヴァイアサンと遭遇し、傷ついたその冒険者たちを助けここへ帰した冒険者がいるらしい。


「わかった、お前はそいつらの怪我の手当てをしてろ。おい!港に戻ってきてる奴らにそいつらの救援に……っと、ちょっと待て」

「な、何でしょうか?」


 冒険者たちの手当てに向かおうとしていた女性職員が、アレクシスに呼び止められた。


「その冒険者の名前は分かるか?」

「あ、あのですね……それが……」

「なんだ?」


 いいよどむ女性職員の事を不思議そうな顔で見ていた。


「それが、その冒険者というのが、先程騒ぎを起こしたあの白髪の少年と、桃色の髪の少女らしいんです」


 それを聞いたアレクシスは、今までの張り積めていた緊張の糸をほどいて、大きな息を吐いてから椅子に座ると、騒がしく走り回っていたギルド職員を呼び止める。


「お前ら、多分なんとかなる。海に出てる冒険者以外は念のために陸で待機させとけ」

「えっ、い、いやですが……」

「いいからそうしとけ」


 疲れたように目元を押さえたアレクシスは、少し前に読んだ手紙に書かれていた言葉を思い出した。


 ──あやつらは問題を呼び寄せる体質らしいが、まぁ、何とかしてやってくれ


 そう書かれた一文を思い出したアレクシスは


「あのジジイ、次あったら絞めてやる」


 と、呟いたのだった。

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