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酒の席での自己紹介

昨日投稿した話の続きです。

ブクマ登録ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。

 時刻は昼の二時過ぎ、まだまだ日の明るい時間の中、とある店の一角ではテーブルの上には大量の料理の皿が並べられ、ついでに言えば人数分のジョッキが置かれていた。


「そんじゃあま、まずはアタシらの出会いに、カンパーイ!!」

「「「「「「カンパーイ!」」」」」」


 全員がジョッキを掲げて合わした。


⚔⚔⚔


 とりあえず乾杯を終えたスレイたちは、まだ料理も来ていないので、と言うよりもまだエールしか頼んでいなかったのでドワーフのパックスが女将を呼び寄せた。


「すまんが、うまい酒と酒のつまみをくれ」

「わ、わたしは……いつもの、ください」

「アタシもいつものな!」

「私はこのシチューください。あと、果汁水も」

「ボクはこのワイン煮と果汁水」

「自分も果汁水と、このステーキを」

「……………酒の追加とつまみを」


 全員が一通り注文を終えると、残っているエールを飲んでいたパックスがスレイとユフィ、そしてアーロンのことを見ながら、


「なんじゃお主ら、酒は苦手か?」

「ボクもユフィも、まだ飲み慣れてないんです」

「これでも少しは慣れたんですけどね?」


 スレイとユフィが苦い笑いを浮かべる横で、アーロンは暗い顔をしながら話し始める。


「自分は、初めて飲んだ時に知り合いと飲んだのですが、記憶がなくなるほど飲み、ついでにその知人は自分の幼馴染みの女性なのですが、その人と連れ込み宿へ行ったことがありまして……」


 全員がアーロンの話しを聞いて顔を反らした。完全に聞いてはいけなかった内容だったので、この話はこれで終わり、そう思ったが次の瞬間アーロンが満面の笑みを浮かべた。


「まぁ、その女性のことはずっと好きで、それがきっかけでお付き合い通り越して結婚しまして」

「なんじゃ、ならそんな顔をするでない!」


 バンバンとパックスに背中を叩かれるアーロン。


「す、すみません、嫁にこう話せば受けると言われまして」

「どんな嫁だよそれ?」


 はにかむように笑うアーロンにスレイがツッコミを入れる。


「あ、写真ありますが、見ますか?」

「見たい、見して」


 スレイはアーロンから受け取った写真を見ようとすると、隣のユフィ、そしてアリステラにヴィヴィアナも写真を覗きこみそして



「「「「えっ!?」」」」



 写真とアーロンを見比べ、もう一度写真に視線を向けた。

 写真に写っていたのは小さな女の子と一緒に映るアーロン、ちなみにその女の子の腕の中には小さな赤ちゃんが気持ち良さそうに眠っている、そんな幸せそうな家族の写真だった。


「なぁ、これ、いつの写真だ?」

「先月ですね」

「こ、この赤ちゃんは……?」

「自分の息子です」

「ならこの女の子は?」

「自分の嫁です」

「嫁さんいくつ?」

「自分と同じ十六です」


 それを聞いた四人はもう一度アーロンと写真を交互に見たのち



「「「これはダメでしょ!?」」」

「これはダメだろ!?」



 四人が一気に叫んぶと、当の本人は全くわからないといった顔をしている。


「いやどう見ても子供だろこれ?」

「たぶん十二才くらいの」

「しかもかなりの幼児体型」

「へ、変態……?」

「ち、違いますよ!確かに体つきは幼いですが、ちゃんと成人してます!」


 四人が疑いの眼差しを向け、同じように写真を見たパックスとベネディクトからも同じ視線を向けられ、やさぐれるアーロンだった。


⚔⚔⚔


 注文した料理が揃った段階でまたしてもヴィヴィアナが立ち上がった。


「そういや、今さらだが自己紹介でもするか!」

「ほ、本当にいまさらだね……?」

「いいじゃねぇか」


 アリステラのツッコミに答えるヴィヴィアナ。


「んじゃ、まずはアタシからな。アタシはヴィヴィアナ・オーディアールだ。斥候が得意だから必要な時は呼べよ?後冒険者になった理由は、金が稼げるからだな。んじゃ次アリス」


 椅子に座ったヴィヴィアナがアリステラの方を見ると、アリステラが立ち上がった。


「わ、わたしはアリステラ・コーナーです……ま、魔法が得意で、か、回復役ができます。ぼ、冒険者になったのは、あ、憧れの人が……い、いたからです」


 照れながら話すアリステラにユフィが訪ねる。


「へぇー、それってどんな人なのアリスちゃん?」

「え、えっと……わ、わたしと同じ髪の色で……ま、魔法使いの、女性だよ……」


 真っ白な髪の魔法使いの女性、それを聞いたユフィは隣のスレイのことを見る。その視線に気付いたスレイは小さく首をかしげる。


 ──もう知らないよ?


 スレイの顔からその言葉を察したユフィはムスッとした。


「ねぇ、その人ってもしかしてこんな人じゃなかった?」


 ユフィが空間収納に入れていた一枚の写真をアリステラに渡す。


「そ、そうです!この人です!!」


 興奮ぎみに語るアリステラは完全に性格が変わっていた。


「し、知り合い、なの………?」

「知り合いもなにも、私の未来のお義母さんです」

「えっ?」


 見開かれた目でユフィを見た後スレイを見ると、やっぱりか、という顔をしていた。


「ボクの母さんです」

「えぇぇぇえっ!?」


 その後、興奮状態に陥ったアリステラが、スレイとユフィに詰めよりいろい聞き出そうとしてきたので、ヴィヴィアナがなんとか落ち着かせて次に行った。


「ワシはパックス・オルトロアじゃ、見ての通りドワーフじゃ。この斧が武器じゃから前衛なら任せなさい。冒険者になった理由は店を建てる資金集めじゃの」

「店、ですか?」

「鍛冶屋じゃ、できたら知らせるで贔屓にしてくれ」


 これは有益な情報を手に入れたとスレイは思った。今使っている剣は死霊山の修行中に買い替え、元々少し長めの剣だったので、成長した今でも使い続けられるがいつかは変えるときが来る、その時に知り合いの店なら安心して頼める。


「…………ベネディクトだ。武闘家だ、理由は特にない」


 それだけで終わった。


「次は自分ですね。自分はアーロン・カドリエです。武器はこの盾で守りが得意です。冒険者になった理由は恥ずかしながら金ですね」


 子供を育てるなら金は必要だ。ならばしかたがないので誰も厳しいことは言わなかたった。


「私はユフィ・メルレイクです。魔法全般は使えます。冒険者になった理由は、子供の頃からの夢の一つだったからです」


 ユフィが座ると今度はスレイが立ち上がった。


「スレイ・アルファスタです。主に二刀流で戦いますが魔法も使えます。理由はユフィと同じで子供の頃からの夢の一つですね」


 全員が自己紹介を終え、料理を食べながら色々なことを話した。


⚔⚔⚔


 アリステラからはスレイの母親についてのことを根掘り葉掘り聞き出され、アーロン、パックス、ベネディクトの三人は妙に気があったらしく今度三人でパーティーを組んで冒険に出ると話していた。それににん便乗する形でヴィヴィアナとアリステラもそのパーティーに参加するようなことを言い出した。


「お主らはどうだ?」

「う~ん、ボクは二人でやってこうと思ってたけど、どうする?」

「私も当分はスレイくんと二人でいいよ」

「あれだけ強ければ納得だな」

「強いと言えば、スレイさんのあの最後の一撃スゴかったですね」

「あぁ、これかい?」


 スレイはホルスターから魔道銃を抜いてアーロンに向けると、ガタンと音を立てながら後ろに下がった。


「あ、危ないからやめてくださいよ」

「いやセーフティかけてるし、まぁ弾は入ってるけど」


 安全に見せるためマガンジを空の物に交換し、チェンバーからも弾を抜いてからセーフティを外し一発撃ってみたが、弾が出ないことを証明してかたアーロンに手渡した。


「けっこう重いですね」

「まぁグリップ以外は全部鉄だしね」

「アーロンや、ちょいと見せとくれ」

「あ、はい」


 アーロンがパックス魔道銃を手渡すと、魔道銃をいろんな角度から観察し始める。


「うむ、面白い武器じゃな、どこで買った」

「買ってませんよ。ボクとユフィで作りました。先に言っときますが、売るのも譲るのもしませんからね」

「なんじゃ、けちじゃの」

「簡単に武器手放したら冒険者何てできませんからね」


 そうあしらったスレイは、皿に残っていた料理を食べ始めた。


⚔⚔⚔


 その後、そろそろ帰らないと行けないとアーロンが言い出したので、時間もいい頃合いだったのでまだ飲んでいくと言い出したパックスとベネディクトの二人を残して店を出た。

 宿に戻ったスレイとユフィは、一度スレイの部屋に集まった。


「話ってなんなの?」

「いや、さっきボク、ギルマスに呼ばれたでしょ?」

「うん」

「それがさぁ、ボクの試験官がギルマスだったんだ」

「えぇ~うっそぉ~」


 信じていないユフィが、笑いながら信じなかったのでスレイは一から事情を説明し、ようやく信じてもらえたスレイは、その時にギルマスから依頼されたことを説明した。


「と、言う訳なんだけど、いいかな?」

「いいよぉ~」

「うん。拒否はされないと思ってたけど、あっさりしてるね」

「だってたまには行きたいしね。でも困ったねギルドでコアの換金出来ないね」

「面倒だけど王都か、ここでやるしかないね」

「他の町だと目立っちゃうもんね」

「あぁ、これ以上面倒ごとに巻き込まれたくない」


 最近と言うよりもここに来てから面倒事としか起きていないと思ったスレイは、これ以上この町でなにかに巻き込まれるのだけは避けたい。それどころか次に面倒ごとにあったらいっそこの町を出ようかとも思っていた。それどころかユフィにまで、面倒ごとを引き寄せる体質、等と言われたので地味に気付いたのだ。


「まぁ、大丈夫だってスレイくん、これ以上は……ないと信じようよ」

「ユフィ~、それフラグだから」


 本気で心配になってきたスレイと、言われてフラグが立ったことに気がついたユフィは、慌てて口を塞いだのだが、もうすでに手遅れだった。


「なぁユフィ、ランク上がったら次の町に行かない?絶対何かあるって」

「いいけど、ここの宿のお金もったいないからやだ」

「あぁ~もうこの町にいる間は面倒ごとにが起こりませんように!」


 神にもすがる思いで──いるか知らないが、祈るスレイだったが


「スレイくん、それ自分でフラグ立ててるよ?」


 ユフィにそう言われて、もうどうにでもなれ、半ば諦めながらそう思い始めてしまったスレイだった。

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