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町中デート ②

後一話で納めます。その後は一話完結物数話でこの章は終わらせます。絶対に終わらせます。それではお楽しみください。

 今日は楽しいユフィとのデート、それでユフィの案内で服屋に来たんだけど……なにあの店主、服装がめちゃくちゃアレなんだが?

 そうボクが思ってしまうほど、この人の服装はおかしかった。


⚔⚔⚔


 出てきた店員はフリフリのワンピースに、綺麗なメイクを施した男だった。それも、ゴードンと同じくらいにまで鍛え上げられた、ガチムチな鋼の肉体を持つがつくほどだ

 そんな男が、精一杯女性のような口調をした野太い声が店の中に響いていた。


「ねぇぼくぅ~、本当にユフィちゃんの彼氏なのぉ~?」

「え、えぇ、ユフィの彼氏のスレイです」

「スレイちゃんねぇ~、私はキャサリンよろしくねぇ~ん」

「よ、よろしくお願いします」


 固い握手を交わし会うスレイとキャサリン、その間にユフィが入るよ。


「あのね、スレイくんは私の未来の旦那様なんだよぉ~」


 濃い顔を近づけてくるキャサリン、その顔を視線に入れないように目をそらすスレイ、そんなことお構いなしにスレイの手を取って、自分の手についてるお揃いの腕輪を掲げるユフィ。


「あんらまぁ~、まぁまぁまぁ~、これはおめでたいわぁ~!」

「えへへぇ~」


 婚約したことを祝ってもらえてうれしいユフィは、未だに目を逸らせ続けているスレイの身体に抱きついて腕に頬を擦り付けている。


「うんまぁ~見せつけてくれちゃってぇ~、私も結婚したときは今のあなたたちみたいだったわぁ~」


 目を反らし続けていたスレイは、キャサリンから発せられた聞捨てられない言葉に、耳を疑ってしまった。


「え!?結婚してるんですか!?」

「してるわよぉ~奥にいるから呼んでくるわねぇ~」


 その言葉を聞いた瞬間、スレイの頭の中に二つの考えが浮かんだ。

 一つ目、キャサリンの相手は同性、つまりホモが現れた場合はユフィを連れてゲートで逃げる。

 二つ目、虚数の彼方ほどの確率だが、異性、つま女性が現れた場合はここにのころう。

 そんな考えを一瞬で考えたスレイは、隣でのんびりしているユフィを見ながら心に決めると、奥から足音が聞こえてきた。さぁ、どっちだと、生唾をのんだスレイは、次の瞬間目を疑った。


「はじめまして、キャサリンの妻のアンリと言います」


 そう、出てきたのはプラチナブロンドの儚げな美女だった。

 それをお姫様だっこで連れてきたのは、先程のオカマ店主キャサリンであった。


「こんな格好でごめんなさい。私、足が悪いもので」


 キャサリンがアンリと名乗った美女を椅子に座らせる、その間スレイは信じられないと言う顔で目の前の夫婦のことを見ていたのだった。


⚔⚔⚔


 硬直から解放されたスレイは、こそこそとユフィに訊ねる。


「ねぇユフィ、この人マジであの人の奥さんなの!?」

「そうだけど……やっぱりスレイくんもそう思うよね?」

「ってか、あの人ノーマルなの、アブノーマルじゃないよね!?」

「うぅ~ん……どっちかと言うとアブノーマル?なのかな」


 詳しいことは知らないため微妙な顔をするユフィとは別にスレイは、やっぱりか、と言う顔をした。


「ちょっとぉ~せぇ~っかく連れてきたのにぃ~、二人だけの世界に入らないでよぉ~」

「キャサリンたら、そこはそっと暖かい目でみるのがいい大人ですよ?」

「あらぁ~そぉなのぉ~ごめんなさいねぇ~さぁ続けて続けてぇ~」


 そう言われて続けれる訳がないとおもうスレイとユフィ。


「あの、失礼ですが奥さんはなぜ旦那さん?と結婚されたんですか?」

「ちょ、スレイくん!?」


 ユフィがあわてながらスレイの事を止める。


 ──何ていい質問、じゃなくて、何てこと聞いてるの!?


 ユフィが心の中でスレイに突っ込みを入れるが、アンリが口許を押さえながら頬笑む。


「ふふふっ、構いませんわ。よく聞かれますので」

「そうよねぇ~何でかしらぁ~?」


 淑女のよに頬笑むアンリ、その隣で片手を頬に当てて首をかしげるキャサリン。


 ──いや、あんたの格好のせいだよ


 そうスレイとユフィは心の中で突っ込みを入れる。


「ふふ、この人ね。これでも昔は違ったのよ?君みたいな格好だったし」

「「えぇ!?」」


 指を指されたスレイと、その指の先をみたユフィは揃って声をあげる。


「そこまで驚かなくていいでしょぉ~?」

「いや、でも……」

「ねぇ」


 視線だけでうなずきあったスレイとユフィ。


「ふふふっ、こうなったのも私のせいなんですよ?」

「アンリさんのせい?」

「えぇ。だって可愛くなかったんだもの、それでかわいいお洋服を着せてたらいつの間にかね」


 二人はその言葉で悟った。

 ヤバいのはキャサリンではなくアンリの方だったと。


「ごめんねスレイくん、かもじゃなくて、だったの間違いだったよ」

「うん。そうだね」


 もう諦めたような顔をする二人に、キャサリンとアンリの夫婦は揃って首をかしげた。


「ところで今日は何を見に来たのかしら?」


 その言葉にスレイとユフィはハッとした。


「そう言えば服見に着たんだっけ?」

「うん。スレイくんの服」


 なぜか前置きが長すぎてただ世間話をしに来たんじゃないかと勘違いしかけていた二人だが、ここに来た目的はスレイの服選びだ。

 目的を思い出したスレイとユフィは早速服を選び始めた。


⚔⚔⚔



 今更ながらスレイは自分で服を選んだことがない。

 すべては母ジュリアが選んだもの、もしくは近所の人からの御下がり、そして数年前からはスレイ自身の手作りだ。前に死霊山から帰ったときも結局はジュリアに選んでもらった。ちなみに前世でもだが、特に服装にはこだわりが有るわけでもなかったため、上下とも母親に適当に頼んだり、ユフィ──その時はミユ、に頼んで選んでもらちゃスレイは、並べられた服を見て決めあぐねていた。


「ユフィ、選んで」


 今回も結局はユフィ頼みになってしまった。正直なところ全く服の良し悪しがわからないスレイだった。


「もぉ~しょうがないなぁ~」


 あきれるように言いながらもユフィは、店の中に飾られている服を見ながらスレイの背格好に合いそうな服を見ながら、スレイに似合いそうな服をいくつかの手にとってスレイのもとに持っていき、そこで服をいくつか組み合わせているユフィ。


「これがいいと思うよ」

「そう言われても……全く良し悪しがわからん」

「昔っからそうだもんね」


 スレイがヒロの時から付き合いのあるユフィは、ほとんど同じ服しかもっていなかったヒロを、今日と同じように地球でも何度か服屋へ連れて──半ば強制的に引きずって連行して、行ったこともあるが、その時も結局はわからないと匙を投げたヒロのために、ミユが似合いそうな服を選んだことを思い出し、なんだか今日のこの姿と重なって見えてユフィは懐かしいと思っていた。


「ここら辺がいいと思うよ」

「ならちょっと試着してくるよ」


 受け取った服をもって試着室に行こうとするスレイ。


「こんなもんか」


 スレイは真っ黒スタイルから一転、濃いグリーンのズボンに白いTシャツに薄い水色のシャツそして薄い黒色もストールを巻いて出てきた。


「なぁ、これちょっと寒くないかな?」

「なら上着も買う?」

「上着はいいよあるし、まぁ服はいくつか買うけど……」


 これだけと言うにはいささか少なすぎるため、いっそのこと数着まとめて買うことにしたスレイに、待ってましたと言わんばかりに、先程物色していたときにスレイに似合いそうだと思っていた服をいくつか抱えて持ってきた。

 その後、数着の服を試着し続け数着まとめて買うことにする。


「もうこれくらいでいいかな、ありがとう……ユフィ?」


 一度元の服に戻ったスレイは、ユフィに服を探さなくていいことを伝えようとしたが、試着室の前には誰もおらず、店自体はそこまで広くないのですぐに見つかった。

 一人女性物の売り場で飾られていたワンピースを物欲しそうに見ているユフィ、その横に近づいたスレイもそこにかかっていたワンピースを見ると清楚な水色のワンピースだった。


「かわいいじゃん。試着してみたら?」

「えっ、いいよそんなの」

「なんだよ。さんざん人の見といて、いいから着てきなよ」

「な、ならちょっと行ってくるね」


 ユフィは飾られていたワンピースを手に持ち試着室へと消えていく。スレイはユフィが出てくまで試着室の外で待っていると、試着室のカーテンが開かれた。出てきたのは、先程渡したワンピースを身に纏ったユフィは、少し恥ずかしそうにしていた。


「えへへ、どうかな?」

「似合ってるよユフィ」

「ありがとう」


 試着を終えたユフィはもとも服へと戻し、ついでに試着した服も戻そうとしたが、そこでユフィの手に握られていたワンピースをかっさらったスレイは、そのまま自分で買おうと思っていた服と一緒に、そのワンピースを持ってレジにいった。


「すみません、これ全部会計お願いします」

「ちょ、スレイくん!?」


 ユフィがスレイが自分の買う分と一緒に出したワンピースを奪おうとしたが、スレイがそれをさせないように身体を入れて遮っていた。するとキャサリンが積まれている服を見ている。


「はぁ~い、そうねぇ~占めて銀貨十枚かしら」

「じゃあ、これで」

「毎度ありがとうございました」

「ちょっとスレイくん!?」


 ユフィの言葉を無視して勝手に会計してしまった。アンリに頼み自分の服とユフィのワンピースだけを、別の袋に入れてもらった。


「はい。どうぞ」

「ありがとう……じゃなくて、何で買っちゃったの!?」

「さんざん付き合わせたんだからそのお礼、それに似合ってたからさ」

「………私もお金持ってるのに、いいの?」

「いいって、日頃からのお礼もかねて彼氏からの彼女へのプレゼント、その代わり今度それ着てデートね」

「お礼なら私だって………もういい、ありがとうスレイくん」

「どういたしまして」


 ようやく観念したらしいユフィが、買ってもらったワンピースの入った袋を胸に抱きながら大事そうに抱え、スレイにお礼を言った。


⚔⚔⚔


 その後キャサリンとアンリの洋服店を後にしたスレイとユフィは、時間もいい頃合いだったので近くのレストランかカフェで昼食をとろうと考えた。


「と、思ったけど、さすがにこの時間は混むな」

「そうだねぇ~」


 すでに二三件ほど訪ねてみたのだが時間は午後十二時、今の時間ではどこも満席ですぐにはいれて食べれそうな場所はなかった。


「こんなことなら弁当でも作ってこれば良かったな」

「えぇ~それは楽しくないよ!」

「ユフィの言いたいことは分かるけど、これはちょっとね」

「時間開けてみる?」

「まぁ次の店行ってみて決めようか」


 そこもダメなら一時間ほど時間をずらして昼食をとろうと考えたスレイは、ユフィの手を取って歩き出すと、少ししてユフィはスレイの腕を組んだ。


⚔⚔⚔


 カラァ~ンとドアベルが音をたててなる。


「いらっしゃいませ!ようこそカフェレストへ」

「すみません、二人なんですが大丈夫ですか?」

「はい。構いません」

「良かった。ユフィ入れるよ」

「ホント?よかった」


 席が空いているときいたスレイとユフィが店になかに入ると、店主を勤めているのはすこし歳の行った年配の女性だった。

 窓際の席に座ったスレイとユフィの元に水の入ったグラスと、メニューの貼られたコルクボードを持ってくる。


「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」


 お辞儀をして席を離れる店主の女性、コルクボードにかかれているメニューは、どこにでもあるようなメニューだった。スレイとユフィはコルクボードを見ながら話し出す。


「ボクは……スパゲッティーとコーヒーにするけど、ユフィ決まった?」

「じゃあ私ねぇ~サンドイッチとミルクティーにする」

「すみませぇ~ん」

「はぁ~い!」


 スレイが手をあげて店員を呼ぶと、先程の店主の女性がやってくる。


「ご注文をお伺いしますね」

「ボクはミートスパとコーヒーを」

「私はサンドイッチとミルクティーをください」

「かしこまりました。ご一緒にデザートなどはいかがでしょうか?」

「あ、ならそうしようか?」

「うん」


 二人はもう一度メニューを見てからすぐに決めた。


「私は木の実のタルトで」

「チョコケーキを下さい」

「かしこまりました。お飲み物はいつお持ちいたしましょうか?」

「スレイくん食後でいい?」

「あぁ。それでいいよ」

「では、少々お待ちい下さい」


 頭を下げてその場から立ち去る女性。

 料理を待っている間、スレイとユフィは食べ終わった後どこに行くかなどを話し合い、それも終わった頃ユフィは回りを見回してあることを呟いた。


「このお店、私たち以外お客さんいないね」

「ちょ、コラ!ユフィ!?」

 例えホントのことでもそんなことを口にしてはいけないと思ったスレイが、あわててユフィのことを注意すると、ついつい口に出してしまった言葉の意味に気づいたユフィは、しまったと思い慌てて口をふさいだが、すでに遅かった。


「ふふふっ、いいですよホントのことですから」


 二人は声のした方に顔を向けると、片手にトレイを乗せた女性店員が立っていた。


「あ、そのごめんなさい」

「すみません、失礼なことを言ってしまい」

「気にしないでください、まだオープンして一ヶ月なんですが、近所の方以外お客様がいないんです」


 女性が二人の前に料理の乗せられた皿を置いた。


「お待ちどうさまです」

「わぁ~美味しそう!いただきます!」

「いただきます」

「ごゆっくり」


 それから二人は見た目だけでなく、味もとっても美味しい料理にした包みをうちながら、楽しい食事の時間は過ぎていった。


「じゃあ、そろそろ行くか」


 最後のデザートとコーヒーを飲み終えたスレイは、すこし遅れて食べ終わったユフィに訪ねる。


「うん。早くしないと時間ないもんね」

「すみません、お会計お願いします」

「はぁ~い。えぇっと占めて銅貨二枚と石貨六枚です」

「じゃあこれで」


 スレイは懐から財布に入っていた銅貨三枚を手渡し、お釣りを受け取ったスレイは女性にお礼を言った。


「ごちそうさまでした。美味しかったです」

「ホントにスッゴく美味しかったです!また来ますね!」

「ありがとうございます。申し遅れましたがアネットと言います以後お見知りおきを」

「スレイです。よろしくお願いします」

「私はユフィです。スレイくんの彼女で婚約者です」


ユフィの名乗りスレイは、またか、と思っているとアネットは驚いた顔をしたが、すぐに微笑ましいものを見るような顔に変わった。


「あらあら、お若いのにお幸せそうですね」


微笑ましい顔をしているアネットだったが、スレイは少しあきれた顔をしていた。


「ねぇ、前から思ってたけどそのセリフ毎回言う気なの?」


 前々から聞こうと思っていたことを今聞いたスレイ、なぜならユフィは会う人会う人に今のようなやり取りをしているのだが、その事を訪ねるとユフィは胸を張って、当然です!と自信満々に告げると、スレイは小さな声で、もうそれでいいや、と呟く。これ以上この話をしても無駄だと思ったのだ。


「それでは、今度は家族できますので」

「ごちそうさまでしたぁ~」

「はい。またのご来店をお待ちしております」


 カフェを出たスレイとユフィは、今日、王都にきた目的を果たすために目的の場所へと足を運んだ。

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