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邂逅と救出

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 ユキヤとの戦いの最中に突如として聖剣と魔剣の鍔に埋め込まれていた宝石が光だした。

 光に包まれたスレイは聖剣の義が行われた精神世界と似たような世界へ再び足を踏み入れ、そこで出会ったのは七百年以上前に神との戦いに敗れ、人々の心を救うための友を斬った伝説の勇者レオン・アルメイアがそこいた。


「本物の勇者レオン?」


 剣を構えて警戒するスレイは本当に目の前にいるのが、あのレオンなのか疑いの眼差しを向ける。

 聖剣の義で見せられた過去の記憶、アルメイア王国に数多く残されている壁画や王城で見たことのある肖像画、思い起こされる姿止めの前の人物は酷似している。

 加えてその血を引いているユーシス・アルメイアにも似たその顔は、まさに七百年も前に死んだはずのレオンその人であった。


「なんで、あなたがこんなところに?」


 もうこの世にいないはずの勇者レオンがいる。

 その事実を目の当たりにしがスレイは白楼に闘気を込めながら警戒の色を強めると、目の前にいるレオンは小さく肩をすぼめながらため息を一つついた。


「警戒するのは仕方ないかもしれないけど、仮にもオレと君はもとは同一の人物なんだぜ?」

「だから、何ですか?」

「こう、魂の奥からオレだったときの記憶や、オレの魂との繋がりみたいな物を感じないか!?」

「…………………はっ?」


 漫画とかならばきっと、何かしらの効果音が出てきそうな感じですビシッとポーズを決めて指を指してくるレオンを前にして、いったいどんな反応をすればいいのか分からずにスレイは言葉を失っていた。


 目の前にいるのは伝説の勇者であるはずなのに、なんだよく分からない空間で、なんだかよく分からない変なテンションで叫んでいる自分の前世?の姿を見てスレイは言葉が出ない。

 とりあえず剣を降ろしたスレイは、目頭を押さえながらゆっくりと口を開いた。


「ごめんなさい。全然感じませんし、正直に言いますと疑いしか思い浮かびません」

「えっ、なぜ!?」

「なぜって、そりゃ………ドヤ顔で変なポーズを取って指を指されて、こいつ本当は見た目だけ似せている偽物なんじゃないかかって疑いたくなってます」

「グハッ!?」


 スレイの悪意なき真実の言葉がレオンの胸に深々と刺さった。

 思いの外ダメージが大きかったのか、四つんばいになってうなだれてしまっている。

 なんだか伝説の勇者とは思えない情けない姿に、スレイは哀れみの目を向けた。


「えぇっと、取り敢えずレオンさん?起きてもらってもいいでしょうか?」

「オレと同じなんだから呼び捨てでいいっての」


 起き上がったレオンとようやく対面したスレイは、レオンの顔をマジマジと見ていた。

 整った顔立ちに銀髪とも取れるようなプラチナブロンドの髪、やはりアルメイア王家の先祖なのだと見て取れる姿にスレイは頷いた。


「やっぱりソフィアと似てるな………さすがは子孫だ」

「ソフィア………あぁ、ユーシスの娘のか。彼女はオレよりもオリヴィアに似てる気もするんだが」


 考えるような素振りしながら答えるレオンの姿に疑問を覚えたスレイは、まさかと思いながらその疑問を口にした。


「ソフィアとユーシス陛下のことを知ってるんですか」

「あぁ、ちょっと覗いたからな」

「覗いた?……あっ、まさかあんたボクの記憶を読んだのか?」


 変な感じはしなかったが使者であるレオンがこんな事をしているはずがない。

 まさかと思いながらスレイが問いかけると、レオンが申し訳無さそうに笑っていた。


「お前がここに入るとき、ちょっとのぞかせてもらったぜ」

「確認だけど、変なところ覗いてないよね?」

「見てねぇよ。ただ、オレの半身ながら可愛い娘を何人も侍らせやがって、羨ましいぜ」


 ニヤニヤと笑ってくるレオンに拳を向けようとしたスレイだったが、続くレオンの言葉で毒気を抜かれることになった。


「まぁ、オレのオリヴィアとミリアほどじゃないがな」

「いったいなんの自慢をしてるんだよあんたは」


 自分の妻の話で惚気けるレオンを観ながらスレイはゆっくりと口を開く。


「………それで、ここはいったいなんなんだ?それとボクの黒幻と、あなたから引き継いだ聖剣はどこにいったんですか?」


 場をしきり直したスレイが改めてこの場がいったいどこなのかと問いかけると、小さく頷いたレオンは手を掲げる。

 何をするんだと見ていると真っ白な空間に光が溢れレオンの元へと集まっていく。


「ほら、これでいいか?」


 怒りが集まると一振の黄金の直剣が姿を表し、少ししてその横に漆黒の直剣が出現する。

 レオンは掌をこちらに向けると二振りの剣がゆっくりとスレイの前へと漂ってくる。


「ここは、始めに君が思った通り魂だけの世界だ。もちろん剣もイメージが造り出した物だから実際にここにある訳じゃないんけどな」

「まぁ、そうでしょうね」

「それでも良いなら鞘に収めな」


 要らないなら消すと言うことか、スレイは黒幻を掴んで鞘に収めたが聖剣は鞘がないので仕舞いようがなかったためレオンの方に返すと、レオンは出現させた鞘に聖剣を収めてそれを手に持った。


「ここが精神世界なんだとしたら、なんでまたボクはここにまた呼ばれたんだ?それになんで死んだはずのあなたがここにいるんだ?」

「おいおい、いっぺんに聞くなよ」

「じゃあ、なんで死んだあなたがこの精神世界にいるんだ?ボクが作り出した幻影ってわけじゃないんでしょ」


 どうやって死んだレオンの精神がここにあるのか、理由は幾つか考えられるが憶測でしか無いので本人の口からちゃんと聞きたかった。


「この精神世界に俺がいるにのは、記憶と魂の一部を聖剣の中に封じていたんだ」


 想像していたとおりに返答にスレイの表情は険しくなる。

 魂の分割、魔法使いとしてその行為の危険性をよく知っている。


「想像はついてましたけど、何のためにそんな危険なことを?」


 魂を刻むということはその人、そのものを切り刻むことも同意だ。

 記憶、人格、精神、魂の欠落は人を人たらしめる要素を欠落させていき、いつしか人は死ぬ。ゆえに魂の干渉する魔法の多くは禁呪か、それに準ずる規制を受けている。


「オレやあいつと同じ運命を辿らせないためだ。もしもお前たちが戦うようなことが起きたら、止められるようにってな」

「それじゃあ、今のボクのようにユキヤのところにも魔王デュークが」

「まぁ、そうなんだがオレもあいつもそんなに長くはこの場にはいられねぇし、何より使徒の力で操られてっからあんま期待は出来ねぇから、最終的にはお前に任せるしかあいつを助けだせる方法はないな」


 なんだよそれッとスレイが言いかけたところでその言葉を飲み込む。

 いくら残しているとは言えレオンたちは死んでいるのだ。

 それに当たり前のことだ、今神と戦っているのはレオンたちじゃない、今を生きるボクたちなのだと思い直したスレイは静かに目を伏せた。


「すみません。あなたがせっかく自分の魂を残してくれたのに」


 戦う意思と彼らの願いを繋いだのはボクたちなのだから、ここで彼らを頼るのは間違ってる。そう思いなおしたスレイは伏せていた顔を上げてレオンのことを見返している。

 すると、レオンはスレイに向かって柔らかな笑みを浮かべながらゆっくりと口を開いた。


「うん。顔は違うが、お前はやっぱりオレだな。強くてまっすぐとした意思を宿したその眼、それがよくあいつらがオレに言ってた眼のことなんだろうな」


 柔らかに笑うレオンの顔はどこか誇らしげだった。


「仮にもあなたの魂の一部から生まれた人間ですから、あなたに似ていてもおかしくないですよ」

「そうだな………スレイ、餞別代わりにお前に渡すものがある」


 そう言いながら手を掲げたレオン、すると空中に魔方陣が現れそれをスレイの方へと向けられる。

 空中に描かれた魔方陣を見たスレイは、そこに書かれている魔法文字と魔方陣の構築式を見て驚きを露にした。


「この魔方陣、多重構築式?それにこの言語は、古代魔法文字だけじゃない?あっちの構築式に使われている文字はたしか………そうだ精霊言語だったかな?」

「ほぉ、さすがに博識だな」


 この場ですべての内容を理解するのは難しいが、一つ言えることはこれは何かの封印を解くものだと言うことだけだ。


「あの、これは何の魔法陣ですか?」

「こいつは、お前の聖剣に仕掛けてある封印を解くものだ」

「封印、そんなものが?」

「まぁな。後は、聖剣の力を込め制御するための術式を合わせた物だ」


 封印と制御用の術式とはいったいなんだろうと思っていると、レオンはスレイのことを見ながらゆっくりと口を開いた。


「制御って、どういうこと?」

「もちろんそのまんまの意味だ。制御用の術式について今の聖剣はお前の魔力と闘気を再現なく使いすぎる。それを押さえるための物だな」

「それじゃあ、聖剣の封印っていうのはいったいなんなんですか?」

「そっちの方もそのままの意味だな。神の野郎と戦うときにかならず必要になる物のはずだが、今はまだ使えないからそこは要らねぇだろ」


 大事なところをちゃんと説明しろと思ったが、レオンは詳しいことを説明せずにはぐらかすと握っていた聖剣をスレイに投げ渡した。

 投げられた聖剣を受け取ったスレイは、なぜ今?っと問いかけようとするとレオンが展開した魔方陣が光を放った。

 空中に描かれた魔方陣が解け、聖剣の中へと吸い込まれて行った。


「これ、精神世界の聖剣に取り込ませて意味があるの?」

「その点については問題ない。あくまでも分かりやすいような形でお前に見せてるだけだからな。魔方陣を展開した時点でもう聖剣に刻まれているからな」


 本当だろうなと、スレイはレオンに向けてていると、レオンはおもむろにどこかを見ていることに気がついた。


「レオン?どうかしたの?」

「あぁ~、悪いなスレイ。もう少し時間があると思ったんだがあっちもそろそろ限界みたいだ」


 限界とはどういうことかと考えたスレイは、悔しそうなレオンの表情を見て何のことかを察した。


「ユキヤの方ですか」

「あぁ」

「そのようすじゃあちらはユキヤを解放できなかったかっと考えておいても良いですよね?」

「あぁ。デュークの奴が、ぶっきらぼうな声ですまんって謝ってたぜ」


 分かっていたことかもしれないが、少しだけもしかしたら助け出せたのではないかと期待していたが、やはり使徒の力は簡単には振りほどくことの出来ない物なのだと思い直した。


「あいつは助けられなかったが、魔王の後継者を救う方法は分かったみたいだぜ」

「そっ、それっていったいなんなんですか!?」

「後継者と最も近しい者、その二人の魂を繋げろだとよ。方法はその黒い剣の中に入ってるウィルナーシュとレイネシアが分かってるから、お前はただそれに従ってやれば良いさ」

「………ありがとう、レオン」

「感謝することはないさ。………さぁってと、オレの体もう限界だしそろそろ行こうかねぇ」


 そう言うと同時にレオンの身体が光だし消えかかっていく。

 ずいぶんと軽い別れの言葉だなッと思いながらも、自分もこういうところがあったっと思い直しながら改めてレオンの方へと向き直る。


「ボクの前世であり魂の片割れであるレオン。改めてになりますけど、最大限の感謝をあなたに、ありがとう」


 感謝の言葉を伝えながらスレイはレオンに頭を下げる。


「おいおい、オレはただ神のやろう一泡吹かせてやりたいってだけだぞ?感謝される言われはないんだぜ?」

「例えそうだとしても、ボクはあなたへの感謝の言葉を告げさせてください。あなたが未来へと想いを託そうとしたからボクが産まれて、辛いことも悲しいこともたくさん合ったけど、それ以上に幸せな日々を過ごすことが出来た。愛する人たちと家族を作ることが出来て、大切な人たちと出会うことが出来た」


 辛かったことも悲しかったことも、そしてそれ以上の幸せな思い出がたくさんあった。

 それら全てが今のスレイを作る大切な思い出だから、そっと持ち上げた掌を自分の胸に当てたスレイは、胸の内から溢れだす強い想いを感じている。


 喜び、悲しみ、辛さ、幸せ、後悔、懺悔、どれもこれもこの命があったから、それを与えてくれた世界を守ろうと思えたからいまあで戦ってこれたのだ。

 だからスレイは、この気持ちを与えてくれた半身でもあるレオンに感謝の言葉を告げる。


「ボクがボクであれるのは全てあなたのお陰です……だけど、ボクはもう一人の人間だから、ボクはあなたの半身としてではなくスレイ・アルファスタとして、あなたたちの覚悟と想いは継いでいきます」


 胸に手を当てながら告げられたスレイの感謝の言葉に、レオンはどこか気恥ずかしさを覚えながら一度眼を閉じながら頷いた。


「レオン・アルメイアではなく、ただのスレイ・アルファスタとしてか」


 怒るかも知れない、呆れるかも知れない。

 命がけで魂を割いてまで作り出した自分の半身がこんな事を言い出してレオンの想いを踏みにじった、そうスレイが考えていると思いがけぬ言葉が返ってきた。


「そうだよな、オレはお前がその選択が出来るように、魂の記憶をお前に残さなかったんだもんな」

「えっ、それって」

「アストライアは封じたと思ってるが、こっそりと消しておいたんだ」


 唐突な告白に驚くスレイにレオンは構わず続ける。


「地球だったか?そこからこっちに戻ることになったときに、オレの想いではなくお前の想いで戦って欲しい、そう思ったからだ」


 そう語るレオンの目はとても優しく、それでいてどこか悲しそうでもあった。


「本当は戦いなんかを知らずに最後は幸せに誰かに看取られながら寿命で死んで、この世界に戻らず新たな命になって世界に帰ってもいいと考えていた」

「……レオン、それは」


 無理だとスレイは思った。

 もしも、あの世界で寿命を迎えて今の自分が消えても、最後に幸せだったとは思えないだろう。

 だけど、それはこの世界に来たから思ったのではないか?あの世界にいたら、ボクはきっと最後には幸せな人生だったと思ったのではないかと、スレイは思った。

 いろんな考えが頭をよぎって考えがまとまらない、そんなスレイのことを見透かしが様にレオンが問いかける。


「なぁスレイ、お前はどうして神と戦う事を選んだ?」

「それは…………っ」


 レオンのその問いかけに対する答えはもう既にスレイの中にあったのだが、スレイはその言葉を声に出す前に飲み込んでしまった、

 初めて使徒との戦いに身を闘いることとなったとき、アストライアに向けて答えたあの言葉は嘘偽りのない。だけど、今は少しだけ違った理由で戦う理由を見つけたからだ。


「初めは自分勝手に世界を破壊する神を殴って、みんなのいるこの世界を守りたい。みんながいきる明日を守っていきたい、そう思っていたけど………でも、そこにボクは居なかったんだ」


 そう、あのときはそこに自分が含まれていなかった。

 自分を犠牲にしてでも大切なみんなを守り、その結果としてこの世界から消えていくのならならば、なにも文句はないとさえ考えていた。


「だけど、今は違う。どんなに可能性の低い未来であってもみんなと一緒にその未来へ行きたい。この先にどんな絶望があったとしても、例えどんな壁が立ちふさがっていたとしても、負けずにみんなといられる未来を掴み取る。それがボクの戦う理由だ」


 新しい目標を告げたスレイにレオンは小さく笑みを浮かべる。


「良い答えだ………じゃあ、最後に今を生きるお前にオレからのアドバイスだ。スレイ、仲間を集めろ、一人や二人じゃない。全ての国の民と種族と共に神と戦うこと、それがあいつに勝つ唯一の方法だ」

「全ての民と戦う…………無理なんじゃ、って言える空気じゃないよね」

「まぁな。オレやデュークたちは自分たちだけで世界を救おうとした結果、負けた。だから分かりやすい形で世界の希望になるために友を手にかけた。お前はオレみたいにはなるなよ」


 重い言葉だとスレイは思った。


「そいう訳にはいかないよ。でっ、いったいどうすればいい?」

「まずは五大大陸にあるアルメイア、マリグリット、ルーレシア、テイルヘル、ウェルスタルム。その五つの国にはオレたちの血筋の奴らがいた国だからな。多少なりとも文献が残ってるはずだ」

「前二つは分かるけど、ルーレシアは今使徒の手に落ちてるし、テイルヘルは連合国になってるし、ウェルスタルムに至っては聞いたことないんだけど」

「それはなんとも出来ねぇよ……っと、悪いな。本当に時間切れみたいだ」


 そう言うとレオンは自分の手を掲げて見せると、掌が透けて光となって消えかかっていた。本当にお別れなんだっと思っていると、レオンがまだ消えていない右手をそっと差し出した。


「じゃあな、短い時間だったけどお前と話せて楽しかったぜスレイ」

「こちらこそ、あなたとお話しすることが出来て楽しかったです。さようならレオン」


 差し出された手を握り返したスレイにレオンはニカッと笑うと、それに釣られるかようにスレイも笑い返していた。レオンが消えたときスレイの視界は暗転した。


 ⚔⚔⚔


『小僧!いつまで呆けておるつもりだッ!』


 その声にハッとしたスレイが意識を取り戻すと、そこは未だにユキヤとの鍔迫り合いの真っ最中であった。

 どうやらユキヤはまだ戻ってきていないらしく、眼が虚ろだったのを確認しながら黒幻で魔剣を弾くと後ろへとんだ。


「ごめん、レネ。ウィルナーシュ。ボク、どれくらい意識飛ばしてた?」

『ほんの数秒だ。それよりお前はどこに行っていた?』

「どこってそれは………いや、後で話すからレネ、それにウィルナーシュ。二人にたのみたいんだけど」

『おねがいってなんなのぉ~?』

「人の魂を繋げることって出来るか?」


 ユキヤを警戒しながら聖剣と黒幻に語りかける。


『たぶんできるのぉ~!でも、むずかしいのぉ~』

『聖剣の娘、我の剣を喰らえ。補助をしてやろう』

『わかったの!』

「いやっ、わかったって、おいウィルナーシュ、レネになにさせる気だッ!?」


 スレイが叫ぶと同時に左手に握られている聖剣が輝き出すと、聖剣の切っ先からが光の粒となって二つに別れた。

 片方はスレイの手に握られている黒幻に、もう片方は鞘に収められている白楼に流れていった。二振りの剣は形を変えずに聖剣と同じ色合いへと代わっていた。


『これで娘の補助を行ってやろう。なにをするかは知らぬがはようせよ』

「あぁ。そうさせてもらいたいけど、これはボクの役目じゃない」


 そう、ユキヤを助けるための鍵を握るであろう人物の元へと急ぐとしよう。

 ユキヤの魂が消えてしまう前に………

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