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到着アルメイア王国

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 剣を受け取ってから数日、スレイたちはが乗った船は東方大陸にたどり着くと、途中で襲ってきた海賊の受け渡しなどで一日を使い、次に日にはスレイたちはアルメイア王国へと向かう馬車に乗りこみ、数日スレイたちは一ヶ月をゆうに越える長い旅が終わりを告げた。


 ここ、アルメイア王国は勇者の旅が始まった場所であり、そして勇者の旅が終わった場所だといわれている。

 かつてはこの国の小さな村に農民の息子として育った少年レオンは、ある時世界を支配しようとしている魔王の存在を神から告げられる。

 勇敢で正義感の強いレオンは世界を支配しようとする魔王を止めるべく、幼馴染みで後に賢者と呼ばれることになる少年エデンと共に旅立ち、数々の冒険を繰り広げながら仲間を集めながら世界各地を旅した。

 時には仲間であった者に騙され、時には敵との戦いに破れ、そして幾つもの死地を乗り越えていったレオンは、旅の終わりにこの地で魔王リュークと激しい戦いを経て決着をつけた。

 戦いの後、この地にて限界した神より勇者の称号を授けられたと言い伝えられていた。


 そのためこの場所には数々の勇者の姿を象ったオブジェや壁画、勇者一行の姿を象ったステンドグラスなど、勇者を称えるもので溢れていたが、事実に本当に起こったことは誰も知らない。


 馬車の窓から外を眺めていたスレイは、まるでお祭りでもやっているかのように……いいや、実際にこの街の人たちにとってはお祭りなのだろう。なにせ伝説の通り神によって選ばれた勇者が、もうじき大々的にこの国も国民に向けて姿を見せるのだから


「実際のところ、勇者のお話ってどこまでが本当で、どこまでが作り話なのか、それを知っているのはたったの三人と一柱の神さまだけだか」

「どうしたんですかいきなり?」

「なんでもないよノクト………ただちょっとね。いい加減、勇者たちのことを知りたいなって思っただけ」


 スレイはノクトの持つアストライアの魂が眠る石に語りかけるが、アストライアは全くとして答えてくれる気配はなかった。

 いつもこの話をアストライアに聞くたびに、まだ話す時期ではありませんと、いつまでも先伸ばしにされているがいい加減、かつて同じ志で戦った先人たちのことを、言い伝えではなくそれを頼んだ神自信の言葉で話してほしかった。


「実際にご本人の口からお聞きしなければ、不安になるのも分かりますがアストライアさまにもいろいろとお考えがあるのかもしれません」

「ですが、ラピス殿。悠長に事を構えている訳にも行かないのも事実です」

「ここはすでに敵地の可能性も有りますもんね」


 確かに勇者レオンのことを置いておくとしても、今一番の問題として考えなければならないのは異世界から呼ばれたという今の勇者のことだろう。

 どうしてこにタイミングで神は勇者を呼んだ?それもかつて自分を倒そうとした勇者を……いったい何を考えているのかは分からないが、きっとなにかが待ち受けている可能性がある。

 今までよりもよりいっそう気を引き閉めておかなければならない。

 そう考えていると、懐の通信プレートから通信を知らせる音が聞こえ、プレートを見るとどうやら同時回線で通信が来たらしい。誰からだ?そう思いながらスレイはプレートを起動させると、クライヴ陛下の姿が写し出されたのでスレイたちはあわてて姿勢を正した。


『もうじき屋敷へと着く。トラヴィス、スレイ、スペンサー、お前たちはすぐに準備しておけ。それとスレイ、お前はちゃんとした服に着替えてこい。いいな?』


 服装について厳命されるとクライヴ陛下からの通信が切れる。

 馬車の中に沈黙と共にノクトたちからスレイへ視線が向けられた。

 いつもの服ではダメ、つまりは久しぶりのあの服を出す必要があるなっと思いながら、早くその屋敷につかないかな~、っとしばらく針のむしろ状態を味わうことになったのだった。


 屋敷へとついたスレイは国王陛下からの厳命を受け、仕方なしに以前にパーティー用に買った一張羅のスーツに袖を通し、久しぶりでうまくネクタイを結べずに困っているが、こんなときの秘策としてスレイは事前に準備しておいたのだ。

 その秘策というのはループタイだ!前に出たパーティーで以外につけている人もいたし、これさえ着けていればなにも言われないだろうと若干どや顔で思っていたのだが……


「ちゃんとタイをつけろ」


 再びクライヴ陛下からの厳命を受けて仕方なしにネクタイをつける──っと言ってもスカーフみたいな物──と、馬車に乗るように言われた。


 案内されたのは二台目の馬車でその中にはすでに礼服に着替えたスペンサーが乗り込んでいた。


「お前……なぜ普段からそういう格好をしないんだ?」

「冒険者なんてやってたらこんな格好することないんですよ……それに、すぐにダメになってしまいますからね着る機会なんてまずありません」

「っとかなんとか言って、ただ単に固っ苦しい服装が嫌いなんじゃないだろうな?」


 図星を突かれたスレイはソッとスペンサーから視線をはずした。それから、馬車が出発し目的地の場所に向かうまでの間、なんとも言えない重苦しい空気が流れるのだった。

 馬車の中から外を眺めていたスレイはそう言えばと口ずさみながら、スペンサーにずっと聞いてみようと思ったことをこの機会に訪ねることにした。


「スペンサーさん。ちょうどいい機会なので教えてもらいたいことがあるんですけどいいですか?」

「私に話せれることなら聞いてもいいが」

「じゃあ遠慮なく……今回、ボクをレクスディナさまの代理となった理由、どうしてなのかってずっと考えてたんですけど、簡単に言うとボクのこの魔眼を使うためですよね?」

「なんでそう思った?」

「理由はいくつかありますが、一番の理由としては異世界から来た勇者が敵だった場合、それを知るためにボクを連れてきたんじゃないかってのが一つ目です」

「なら、他の理由はなんだ?」

「使徒です。もしも使徒が現れたとき、使徒との戦いを経験しているボクたちの力が必要だから……なぁ~んって、考えましたけどこれはスペンサーさんやおじいちゃんがいるから現実的じゃない。それに戦える人材を連れていきたいんなら、この大陸のSランク冒険者に代理を出せばいいだけですからね。だから一番妥当なのが、一番はじめの理由だっただけなんです」


 これがスレイが考えた理由だが、大方のことは当たっているのではないだろうか、そうスレイが思っていると表情を崩した。


「お前の想像通りだ。私たちがお前を連れてきたのは魔眼の力を借りたいからだ」

「その理由はやはり、勇者が敵か否かを知るためですか……悪いですけど、それは出来ませんよ?ボクの魔眼は魂を見るだけ、本人が嘘を真実として教え込まれていたらお手上げですよ」

「そんなことは百も承知だ」

「へぇ~、ならボクに見せたいのはこの国の人、それも王族ってことでしょうか?」


 スレイはいたずらめいた笑みを浮かべながらスペンサーに問いかける。するとスペンサーの眼が奇妙なものを見るかのように変わったが、今の話の内容を思い出したスペンサーの顔が苦虫を潰したかのように歪んでいた。

 ついつい口を滑らしたのはスペンサー自身なのにも関わらず、まるで嵌めやがったなとでも言いたげなその表情に、もう少しだけ聞いてみたかったが、ここで時間切れになってしまった。


 ガタンと馬車の動きが止まると、馬車の扉が開いたのでスレイとスペンサーが揃って降りる。


「トラヴィス国王陛下、お連れの方々もこちらへどうぞ」


 案内人の指示にしたがい城の中へと入ったスレイたちは、豪華な装飾のされた扉の前に立たされていた。何度も思うけど何故に城の扉とはこのように豪華な作りなんだろうな、そう思っているとクライヴ陛下がスレイに小さく耳打ちしてきた。


「スレイ、これから何があっても魔眼を使うんじゃないぞ?」


 つまりこれは使えと言う暗示なのか?っとスレイは思いながら魔眼を発動させる。理由はさておき、トラヴィス陛下がスレイをここに連れてきた理由、後で聞いてみることにしよう。


 謁見の間に通されたスレイたちはクライヴ陛下の後ろで膝をついて首を垂れていると、奥の方から足音が近づいてくる。


「お久しぶりでございますね、デボラ皇女殿下、そしてボルディア殿下」

「お久しぶりです。クライヴ陛下。後ろの方々も表をあげなさい」


 女性の声にしたがいスレイたちは顔をあげると、豪華な服を着崩し耳にはピアス、手首や首、それに指にはちょっと厳ついアクセサリーをつけた青年が王座にふんぞり返っており、その隣では厚い化粧と豪華な衣装で着飾った女性が控えているが、先程クライヴ陛下はどちらのことも陛下とは呼んでいなかった。

 なんか気になると思いながらもスレイは全部終わってからにしようとくらいに考えを変えた。


「お前たちも名乗りなさい」

「はい。私はクライヴ陛下の護衛隊長を勤めておりますトラヴィス・カークランドともうします」

「同じくクライヴ陛下の護衛隊副隊長スペンサー・カークランドともうします」


 トラヴィスとスペンサーが名乗ると最後に残ったスレイに視線が集まった。


「レクスディナ・アロアクロークの代理として参りました、スレイ・アルファスタと申します」

「レクスディナさまの代理とはどう言うことでしょう?」

「少々込み入った事情がありまして、しかしこの者はこの年でかなりの魔法の使い手で、レクスディナ殿の信頼も厚い青年です」

「そうですか」

「ところで、デボラ皇女殿下、ユーシス陛下のご容態はいかがでしょうか?」


 唐突のクライヴ陛下の問いにスレイは疑問を覚えたと同時に、デボラ皇女の魂の色が動揺を示す変わったことを見逃さなかった。そう言うことか、そう思いながらスレイは王族二人の魂の色を観察していると、デボラ皇女の魂の色が落ち着いた。


「今は落ち着いていますが、未だに油断は許せぬ状況ゆえこうして私と、時期国王であるボルディアが公務に当たっている次第です」

「そうですか。では後使いの者に程見舞いの品を贈らせます」

「感謝いたします」

「ところで、デボラ皇女。私の記憶ではユーシス陛下にはご息子がお見えになられたはずですが、今はどちらに?」

「あぁ。あの子でしたら今ごろは勇者様方と剣の稽古をしています」


 スレイは今の言葉の中で疑問を覚えたが、代理として出席している手前、王族同士の話し合いの場に口を挟む権限はないので黙っていることにした。


「なぜこの場にはいないのでしょうか?」

「勇者様がたのご指名です。年頃が近い者との稽古は身が入るらしいのです」


 やはりどこか引っ掛かるが聞くのはあとにしよう。

 それからしばらくはクライヴ陛下とデボラ皇女の話し合いが続き、スレイたちはなにも言わずに待っていると外からなにやら足音が聞こえてくる。


「クライヴ陛下、どうやら彼らがこちらにご到着になられたようです」


 そうデボラ皇女いうと先程スレイたちが入ってくた扉が開き、そこから十数人の少年と少女たちが入ってきた。そしてスレイはその少年たちの顔立ちと、彼らの着ている服を見て一瞬、動揺しそうになるがすぐに思考を切り替える。


「みなさま、彼らが異世界から我らが世界に舞い降りられた勇者様とそのお仲間の方々です」


 そう紹介されたのは日本人の顔立ちで、日本の学校の制服を来た少年少女たちがいたから、ではなく、うまく言えないが勇者たちが現れたとき()()()呼ばれたような気がしたのだ。


『待ってたよ』


 っと

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