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旅立ち、そして中央大陸へ

すみません!予約投稿をしていたはずが出来ていませんでした!


 中央大陸へと向かう前にスレイたちは、武具を作ってもらうためとは言えしばらくの間はこの街を空けるので、一度お世話になった人たちに挨拶をしてから街を出ることにした。


 半年にも満たない間しかいないあったが、お世話になったご近所さんにお店の人たち、それなりに親しい人や一緒に働いた冒険者仲間など、気付かないうちにかなりの多くの知り合いができていたことを実感しながら、スレイたちは挨拶回りをしている中、この街のギルドマスター ジャルナからはこのようなことを言いだした。


「なんだい、ったくあんたらが居なくなっちまったら、誰がこの街の厄介ごとを片付けてくれんのかねぇ?」

「いや、ボクたちってか、その厄介後とのほとんどボクが片付けてきましたいね?他の冒険者にもで回してあげてください」

「あいつらじゃ簡単に死んじまうからね。どうだい、旅なんてやめてアタシのギルドの専属冒険者にならないかい?」

「それはいいお誘いですけど、前にこの街を襲った使徒、それにボクたちが戦ってる相手のこと一通り聞いてるんですよね?」


 あの戦いの後、クライヴ陛下からジャルナへの情報の開示が行われた。以前、ロークレア騎士国で使徒に襲われたときにも似たようなことがあったが、あのときは神との戦いについては話すことはなかった。

 だがクライヴ陛下は、この国の王家が隠していた勇者レオンについてのことまでも情報を開示し、その上でもしもまたこの街に使徒が現れたときのために、この情報をこの国の他の街にある支部のギルドマスターに伝えさせた。そして、そのすべてを知っているジャルナは、


「まぁ、あの国王の坊やがこのアタシに頭まで下げて頼み込んで来たからねぇ。ちゃんとやることはやるさ。だからあんたらも生きて戻ってきな」

「「「「「「「はい!」」」」」」」


 ジャルナの激励に対してスレイたちは大きな返事をして返した。


 最後に祖父母のところに行こうとしたスレイたちだったが、それはアニエスによって却下された。


「あんたが来たらうちのスーが、一緒に行くって言って泣き出すかも知れないわ。ジュディス奥さまとアシリア奥さまには私から言っていくから行きなさい」

「あぁ………それじゃあ頼むよアニエス」

「ふん。ちゃんと無事に帰ってきなさいよ?あんたたちに何かあったら、すぐに飛んでいくから」

「平気ですよ。わたしたちずっと旅をしてきたんですからね」


 これが最後の別れ、というわけではないが旅で何があるかは分からない。だからこれが最後にはならないようにだけはしないといけない。そう思いながらスレイはユフィにあれをアニエスと、こんなときにだがラピスにもあれを渡すようにと伝えると、ニッコリと微笑んだユフィが空間収納を開く。

 みんなの視線がユフィの開いた空間収納に集まったと同時に、中からバサッと音を鳴らしながらなにかが飛び出しかと思もうと、それはゆっくりと二人の肩へと止まった………っと言いたかったが、一羽だけ肩ではなくアニエスのは頭の上へと止まっている。


「ちょ、ちょっとなによこの鳥?ってか頭が重い!退きなさい!!」

「わたくしの肩にも停まりましたけど、まさかこれって」


 アニエスは自分の頭に留まっている鳥を払いのけ………ようとしたが、手に払われて飛び上がったそれはもう一度アニエスの頭に掴る。

 それをもう一度払いのけてまた止まってを数回繰り返したあと、大きな鳥が諦めたようにアニエスの腕をとまり木のようにすることで落ち着いた。

 アニエスと鳥の戦いが終わるのを確認したラピスは、自分の肩に止まって頬ずりをしてくる小さな鳥のことを見ながら、なにかを察しこれを出したユフィとスレイの方を見ると二人は小さくうなずいて答えた。


「遅くなっちゃったけど、二人の分のゴーレムね」

「ごめんな、出来てはいたんだけど渡すタイミングがなかなかなくて遅くなっちゃったけど」


 やっぱりかと思った二人は自分に与えられた鳥型ゴーレムのことを見ていると、今回初お披露目と言うことでノクトたちも興味津々の様子で見いっていた。


「……むぅ、アニエスのゴーレムなんか大きくて強そう」

「確かにそうですね。足にも鋭いカギヅメがありますし……って、ちょっと待ってくださいさっきアニエス殿の頭に止まってましたよね?」

「ちょ、ノクト!ヒールお願い!!」


 こんな鋭い爪を持ったゴーレムが頭の上に止まっていた。

 その事をリーフに指摘されたことでアニエスはもしかしたらあれが刺さってた?っと思い顔を真っ青にしながらノクトに治療を頼もうとしたところで、スレイはその必要がないことを伝える。


「こいつの爪、人に止まるときは保護されるようになってるから。アニエスも頭、痛くはないはずだけど?」


 そう言われて改めて考えると、頭の上に止まったときにけっこう重いなっとは思ったが全く痛みがなかったことを思い出したアニエス。念のためにと頭を触って確かめてみたが、手には血の一滴も付いていなかったので安心のあまり胸を撫で下ろしていた。


「ユフィお姉さん。なぜアニエスさんのゴーレムはあんな爪を?」

「それはスレイくんのアイデアなんだけど、アニエスちゃんをこの街に置いていっちゃうでしょ?だから、何かあったらときのために身を守れるようにね」


 本当は旅に出ている間に良からぬ輩からアニエスを守るために、風魔法を中心に色々と魔法を付与しようと暴走をしていたスレイだったりもするが、普通に危ないのと魔力の消費が通常のバード型ゴーレムの非ではないため一緒に作っていたユフィから企画の段階で大幅な修正をくらい、護身用の非殺傷用魔法を数種類と緊急時の殺傷用の魔法を数種類付与するだけで終わった。

 だがもしもの時にためにと爪も着けておいたりする。


「まぁ、スレイくん過保護ってことは置いておいて、アニエスちゃんにはイーグル。ラピスちゃんにはカケス。二羽とも私たちのゴーレムと繋がってるからいつでも連絡してね」

「変わったお名前ですけど、可愛いらしいですね」

「ちょっと目立つけど、この街じゃ使い魔ってのもいるくらいだし問題なさそうね」


 スーシーが見たら欲しがりそう──実際にリーシャとヴァルマリアのゴーレムを欲しがってはいるが──だと思いながらアニエスは二人にお礼を言っている。


「それじゃあ行ってらっしゃい、みんな。怪我とかには気を付けるのよ」


 スレイたちはアニエスに行ってきますと返事をして街を後にしたのだった。



 中央大陸へとゲートを使いやって来たスレイたちは、いつも通り住人から手土産やらを渡され、ただ来ただけで毎回こんなにもいろんな物をもらってしまうと言うのは申し訳ないので、ついでになにかを一緒にもらった店から幾つかの商品を買って行くことにした。


 だが、店の人からスレイが領主の息子だからという理由で割り引きされそうになったが、そんなことされて赤字でも出されたら申し訳ないので、買う分の料金はしっかりと定価の値段で買っていく。だって、毎回もらうのも気が引けてしかたないんだもん!

 っと、心の中で誰に向かって弁解しているのか分からない弁解を一人でしているスレイは、いつも通り大量の果物なんかの入った紙袋を手に家族の暮らす屋敷へと向かうのだが、その途中で後ろからドスンっとなにかが乗り掛かってきた。


「おかえり、おにいちゃん。ちょっと見ない間にすごいことになってるね?だいじょうぶなのそれ?」

「ただいまヴァルマリア。だけどいきなり背中に乗ってくるのはやめてくれるかな。ちょっとビックリするからさ」

「うん。わかった。おねえちゃんたちもおかえりなさい」


 簡単な挨拶をしてからスレイたちはヴァルマリアを連れて屋敷に向かうと、ちょうど庭で剣を握ったフリードが同じく剣を握ったリーシャの攻撃を受け止め受け流している受ところだった。

 なぜリーシャが剣を、村にいた頃からリーシャを知っているスレイとユフィですらもそんな姿を見たことがなかったので驚いていると、リーフがスレイに訪ねる。


「スレイ殿、リーシャちゃんは剣を使うのですか?まだ幼いですが、かなり様になっているご様子」

「いや、ボクも今日はじめて知ってちょっと驚いてる。マリア、リーシャはいつ頃から父さんに剣を習い始めたのか知ってる?」

「ん~っと、ミーニャおねえちゃんががっこうにいってから」


 たった数ヵ月とは言えリーシャの剣の腕前がかなりの物だということに驚きながらも、しばらくの間フリードとリーシャの稽古をそばで見守っていることにした。


 しばらくしてリーシャが肩で息をしながら膝を着いて動けなくなったところでフリードが剣を下ろした。


「よしリーシャ。今日はここまでだ」

「おとーさん、つよぉ~い!」

「はっはっはっ、お父さんはこれでもまだ現役の冒険者だぞ?強いに決まってるじゃないか。なぁスレイ?」


 突然名前を呼ばれたスレイと、兄の名前を聞いてリーシャの目が煌めきながら振り替えった。

 ユフィたちと一緒にいるスレイ姿を見つけたリーシャが、先程までの疲れが一瞬で吹き飛んだのか剣を握ったままスレイの元へと走ってきた。


「おに~ちゃ~~~~~~んッ!!」

「よしこいリーシャ!」


 せっかく久しぶりに会った可愛い妹を向かえるべく、スレイは両手を広げてリーシャを受け止めようとしたのだが、かなり距離があったはずなのに一瞬でリーシャが目の前に現れた。

 おかしなことが目の前で起こりスレイは、あれ?っと小首をかしげながら思った。

 リーシャってこんなに足早かったっけ?っと……


 そう思ったと同時にスレイの腹部にドスンって、重い音と一緒にとんでもない衝撃を受ける。


「ぐふっ!?」


 スレイがくぐもった声と共に息を吐き出しながら、何とかリーシャ傷付けないように細心の注意を払いながら受け止めることに成功した。

 強化もせずに、さらにはリーシャのことを考えてお腹に力も入れていなかっため、スレイの顔は少しだけ真っ青になっていた。

 そんなスレイのことはいざ知らず、当のリーシャはグリグリと抱きついたスレイに顔を擦り付けている。


「うわぁ~、あれってまともにお腹に入りましたよね?」

「えぇ。それはそうとリーシャちゃん、先程一瞬だけでしたが闘気で身体を強化していましたね」

「そうなのですか?わたくしには全く……ライアさまお分かりに?」

「……ん。ちょっとだけ見えた」


 全くスレイの心配しなさそうなノクトたちにユフィが、ちょっとだけおかしそうに笑っていると、痛みにうねりながらノクトたちを怨めしそうに睨んだ。


「なぁ、ちょっとでいいから心配してくれないかな?」

「スレイさまでしたら、これくらいは余裕だと思いますが……ねぇ、ノクトさま?」

「ふふふっ。そうですね」


 なんだかラピスとノクトの仲が良いなっと思いながらも、スレイは未だに顔をグリグリと押し付けてくるリーシャを抱き上げながらフリードの方に歩み寄る。

 スレイが近寄ってくることに気がついたフリードは、リーシャの投げ捨てた剣を確認しながら話しかける。


「今日はどうしたんだ~?あっ、まさかアニエスちゃんにフラれてあの街にいずらくなっちゃったから、こっちに来たとかか?」

「フラれてはないよ。今はちょっとここにいないけどね」


 順調に嫁を増やしていくスレイにフリードは何からうれしいやら悲しいやら、複雑な心境になりながらスレイのことをみる。


「お前、なんかあっただろ?」

「それについては後にでも話すからさ、いるんでしょヴァルミリアさま?」


 屋敷の中から感じるヴァルミリアの気配と共に、スレイの腕に刻まれた刻印を通してウェルナーシュが屋敷の中のヴァルミリアの存在を訴えかけてくる。

 正直に言ってこのままヴァルミリアと会うのに、いささかの不安を感じながらも、フリードはスレイをヴァルミリアの元へと案内してくれることなった。



 屋敷の中に入ると、ジュリアに来たことを言おうかとも思ったが、フリードから先にヴァルミリアに会わせると言われ、久しぶりにアーニャとエルに会えると思っていたスレイは少しだけがっかりしていた。


「つい一週間前に突然やって来てな。今は上の部屋に泊まっているんだ」

「へぇー。ってことはあのときか………やっぱり気付かれてたのかな?」

「なぁスレイ。ルラからお前の身体のことは聞かされて知っているんだ。わかっていると思うが、お前が無茶をする必要はないんだ。オレか母さん、ルラやどこにいるかは知らんがルクレイツアだっている。お前が身体を張る必要なんて──」


 当たり前のことかもしれないが、フリードはスレイに命をかけて戦って欲しくはない、生きて必ず帰って来てほしいと思っていると、その気持ちを察したのかスレイは小さく笑みを作りながら口を開いた。


「分かってるよ父さん。無茶はしない」

「ばか、つい先日無茶して死にかけた奴の言葉なんて信じれるか」

「心配しないでよ。冒険者やってたらいつも命がけなんだから……そこは父さんだってそこんところは分かってるはずだけど?」

「あぁ。お前に言われなくてもよく知ってる。だがなスレイ……親ってのは子供にゃ先に死んでほしくはない、死ぬんならちゃんとしわくちゃの爺になって、家族に囲まれて安らかに死ねってな、親ってのはそう思っちまうもんなのんだよ」


 フリードは冒険者として多くの人の死を目の当たりにしてきた。だからなのだろう、そう思っているのも分かるが、どのみち誰かがやらなければ世界が終わりみんなが死ぬ。

 だから、少しでも抗って抗って、そして勝利を掴み取る。もしそれが出来たら、フリードの言うような生き方も出来るのかもしれない。


「ついたぞ」


 そう言われれフリードが扉をノックすると部屋の中から女性の声が聞こえ、フリードが扉を開け中に入るとスレイも少し遅れて中に入る。


 部屋に入ると、日の光の指す窓に置かれている椅子に座り膝の上には読みかけで閉じられた本、日の光に照らされてきらめく白髪の髪が綺麗に見える。ただそこにいるだけだというのに、それだけでも絵になるな、っと思いながらフリードの後に続いた。


「久しぶりですねスレイ。そしてウェルナーシュ、あなたも見ているのでしょ?」


 ウェルナーシュの名前を呼ばれてスレイはソッと黒い剣の残骸に触れると、


『ふん。少し老けたかヴァルミリア?』

「子を産みましかたからね。あの頃よりも少しは歳を取りました」


 姿の見えないウェルナーシュ相手に話しをしているヴァルミリア。

 このまま話を聞いていた方がいいかと思ったスレイだったが、この状況に着いてこれてないフリードがスレイに訪ねる。


「なぁ、この声はいったいなんなんだよ?」

「あぁ~、何て言うか………ボクの剣の素材がが伝説の闇黒竜 ウェルナーシュの爪で、世界の狭間?にいるウィルナーシュと繋がってるらしいんです」

「………マジかい。そんなことあるのかよ」


 フリードがスレイの腰の剣を見ながらそう思っていると、ヴァルミリアが目の前にまでやって来た。


「スレイ、私の剣とウェルナーシュの剣を見せなさい」


 スレイは腰に下げられた二振りの剣を抜いてヴァルミリアに差し出すと、二振りの剣を鞘から抜いてその刀身を確認した。

 半ばから切り落とされた白い剣、そして無残にも砕かれた黒い剣を一別してからスレイへと向き直る。


「相手は、始まりの使徒 グリムセリアですね」

「すみませんでした。せっかくいただいた剣を折ってしまって」

「構いません。あの使徒を相手に剣が折られただけで済んだのは僥倖です」


 そう言ったヴァルマリアは二振りの剣を鞘に収めてからスレイに返す。


「それで、あなたがここに来たのは私の剣を打った者と会うためですね?」

「はい。かつてあなたと共に戦った刀匠バズール。その方の居場所を教えてください」

ブクマ登録、作品評価ありがとうございました。

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