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終結

今回はちょっと短めの話です。

予定としてはあと三話で次の章に進みます。

 武芸の使徒セファルバーゼを何とかして退けることの出来たスレイたちは、連戦続きで傷つき疲れた身体を休めるために簡単な休息治療を行っている。


 戦いが始まってかなりの時間が経ち、魔法師団や冒険者たちが頑張ってくれたおかげか街の中にいる使徒の分体の数が減ってきているため、襲われる心配はないかもしれないが念のために周りにシールドを張り、スレイの黒騎士・壱式・改・弐型と黒騎士・弐式・改の二体が警戒をしている。ちなみに、スレイが黒騎士を取り出したと同時にユキヤの目が輝き、食い入るように黒騎士に見いっているた。


 男に生まれたならばこのフォルムのよさは分かってくれる、そう思っていたスレイは優しくユキヤの肩を叩きながら、自然とあふれでた微笑みを向けながらそっと頷きかける。

 すると、ユキヤも無言で頷きソッと手を差し出し、スレイはその意図を察して手を差し出し、二人はガシッと力強い握手をかわした。

 その心は幼き日に見て憧れた存在が目の前にある。童心を思い出すかのようなの熱い胸の高鳴りをその身に宿しながら、スレイとユキヤは男同士の友情を確かめ合っていたのだった。


 そんな二人のことを黙って見守っていたユフィたちが、ついついこんなことを言い合っていた。


「あ~ぁ、見てくださいよラピスさん。お兄さんたら、まぁ~たゴーレムを見て男の子の目をしてますよ」

「ほんとでございますね。男の子と言うものはゴーレムが好きな物なのでしょうね」


 っと、スレイの左腕に術式の書かれた包帯を巻いていたのラピスと、ユキヤの治療を行っていたラピスが本人のいる目の前で言い、また別のところでは。


「ねぇねぇアカネちゃん、男ってどうしてあんなのが好きなんだろうね~」

「私、あんなレンカの顔、始めてみたわよ………ってかユフィ、今さら私のことをちゃん付けしないでくれる?なんだか気持ち悪いわ」


 っと、なんだか違うことを言い合っていたが、気持ち悪いと言われてユフィがショックを受けているので、別の話題に話を持っていくことにした。


「そう言えば、さっきの話なんだけどリーフとライアとは別行動なんだな」

「えぇ、多分ですけど、今はあの巨大な蟹みたいなのと戦っているんだと思います」


 ノクトが遠くで見える蟹のような化け物の方を見ると、それにつられてスレイたちもそちらに視線を向ける。上空から見たときはそれほどまで巨大には見えなかったが、今では十五六メートルはありそうだ。

 あれと二人が戦っているのなら、早くあの場所に行って二人のことを助けないといけない、そう思っていると視界の先で蟹の巨体が傾き、そして地面に倒れた。


 あの巨体が倒れたせいで起きた衝撃波がスレイたちのところにまでやって来たが、事前に張っていたシールドによって防がれ衝撃波はスレイたちのもとの届くことはなかったが、それでも倒れたときに伝わってくる振動だけがはしっかりと伝わってきた。

 グラッと揺れたことでノクトが倒れそうになり、治療を受けていたユキヤが受け止め、揺れが収まるとすぐにノクトを離した。


「あっぶねぇ~、おい大丈夫だったかちびっ子?」

「……助けていただいたことには感謝しますが、ちびっ子は辞めてください。わたしはノクト・ユクレイアです──って、お兄さん!?いきなりどうしたんですかッ!?」


 ノクトが驚きの声をあげている理由は、突然背後に現れたスレイがノクトのことを後ろから抱え込むように抱き寄せ、両腕で強く抱き締めてユキヤのことを威嚇しているのだ。

 これにはさすがのユキヤも理由を察して呆れながら顔をひきつらせている。


「おいヒロ、さすがに人の女を取るような真似はしねぇから安心しろっての。ってか、お前そんなに独占欲が強い奴だったか?」

「うるせぇよ。ってかうちのノクトはマジで美少女なんだからな、もしものことがあったらまずい。ってか度々狙われるから気が抜けねぇんだっての」


 うわっ、こいつマジかよっと、ユキヤの顔が雄弁に語っていた。知らぬ間に親友が独占欲の塊のような男になっているとは思わなかったユキヤ、まぁ、人のことは言えないなっと思いながらちらりとアカネの方を見ると、アカネも一緒に視線を会わせてクスッと笑っている。

 どうやら似た者同士ということだ。


 突如ノクトの首にかかっている結晶が輝き出し目の前で光出した結晶を眩しそうにしながら見ていると、しばらくしてみんなの目の前に霊体のアストライアが姿を表した。


『スレイ、そしてフリューレア、二人とも無事だったようですね』


 アストライアがフリューレア、ラピスの方を見ながら名前を呼ぶとスレイたちの中で微かに緊張が走った。今はこうして普通にしているが、もしもアストライアがラピスを攻撃しようとしたらと、そう思ったがアストライアはそっと笑いかけた。


『あの者作り出した使徒であるあなたが心を持つとは、全く予想だにしないことでした』

「それはわたくしも同じ気持ちですが、心を持てたお陰で皆さまと一緒にいられる。ただそれだけのことでもわたくしは嬉しく思っています」

『ふふっ、でしたら私は素直にあなたの生きるこれからの未来を祝福するとしましょう』


 なんだか丸く収まっている?ようなのでスレイたちは良かったと、胸を撫で下ろしているっとアストライアがスレイの方に向き直った。


『スレイ、この場に新たな使徒が産まれました。リーフとライア、それにそちらの連れの娘が戦っているようです』


 それを聞いたスレイとユキヤはその話を聞き、すぐにでも助けに行かなければと思った。


「ちょっと行ってくる。黒騎士四機を置いていくから何かあったら使って」

「スズネ、レティシアを助けにいってくる、そいつらと一緒にいろよ!」


 スレイとユキヤは治療もそこそこで走り出していってしまった。


「行っちゃいましたね」

「お二人だけで大丈夫でしょうか?」

「平気だと思うわ、レティシアもいるんだし」

「そうだよね。あの二人なら大丈夫だね」


 走っていく二人の背中を見送りながら、ユフィたちはこれからどうするかを話し合い、ノクトがミーニャたちのことを気にしていたので様子見を兼ねて向かうことにした。




 時は遡りスレイたちがセファルバーゼとの戦いに参戦したころ、トラヴィスの舞台によって救助されたミーニャたちは街の現状を見て絶望していた。

 始めてみる戦いのあと、今まで暮らしていた場所が燃えている現実に生徒たちは目を背け用としているなか、クレイアルラはこの場をトラヴィスに任せる旨を伝えた。


「ルラ先生、行かれるんですか?」

「えぇ。皆がまだ戦っていると言うのに、師である私がなにもしないと言うのも面目が立ちません。それに、一人の師としても、冒険者としても戦いを前にして参戦しないと言うわけにはいきませんからね」


 クレイアルラがそう言うとローブの懐から七つの魔石の様な物を取り出し、それと一緒に取り出した窪みの空いたブレスレットを腕にはめ、その窪みに石を装着していた。

 戦いの準備を始めているクレイアルラのことを見ながら、ミーニャはなにかを言いたそうにしていることに気がついたクレイアルラは、おおよその察しはついていたが、これは本人の口で言わなければならないことなのでなにも言わずに準備を進めている。


「それではトラヴィス、これから私はみなの加勢に行きます。この場は任せましたよ」

「任されよう。お主も気を付けて行きなさい」

「えぇ。生徒たちを頼みます」


 クレイアルラが戦場へと向かうべくその場を立ち去ろうとしたその時、ミーニャが叫んだ。


「先生!私も………私も一緒に連れていってください」

「ミーニャ、ここからは授業ではありません。命がけの戦いの場です」

「分かっています。でも、兄さんも、お姉ちゃんたちもみんなが戦っているのになにもしないなんて嫌なんです!だから、どうかお願いします!」


 必死に懇願するミーニャを見てトラヴィスは慌て始める。


「こっ、これミーニャや、そんなことを言ってはならん。お主はわしらと共に安全な場所に行こう」

「おじいちゃん。お願い、私にも戦わせて」

「じゃ、じゃがのぉ」

「トラヴィス、もういいですよ」


 孫娘のわがままに困り果てているトラヴィスにクレイアルラがそう言うと、ミーニャの方に向き直りながらその顔を覗き混む。


「確認しますが、あなたは私についてきたとしても、自分が足手まといになると言う自覚はありますか?」

「こっ、これクレイアルラ」

「あなたの魔法はまだまだ未熟です。私やジュリアの付き添いの元や学園の実習という安全な場所での戦いしか経験していないあなたに、この戦いの場に出る覚悟があるのかどうか、それをもう一度訪ねます。どうなのですミーニャ・アルファスタ」


 ミーニャはクレイアルラの言っていることは全くその通りだと思っていた。今まで、魔物と戦うことは何度も経験していたがそれは全て安全なところから、そんな自分がクレイアルラに付いていっても足手まといになることは分かっていた。

 それでもミーニャは付いていくと決めていた。そんなミーニャの決意の眼差しを見たクレイアルラは、こうなることを予見してか、はたまた始めから分かっていたのか、


「はぁ。わかっていましたが、本当にあなたたち親子は似ていますね」


 クレイアルラが微笑みながらミーニャに緑色の石の付いたブレスレットを渡した。


「あなたならばこれを使いこなすことが出来ると思います」

「先生……これって、いったいなんなんですか?」

「持ってみれば分かりますよ。もしも、これを使いこなせれたならばあなたは今まで以上に強くなれますよ」


 そう言われてミーニャは恐る恐るそのブレスレットを掴むと、一瞬ミーニャの周りに風が吹き荒れると思うと目の前に現れた物を見て驚きの表情を浮かべる。

 周りでは急に固まってしまったミーニャを見て、どうしたのかと心配しているとクレイアルラが微笑みながら近づいてくる。


「やはり、ミーニャは問題なく彼の物たちと繋がることが出来たようですね」

「先生!これって──」

「静かに、ミーニャ行きますよ。その力の使い方は道すがら教えますが、ひとまずはスレイたちのもとに向かうとしましょう。師匠の方は……平気、と言うわけでは無さそうですがあの人の心配をしている隙は無さそうですね」


 クレイアルラは杖の石突きで地面を叩くと、クレイアルラとミーニャの足元に小さなつむじ風が生まれ、二人の身体を空中へと浮かせた。


「初めは私があなたを誘導します。みなのいる場所に着くまでに力の使い方を覚えなさい」

「わっ、分かりました」


 ミーニャを連れたクレイアルラが戦いの続く街の中へと飛び去っていくのだった。




 一方その頃、スレイたちはと言うと


「はぁはぁ……おい、まだ生きてっかバカヒロ」

「生きてるに……決まってる、だろ、バカユキヤ」


 満身創痍のスレイとユキヤの手には、半ばから折れた剣と刀が握られていた。

 そんな彼らの目の前には始まりの使徒であるグリムセリアがそこにいたのだった。

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