本気の戦い
すみません!
投稿する話を一つ飛ばして投稿してしまいました!
こんな時間ですが、続きを投稿します。本当に申し訳ありません!
前回までの荒筋、ユフィが自分の都合のいいことしか聞かない迷惑イケメンに迫られ、無意識人を殴り続ける殺戮マシンみたいになったが、結果として顔面崩壊レベルでの重症をおったイケメンも結界が解かれると元のイケメンに戻り、ユフィも我に帰ったので一件落着、なんとか全てが丸く収まったそうおもったのだが…
「ちょ、ちょっと!もう試験は終わったんですよ!何してるんですか、止めなさい!!」
これは試験の審判をしていた職員の人の声だったな、そう思ったスレイとユフィが何事かと後ろを振り返ると、先程ユフィにボッコボコに殴られた上に失禁して下半身が大洪水を起こしていたイケメンが、何を思ったのか剣を握って走ってくる。
剣を持っているのを見てヤバイと思ったスレイがユフィを背にして庇うと、イケメンが剣を振り下ろすとタイミングに合わせて黒い剣を抜き放ち、受け止めると同時に剣を振り抜いて切り下ろされた剣を弾き返した。
火花を散らしながら弾かれた剣、わずかに拓いた間にスレイはがら空きになった胴に蹴りをいれる。
「──ゴハッ!?」
口から空気を吐き出し後ろに後退するイケメン、そこにスレイは魔道銃を二発同時に発砲した。
ドンドン!っと二発の弾丸を撃ったスレイ、一発は足元、もう一発はイケメンの頬をかするように銃弾を放つと、ピッとイケメンの頬を切りポタポタっと血が流れた。
イケメンが血の流れ出た頬に手を当てると、キッ!とまるで視線だけで人を殺すような凄まじい目でスレイを睨み付けた。
「キサマ!よくも………よくも俺の顔に傷をつけてくれたな!殺す、殺してやるぞ!!」
「ちょっとそこの職員さん!この人、殺害予告してますよ!捕まえるか、殺すか、憲兵呼ぶかしてもらえませんかね!?」
再びおろおろし始める女性職員、こういうときの対処マニュアルなんかは作られていないようだ。ちゃんと作っておけ冒険者ギルド!っとそんなことを考えているスレイだったが、ここに試験を受けに来ている冒険者たちはこう思っていた。
いやいやいや、さすがに相手はさすがに殺すのはダメだろ!?っと、声には出さなかったがみんなの心が一つになった瞬間であったが、次の瞬間イケメンがとんでもないことをした。
「きゃぁああああっ!?」
突然イケメンが審判の女性に抱きつきその首元に剣を突きつけた。
この行動に驚いたスレイとユフィは、もはや同じ冒険者じゃない、ただの悪漢っとしてあの男を斬ることを決め駆け出そうとしたが、そこで男が声を荒げるて叫んだ。
「動くんじゃねぇ!動いたらこの女の首が身体とおさらばすることになるからな!それでもいいのか!!」
その言葉にスレイとユフィだけでなく、助けに動こうとしていたノクトたちや他の冒険者たちも動きを止め、ここに来て試験の方がおかしなことになってることを聞き付けたギルマスが二人、一人がここのギルマスで、かなり高齢のおじいさんと、マルグリット魔法国のギルマスのジャルナがやってくる。
「何をやっているのかね!?」
「うるせぇジジイとババアは引っ込んでろ!」
「あ゛ぁ!?誰がババアだってこのクソガキ!!そこ動くんじゃないよ!一歩でも動いたらあんたのナニとタマ潰すからね!?」
ババア呼ばわりをされたジャルナが青筋を立て、背後に悪鬼の幻影を出現させて殴り込みをかけようとすした。それをこの町のギルマスのおじいちゃんが慌てた様子で声をあげる。
「よ、要求はなんだね!何でも言いなさい、そうすればその子を助けてくれ!」
「そんなもん決まってるだろ!そこの女!服を全部脱いで俺の元に来い」
イケメンの提案に会場にいた全ての男の視線がユフィの元に集まった。
当たり前と言えば当たり前だ、何故ならばローブの上からでもわかるような胸を持つ少女の裸体が拝める。想像しただけで鼻血をだしているのもいるくらいだ。
「えっ、私は露出癖はないからイヤだよ?」
ユフィがそう答え、会場にいた女性冒険者たちから男どもに冷たい視線が浴びせられた。
イケメンにはスレイから特大の殺気をプレゼントされることになったが全く答えた様子はない。どうやら怒りで全く怯まないらしい。
これは一思いに気絶させた方がいいかもしれない、そうスレイが思いながら魔道銃からマガジンを抜いてゴム弾に変更しようとしたそのとき、イケメンがさらに周りの殺意を──主に女性たちの──高める言葉を口にした。
「イヤじゃねぇ!さっさと脱げ!てめぇら女なんてなぁ、男に媚売って股でも開いてりゃあいいんだよ!」
この一言にスレイはゴム弾の使用をやめ殺傷能力を極限にまで高めた対使徒戦用特殊弾頭──シャウラを弾倉に込める。
これは貫通力を高めた弾丸で、他にも追尾機能を付けた弾丸や灼熱化する弾丸も存在するが、今回この弾丸を選んだのには理由がある。
「その女性を放せ。でないと傷が増えることになりますよ」
「うるせぇ!その女をヤったら次はてめぇを殺ってやるから覚悟しろよ!」
「仕方ない。お姉さん、ちょっと怖いかもしれませんが我慢しててくださいね」
一言そう断りをいれたスレイは女性職員の首に当てられている剣、その根本に向けて発砲すると剣の根元が折れイケメンの肩に弾丸が撃ち抜いた。
肩を撃ち抜かれイケメンの悲鳴が上がるが、それよりも早く転移魔法でその場から消えたスレイは折れた剣の刀身が女性職員を傷付けない用に受け止め、そして拳を握りながら竜燐を纏った。
「取り敢えず一発で許すけど、次は殺すからな!」
イケメンの顔面に拳を叩き込むとイケメンは、競技場に張られた結界を破壊し後ろに吹き飛んだ。
「さぁもう大丈夫です。後はボクがやりますからユフィの方にいってください」
「わ、わかりまし──っ!?危ない!」
女性職員が焦りの表情を浮かべながら叫んだ。
その理は、スレイに顔面を殴られて吹き飛んだはずのイケメンが後ろから剣で斬りかかってきたからだ。だが、スレイはそんなことすでに気づいていた。
「さっき、次は殺すって言ったのにな~」
「スレイくん。仏の顔も三度まで、もう一度だけ許してあげようよ」
「ユフィがそれでいいなら」
その場で回転したスレイは黒い剣をイケメンの剣を打ち払うように振り上げる。すると、もはや剣術もなにも関係ないイケメンの剣は簡単に払われ宙を舞った。
カランっと後に落ちた剣、
「もう終わりだ。本当に怪我したくなったから降参しろ」
「イヤだ!ってんだろうが!!」
こいつはもう痛い目に会わせた方がいい、そう思ったスレイがもう一度竜燐を纏った拳を叩き込もうとした瞬間、イケメンの背後に影が射した。
「お前じゃま」
「なん───ぐべら!?」
突然イケメンが真横に吹っ飛んだ。
その理由は、背後に現れた巨漢の大男が身の丈を越えるほどの大剣の刀身、その腹をフルスイングでイケメンの顔に振り抜くと、ゴキッと首から鳴ってはいけない音がなりながら吹き飛ばしたのだ。
スレイとユフィが吹き飛んでいったイケメンの方を見ると、首が変な方向に曲がって完全にネジ切れているのが見てとれた。ギルドの職員が駆け寄ったが無駄だろう。
「あの人、完全に死んだよな?」
「うん。まぁ、いいんじゃないかな。なんか裏で女の人をヤり捨ててそうな男だったし」
「ヤり捨てかどうかは置いといて、そんな奴でも殺しちゃって良かったのか?」
「良いんじゃない?………ところでさぁ~、スレイくんも同じこと思ってたりしたのかな?」
「いや、ボクがそんなこと思うわけないじゃん。ってか、聞いてて本当にあんなの居るんだって驚いたくらいなんだからさ………それに、あんなのと同じだったら今頃手当たり次第に女の子に手を出してる。ってかそもそも女の子の知り合いが壊滅的に少なくてそんなことも出来ないけどな!」
「ヴィーちゃんとアリスちゃんと、後は宿屋のオリガさんくらいだもんね~」
「やめてくれよ、なんか友達の少ないボッチ感が半端ないから」
スレイが目尻に涙を貯めながらついついそんな事を話していると、背後から殺気を感じ振り返るとイケメンの首をネジ切った大剣の刃が真上から降り注ぐ。
「──────────ッ!!」
スレイは咄嗟にユフィを真横に開いたゲートに押込み、左手で黒い剣を逆手で握りながら真横に弾いた。
剣の軌道がそれて自分のすぐ横の地面を砕いた大剣を睨み付け、そのままスレイは大剣を握っている男のことを睨み付けていた。
「危ないですね。何するんですか?」
「なにって、お前の試験に決まってるだろ。邪魔者は消えたからな、さぁかかってこい!俺を楽しませろ!」
「ヤダこの人、人の話を全く聞いていないどころか、自分が戦いたいって理由で剣を向けてきたのか?ただの脳筋じゃないですか!」
スレイは黒い剣を空中に放り右手に持ちかえ白い剣も抜いた。応戦しようとしたそのとき、男が大剣を振り上げ斬りかかってきたので黒い剣で受け止め、そして打ち払った。
「ハァアアアア―――――――――――ッ!!」
大きく空いた男の胴に向かって最速の突きを放ったが、男がサイドステップで突きをかわすと大剣の振り上げでスレイを斬りつける。
剣の刃がスレイに向かって振り上げられるなか、スレイは剣の軌道の合わせて後ろに飛びかわそうとしたが、男の振りが早いためかわすのが間に合わない。空中にいるせいで剣で受けても競技場の外にまで吹き飛ばされるかもしれない。そこで、スレイは咄嗟に大剣の刀身、そこに向かって鋭い蹴りを放った。
「うぉっ!?」
大剣の軌道をうまくそらせれた。そう思ったスレイだったが男の口元が大きくつり上げられたのを見て、スレイは何かあるそう思いながら、スレイは何かされる前に斬る!そう思い黒と白の剣を交差させ脇に抱えるように構えながら地面を蹴る。
「──なっ!?」
スレイの口から驚愕の声が漏れる。なぜならば、突然剣を握った手を放したからだ。
クルクルと空中を舞う大剣、何をする気だ?一気に男への警戒を強めたスレイだったがやることは変わらない。このまま斬る!そう意気込みながら走り込んだ。
「真っ向から来るか……その活きやよし!!」
空中で回転していた剣を掴むと、片手で身の丈以上の大剣を真上から振り下ろす。
勢いを乗せて切り下ろされる一撃、これは不味いと感じたスレイは二振りの剣を振り上げ受け止める。
ギチギチと火花を散らしながらもなんとか受け止めたがこのままでは不味い。どうにかして切り返さなければと考えていたスレイだったが、男は剣を両手で握り直しスレイを押し返した。
「───うぐっ!?」
押し返され身体を持ち上げられたスレイ、男はその場で回転しながら剣を振り抜いた。ドゴンッと、まるで爆発が起きたかのような音が間近で聞こえスレイは吹き飛んだ。
ゴロゴロと地面を転がったスレイだったが、片手で身体を持ち上げて立ち上がるとそこに男が飛び込んでくる。剣を構えたスレイは切り上げられた男の大剣を受け流し、切り返すが男はそれを大剣の柄で受け止める。
二人は至近距離で激しい斬り合いを開始した。
「がはははっ!中々やる、俺は楽しいぞ!!」
「知らないですよ!」
このままじゃ攻めきれないと焦ったスレイは、男が大剣に込める力を込めてスレイの黒い剣を払いのけ、切り返しでスレイの真上から剣を振り下ろそうとした。
不味いと思ったスレイは咄嗟に白い剣を地面に放り掌を男に向けると、手の中に魔法陣が浮かび上がった。
「エアロ・ブロウ!」
「─────ッ!?」
至近距離から放たれようとした魔法に男は後ろに下がろうとした。うまく行った、そう思いながら掲げていた腕を真下に落ちた剣を抜きながら斬りかかろうとしたが、男はスレイの腹部を蹴った。
「ぐふっ!?」
腹を蹴られて胃液が逆流しかけたスレイだが、なんとか呑み込み立ち上がった。
「魔法まで使えるのか!」
「そうですよ。それともう出し惜しみはしませんから、全力で行かせてもらいます!」
目を瞑って大きく息を吐いたスレイは、竜力で身体能力を上げ更に全身に闘気と魔力で身体強化を施した。
今出せる全力であたることにしたスレイは竜眼で動体視力を底上げする。ここに来て男が歓喜に震え口許を大きく吊り上げると、自身の身体に闘気の輝きを纏わせると、輝きが消えるよりも先に男が動いた。
「─────ッ!!」
一瞬でその場から消えた男は、次の瞬間にはスレイの前の現れると真下から振るわれる大剣が風を切り裂きながら迫ってくる。それをスレイは白い剣で受け止めながら刀身を滑らせていなした。
空いたところ切り返すが、一瞬早く動いた男はそれを交わして真横に移動し切りかかったが、スレイはサイドステップで横に飛び更に後ろに下がると、追撃の構えを取っている男に向かって白い剣の切っ先を向けると、切っ先に魔方陣が展開される。
「インフェルノ・スピア!」
高速での戦闘で貫通力を重点に置いたスピア系の魔法などは目眩ましにもならない。だがスレイは、これを使ったのにはちゃんとした理由があった。
男は大剣を横に構えて業火の槍を斬ったことで原型は崩れたが、業火で作られた魔法がそんな簡単に消えるわけもなく空中に業火の炎が漂った。
逃げるのを止めたスレイは、暴風の魔力を黒い剣に流し込み離れた場所から剣を真っ直ぐ突きだした。
「風牙・大嵐!!」
突き出された黒い剣の刀身から暴風の嵐が吹き荒れると、男は大剣の腹で受け止めようとしたが、そこで驚くことが起きた。大嵐の風に空中に散らばった業火の炎が吸い込まれ勢いを増して吹き荒れた。
「グォオオオオオオ――――――――――――ッ!?」
男が叫び声を上げるが、元々消えかかっていた炎を大嵐の風で威力を上げただけなのですぐに炎は消えてしまった。炎が消えたことで男が大剣の後ろから顔を除かせると、次に目に写った光景に驚いた。
男の目の前には漆黒の輝きを纏った黒い剣を突き出したスレイがいたからだ。
「業火の突激!!」
スレイが漆黒の剣を大剣に突きつけると、膨大な熱を受けて刀身が灼熱に燃え、そして半ばから大剣が折れた。
「これでどうだ!」
剣が折れた男の背後を取ったスレイは、これくらいやれば十分だろう、そう思った瞬間スレイの目にとんでもない者が飛び込んできた。
「ガハハハハッ!オモシロイ、オモシロイゾ!モットダ!モット俺ト闘エ!!」
狼のように横に長い口元に全身を覆うような純白の体毛、手足には鋭い爪が生えている。突然の男の変化にスレイと、観客席で様子を見ていたユフィ、ノクト、リーフの三人は思わず身構える。
「使徒ッ!」
そう、男の姿はまさに使徒のそれに近かった。
こんなところにまでいるとは思わなかったスレイは、どうにかしてこの使徒を倒さなければ、そう意識を切り替えたスレイは左右の剣に業火と暴風の魔力を貯めながら地面を蹴ると、男もそれに合わせて走り出した。
スレイと男が同時に地面を蹴ると、スレイは漆黒に輝く剣を斜め上から切り下ろし、男は抜き手で応戦、二人の攻撃がお互いに当たろうとしたその時、二人の間に白髪の女性が現れた。
「─────ッ!?」
スレイは寸でのところで剣を止めて後ろに下がり、男の方も女性の眼前で手を止めたと思うとキョトンとした顔を女性に向けている。
「母チャン、ナンデコンナトコインダ?」
「かっ、母ちゃん!?」
男のその言葉に驚いたスレイ、もしやあの女性も使徒なのか、そう思った次の瞬間女性が巨大な犬、と言うよりも巨大な犬型の魔物になった。
そして男の首から上を噛みついて振り回して投げ捨てた。
「このバカ息子が!ジャルナに呼ばれてきてみれば、また問題を起こしおって!同族殺しは許すが、ヴァルミリアの血筋の物との戦いでその姿になるとは、殺す気か!そもそもその姿は見せるなって約束でしょう!!」
「ワ、分カッタヨ母チャン!」
男が元の人間の姿に戻ると、女性も人間の姿に戻りスレイの方にやって来て頭を下げてきた。
「ヴァルミリアの子よ我が愚息が迷惑をかけた」
「えっ、いや、その、ボク、ヴァルミリアさまの子供ではありません」
「違うのか?……そう言えばあの女、子供は娘だと言っていたか………ふむ、お前は血を与えられたのか」
「そうなんですが………いったいあなたは何なんですか?」
ヴァルミリアを知っていて、更にあの巨大な狼のような魔物と言えば一つしかないが確認しておきたかった。
「我れは聖獣フェンリル、名はフェムだ」
「伝説のフェンリル………それであの人があなたのお子さん」
「俺はフィンだ!楽しいからもっとやろうぜ」
「やるわけねぇだろ!ってかフェムさま、息子さんどうにかしてくださいよ!!」
「済まんね、我の育て方がまずかった。ジャルナ、しばらく愚息を連れて帰る、用があるんなら連絡を入れな」
「構わんよ。こっちはそれどころじゃないかなね」
フェンリルのフェムがジャルナにそう言うと、元の巨大なフェンリルの姿に戻りフィンを咥えると何処かへと去っていってしまった。残されたスレイは、なんだったんだあれっと思ってしまった。
そのあとジャルナから聞かされた話なのだが、フィンは赤ちゃんのころに山に捨てられてフェンリルのフェムに育てられ、そのときにフェンリルの母乳から因子を受け取り獣人に近い姿になれるらしいのだが、フェンリルの因子が強すぎるため獣化が進んでいるらしい。
その話しを聞いてユフィたちから、スレイもあんな風になるのではと心配されたが、全力で竜人化してもライアの姿と同じくらいにしかなれないのでその心配は無用だろうということでこの話は終わった。
それと、みんな無事ランクアップ試験に合格した。




